ピエール・ガスリーが夏休み後にトロロッソ・ホンダに降格し、アレンサンダー・アルボンがレッドブル・ホンダで後任を務めるというニュースにはF1界に衝撃を与えた。今年、レッドブル・ホンダのドライバーに抜擢されたピエール・ガスリーだが、チームメイトのマックス・フェルスタッペンに匹敵することができず、フェルスタッペンが181ポイントを獲得しているのに対し、ガスリーは63ポイントと厳しいシーズンを過ごした。
マックス・フェルスタッペンは、今やルイス・ハミルトンとどちらが優れているかを比較されるほどグリッドでベストドライバーとなっており、彼と競い合うことは本当に大変な仕事だ。昨年、ダニエル・リカルドという才能と経験のあるドライバーでさえ、マックス・フェルスタッペンが困難なシーズンのスタートを切ったにも関わらず、79ポイント差をつけられて敗れている。ピエール・ガスリーはまだF1で38戦しか戦っておらず、トップチームのドライバーとしてはあまり経験を積んでいない。それでも2016年にGP2で優勝し、翌年は不慣れな日本でスーパーフォーミュラでチャンピオンを争い、昨年はトロロッソ・ホンダでバーレーンGPで4位、ハンガリーGPで6位という成績を収めている。これは決して才能がなければ達成できることではない。マックス・フェルスタッペンがレッドブルのホールデンボーイであることは否定できない。将来のチャンピオン候補であり、かつてセバスチャン・ベッテルが築いた栄光の時代をレッドブルに取り戻すことができるドライバーだと考えられている。当然ながら、マックス・フェルスタッペンのチームメイトは間違いなくナンバー2として扱われ、ピエール・ガスリーはそれに苦労した。レッドブルのF1マシン、アップグレード、テストデータなどはすべてマックス・フェルスタッペンに利益をもたらすように調整される。それは理解できることだが、ピエール・ガスリーにとっては助けにならなかった。ピエール・ガスリーはマシンをオーバードライブしていると感じていることを認め、それを克服することができなかった。シーズン序盤には昨年のトロロッソ・ホンダのマシンの方が運転しやすいと愚痴をこぼしていたほどだ。その姿勢もレッドブル上層部の反感を買った。ヘルムート・マルコは「自分のドライビングに集中すべきだ」と警告していた。それでもピエール・ガスリーは、F1イギリスGPでフェラーリ勢とバトルをして4位入賞を果たすなど実力を垣間見せたが、それは彼を苦しめた。おそらく経験不足も悪影響を与えた。キャリアの初期段階でレースに勝てるクルマに乗り、すぐに競争力を発揮できるドライバーは少ない。バルテリ・ボッタスはメルセデスで4年を過ごした後、メルセデスに移籍した。もっと極端な例では、最終的にF1ワールドチャンピオンを獲得したジェンソン・バトンとニコ・ロズベルグはそれまでに何年もF1を戦っている。ピエール・ガスリーは自分の能力を示す十分な機会を与えられなかったと感じているかもしれない。新しいチーム、新しいクルマに期待をもって臨んだものの、実力を証明するために12レースしか与えられなかった。実際、どのドライバーもキャリアで悪い結果を残している。2017年にマックス・フェルスタッペンは11レースで43ポイントしか獲得できなかった。ピエール・ガスリーは12戦で63ポイントを獲得している。ピエール・ガスリーは確かに素晴らしいドライバーであり、今後F1で良いキャリアを過ごすことができるかもしれない。だが、ホンダF1と再び勝利を目指す決意を固めたレッドブルへの昇進はタイミングは悪いものであり、明らかに早すぎた。ダニール・クビアトがそうであったように、昇格にでスランプに陥る可能性もあるが、ピエール・ガスリーは古巣トロロッソ・ホンダでレッドブルの判断が間違っていたことを示すことに集中しなければならない。
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