レッドブル・ホンダF1は、2020年のF1世界選手権 第3戦 F1ハンガリーGPでマックス・フェルスタッペンが2位表彰台、アレクサンダー・アルボンが5位とダブル入賞を果たしたが、決してメルセデスF1との差が縮まったわけではない。昨年、マックス・フェルスタッペンがポールポジションを獲得し、伝統的にレッドブルのF1マシンと相性のいいハンガロリンクでチームはRB16に手を焼いた。
初日から両ドライバーはRB16のバランス不足とストレートスピード不足を指摘。レッドブル・ホンダF1は金曜日の夜にカーフュー(夜間外出禁止令)を破ってマシンにあれこれ手を加えたが、土曜日になっても症状は治らなかった。フリー走行3回目ではマックス・フェルスタッペンがターン12でスピン。アンダーステアが出てパワーをかけられないマシン状態が如実に現れていた。それは予選になっても変わることはなく、フェルスタッペンは7番手、アレクサンダー・アルボンに至ってはQ2を突破することができずに13番手で予選を終えた。当然ながら、決勝日を迎えてパルクフェルメ下にマシンが変わることはない。ウエットコンディションとなった路面でマックス・フェルスタッペンはレコノサンスラップで前日にスピンしたのと同じターン12でコントロールを失ってクラッシュ。フロントウイングと左フロントサスペンションを破損し、スタート時刻が迫る中、クルーが必死に修復作業を進めた。クルーの素晴らしい修復作業によって無事スタートすることができたマックス・フェルスタッペンは、スタートで7番グリッドから3位までポジションを上げると、各チームのマシンがピットインしてインターミディエイトからドライタイヤに履き替えるタイミングでランス・ストロール(レーシングポイント)を抜いて2位に浮上する。ライバルのバルテリ・ボッタスはスタートで7番手まで順位を落とした。これですべてが決まった。一方、アレクサンダー・アルボンはは13番グリッドからのスタートだったため、フェルスタッペンよりも厳しいレースが予想されたが、順調にポジションを上げていき、最終盤のターン2でワイドに膨らんだセバスチャン・ベッテルを抜いて5位に浮上すると、このポジションを守ってフィニッシュした。結果は2位と5位。しかし、上記のような運と他チームの決勝での予想外のパフォーマンス不足が手伝っての結果と過言ではないかもしれない。実際、2位でフィニッシュしたマックス・フェルスタッペンはメルセデス勢のレースペースに歯が立たなかった。首位でレースをコントロールしていたルイス・ハミルトンには最大で27秒差がつき、66周目にファステストラップを狙うためのフリーストップの機会を与えた。また、3位のバルテリ・ボッタスにはタイヤの鮮度の違いはあったものの、レース終盤に1~2秒のペース差があり、残り20周で22秒あった差はフィニッシュ時には0.7秒まで縮まっていた。マックス・フェルスタッペンは「この結果が得られるなんて思っていなかった」と語り、アレクサンダー・アルボンは「予選よりもペースがかなり良かったのはちょっと驚きだったけれど、ポジティブな驚きだし、マシンが上手く機能している証拠だ」と好パフォーマンスの原因はつかめていない。チーム代表のクリスチャン・ホーナーも「マシンは決勝の方が状態が良く、戦術も良いが、プレシーズンから加えてきたアップデートの一部が期待通りの結果を出していないので、データを精査してシルバーストン前に原因を突き止めたい」と語っている。関連:レッドブルF1、RB16の失敗を認める 「設計が間違った方向に進んだ」レッドブル・ホンダF1 レース展開決勝レースのスタートは入れ替わりの激しい展開となった。まず、ボッタスがスタートに失敗。ハミルトンがリードを守る中、フェルスタッペンは素晴らしいスタートを決めて7位から一気にポジションを上げてランス・ストロールの後方に迫る。ストロールをここで抜くことはできなかったが、オープニングラップでベッテルとルクレールの前、3位までジャンプアップすることに成功した。レース展開はその後も目まぐるしく変わっていく。ハース勢がスタート前にピットインしてタイヤをドライに交換すると、ダニール・クビアト(スクーデリア・アルファタウリ)もオープニングラップ終了時にピットインして交換。シャルル・ルクレールとボッタスも2周目終了時にピットインしてドライタイヤに交換した。その後、ベッテルもピットインするが、多くのマシンがピットインをしていた関係でコースに戻るタイミングを計り損ねてしまう。タイムを大きく失ったベッテルはポジションも大きく落としてしまった。また、ハミルトンもピットインしてミディアムタイヤに交換。このタイミングでフェルスタッペンが首位に立つ。しかし、フェルスタッペンのリードは一瞬だった。フェルスタッペンもすぐにピットインしてインターミディエイトからミディアムに交換。2位でレースに復帰する。12周が終わる頃にはハミルトンとフェルスタッペンの差は9.4秒まで開いており、3位にはケビン・マグヌッセンがつける。その後方にはストロールとボッタス、さらにロマン・グロージャンとルクレールが続いた。ルクレールの後方にはベッテル、そして13番グリッドから素晴らしい追い上げを見せていたアルボンが続き、ベッテルがターン12でワイドに膨らんだタイミングでアルボンが前に出て8位に浮上する。その後、アルボンはルクレールにも迫るが、ソフトを履いていたルクレールのペースが上がらないため、ベッテルを加えた三つ巴のバトルになる。オーバーテイクを何回か試みていたアルボンは、17周目の最終ターンを上手く立ち上がると、ターン1の手前で再度アタックを仕掛ける。ルクレールはブロックを試みるが、アルボンが上手く前に出たため、そのままルクレールを抜いて7位を奪う。ルクレールはその後ベッテルにも抜かれる。前方ではハミルトンが快走を続けており、24周目では2位フェルスタッペンに12秒差を築いていたが、フェルスタッペンも3位ストロールに15.5秒の差を築いていた。4位にボッタス、5位にマグヌッセン、6位にグロージャン、7位にアルボンが続く。28周目に6位グロージャンとの差を0.7秒まで詰めていたアルボンは、29周目のターン1で一気に前に出て6位に浮上。7.7秒先を走るマグヌッセンが次のターゲットになった。30周目終了時にベッテルが2回目のピットインでハードタイヤに交換。9位から11位までポジションを落とすが、フェステストラップを記録しながらカルロス・サインツ Jr.(マクラ...
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