レッドブル・レーシングは、新プロジェクト『NO BULL』を掲げてサステナビリティ推進とカーボンニュートラル達成に取り組むべく、ゴールド・スタンダードと提携することを発表した。『NO BULL』プロジェクトとは?レッドブル・レーシングのサステナビリティ推進プロジェクト『NO BULL / ノー・ブル』は、チームに高い目標を設定・達成させると同時に、その過程で世界に問題提起することを目標に設定している。
そのために通るべき道筋は明らかで、CO2排出や廃棄物を削減し、効率性を高めなければならないが、レッドブル・レーシングはこれらに精通しているわけではないため、容易には目標を達成できない。世界各国が気候的目標の達成に苦しんでいることを報じるあらゆるテレビ番組が、離陸時の飛行機や渋滞でアイドリングする自動車などをイメージ映像として使用しているように思えるが、このような映像は、エンターテインメントの名の下に世界を飛行機で飛び回り、最速のマシンを競い合わせることをビジネスの核としているF1産業の印象を悪くしている。しかし、サステナビリティとF1は相反関係ではない。F1は科学に深く根差した産業で、この産業のあらゆる領域はデータ分析と効率性追求にフォーカスしている。世界トップレベルのエンジニアリングの叡智を活用しているF1は軽量素材をいち早く実用化し、世界で最も効率的なエンジンを採用している。OEMの努力により、F1のCO2総排出量でハイブリッドパワーユニットのCO2排出量が占めているのはわずか2%だ。しかし、逆を言えば、マシンがサーキットで排出するCO2排出量は "総量のたった一部" なのだ。レッドブル・レーシングはカーボンフットプリントの主原因を見極める必要があった。ゴールド・スタンダードとの提携がもたらすものこれまで、レッドブル・レーシングはサステナビリティに関して比較的沈黙を守っていたが、これには正当な理由がある。企業の環境への取り組みはリップサービスよりも行動だ。そして、レッドブル・レーシングは具体的な行動計画を用意していた。2018年、レッドブル・レーシングは自社のカーボンフットプリント研究を外部機関へ委託。明確で詳細なストラテジーを用意するために、CO2排出量を最も効率良く削減できる分野を特定してもらった。研究の結果、アストンマーティン・レッドブル・レーシングは2019年に約17,000tのCO2を排出していることが判明した。内訳は以下となっている。・ファクトリー:48%・移動:37%・輸送:8%・レース:7%2020シーズンと2021シーズンのF1カレンダーの変更がレッドブル・レーシングが目指すCO2排出量の全体目標に直接的な影響を与えているが、レッドブル・レーシングは、2020シーズンにネット・ゼロのカーボンニュートラルを達成し、2021シーズンにはCO2排出を5,000t削減し、さらにはゴールド・スタンダードとのパートナーシップによって現状不可避のCO2排出の責任あるオフセットを実現するという、大きな目標を設定している。レッドブル・レーシングのCO2排出量の約半分はレース活動によって必然的に生じているため、チームはF1が長期展開している『Countdown To Zero / カウントダウン・トゥ・ゼロ』キャンペーンに全面協力しているが、同時にレッドブルー・レーシングとしてCO2排出量削減に正面から取り組む方法を見つける必要があった。責任あるカーボンオフセットは短期での実現が見込めるため、今回、レッドブル・レーシングはゴールド・スタンダードとのパートナーシップを締結した。カーボンオフセット市場がグレーゾーンであることは広く知られており、謳っている気候への好影響を実現できていないカーボンクレジットも存在するが、「価値あるものには全力で取り組む」がレッドブル・レーシングのポリシーであるため、チームは独自に調査を進め、業界ベストをパートナーに選んだ。2003年に設立されたゴールド・スタンダードは、企業の活動枠を越えたCO2排出量削減を実現するだけではなく、貧困解消やクリーンエネルギーと飲料水へのアクセス、自然生態系の保護など、世界規模のサステナビリティ推進の大きな障害となっている複数の領域に踏み込んだ活動も展開している。レッドブル・レーシングはゴールド・スタンダードと協力し、現状不可避の空輸・陸運・製造プロセスなどの領域における責任あるカーボンオフセットに取り組んでいく。レッドブル・レーシングはCO2排出量のさらなる削減に向けて取り組むと同時に、改善できるあらゆる領域の特定と監視を続けていくが、これらを言い訳にするつもりはない。現状不可避のCO2排出量削減に着手し始めたレッドブル・レーシングは、ファクトリーが排出している “48%” に注目しており、現在、ミルトン・キーンズのチームファクトリーと社内に設置された『NO BULL』委員会が懸命に取り組んでいる。CO2排出量削減を目指すレッドブル・レーシングの取り組み・電力会社をGreen Energyへ切り替え、2020年10月以降、ファクトリー内全電力を再生可能資源へ転換・埋立処分規定に従い製造廃棄物のゼロ化・ファクトリー内にスマートハウス技術を導入し、旧式の建物を改築・製造時の廃熱をファクトリー内の暖房に再利用・徒歩・自転車・カーシェア通勤を奨励・ファクトリーやトラックサイドでの使い捨てプラスティック使用量を大幅に削減。パンデミックの影響で一時的にPPEや食品包装が不可避となっているため進行速度は低下しているが、プラスティック廃棄物のゼロ化を目指す。アストンマーティン・レッドブル・レーシングのチームプリンシパルを務めるクリスチャン・ホーナーは次のようにコメントした。「私たちはF1が掲げる『Countdown to Zero』キャンペーンを全面的に支持しており、チーム全員が環境への影響を最小限に抑える役割を担っている。『NO BULL』という単刀直入なプロジェクトを立ち上げる前から、私たちはひとつのチームとして時間をかけながら研究を進めてきた。企業として直面するチャレンジも含めた私たちの全活動のナラティブを理解してもらうために、私たちはカーボンフットプリント関連をすべて包み隠さず開示する予定だ。ゴールド・スタンダードとの提携は、未来に向けた私たちの新しい企業戦略とマインドセットの一部であり、レースと同じ熱意で取り組んでいく」ゴールド・スタンダードのCEOを務めるマーガレット・キムは今回の提携に関して次のようにコメントした。「21世紀中頃までにCO2排出ネットゼロに到達するためには、あらゆる企業が早急に脱化石燃料への取り組みを開始することが急務です。航空業界や...
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