レッドブル・レーシングは、F1イギリスグランプリでRB18にアップデートを投入。エイドリアン・ニューウェイらしい気流の導き方が明確に強化された変更点をFormula1.comのTECH.FRIDAYでマーク・ヒューズが解説した。興味深いことに、新しい空力レギュレーションの初年度となる2022年F1マシンのサイドポッドは二極化しており、レッドブル・レーシングのアンダーカットクランク型か、フェラーリのアウトウォッシュに好都合な絶壁型のどちらかに収束している。メルセデスF1の“ゼロポッド”だけが異彩を放っている。
F1イギリスグランプリでは、メルセデス、アルピーヌ、アストンマーティン、ウィリアムズが大幅なアップデートを投入。その二極化はさらに鮮明になった。アストンマーティンF1のコンセプトは、バルセロナでレッドブル型のボディワークに変更され、シルバーストンではさらに洗練された。ウィリアムズF1もシルバーストンで当初のメルセデス型の“ゼロポッド”コンセプトからレッドブル型のコンセプトに変更された。一方、アルピーヌF1チームは、シルバーストンでサイドポッド上面にフェラーリ型の溝を導入した。そのトレンドの一翼を担っているレッドブル・レーシングは、サイドポッド周りを形状さらに微調整した。だが、エイドリアン・ニューウェイらしい非常に生産的なアップグレードのスピードが垣間見えたのは、イエローフラッグによって妨害されたマックス・フェルスタッペンの予選アタックと、デブリによって車が戦闘力を失ったレースの短い間しか示されなかった。レッドブルRB18のエンジンカバーとサイドポッドの間にある延長された新しい“棚”セクションは、冷却能力を高めつつ、気流を加速させるチャンネルを形成することで、空力も強化。レッドブルRB18の外見上最もわかりやすい変化は、新しいエンジンカバー、特にサイドポッド上部と、リアウィングとビームウィングの間にある冷却出口とつないでいる下側4分の3の部分にある。このセクションは著しく広げられ、ほとんど棚のような形状を形成し、サイドポッドの下向きの傾斜との間にチャンネルを作り出している。レッドブル・レーシングによると、今後のレースでより多くの冷却オプションを与えることが目的だとしている。この改良によって、ラジエーターからリア排気口までの冷却チャンネルの容積が増えることで、マシンの冷却能力が向上することは間違いないだろう。通常、冷却能力を高めると空力を損ねることになる。しかし、このアップデートで、レッドブル・レーシングは冷却と空力の両方を改善する方法を見つけたのかもしれない。冷却スロットは、新しい“棚”の上に移動。事実上、“棚”がトンネルを形成することで、コックピットのすぐ後ろから後方、そして、サイドポッドの下向きの傾斜の上を流れ落ちる気流は、より明確に規定されたチャンネルを通るようになった。リアホイールとディフューザー出口の間から出てくる傾斜の上の気流速度は、ディフューザーを通過する気流を活性化とアンダーボディの仕事に大きな役割を果たしている。サイドポッド上部のトンネル化された新しい経路は、以前よりも気流をさらに加速させることに役立つのかもしれない。また、傾斜近くにあった冷却スロットを“棚”の上面に移動させ、傾斜の邪魔にならないようにしたことは、さらに気流を強化するのかもしれない。冷却スロットから出てくる使用済の熱い空気は、空力に悪影響を与えるからだ。レッドブルRB18のフロア後方のカットアウト内の“舌”は、フェラーリがバルセロナで導入したものと非常に似ている。また、レッドブル・レーシングのこのボディワークの変更とともにフロアにも修正を加えている。フロア後方にあるカットアウト内に舌状ベーンが設置された。これは、フェラーリがバルセロナで導入したものに似ており、地面すれすれで走行するときに過度な圧力を緩和し、ダウンフォースの失速やバウンシングを抑制すると見られている。これにより、マシンはより低い位置で走行できるようになる。