2025年F1カタールGPは、シーズン終盤のタイトル争いがさらに激化する舞台となり、その第一関門であるスプリント予選でもドラマが連発した。マクラーレン勢は再び強さを見せ、オスカー・ピアストリが僅差でランド・ノリスを退けてスプリントポールを獲得。一方でレッドブルはマックス・フェルスタッペンがマシンの不安定さに悩まされ、角田裕毅が5番手で気を吐く展開となった。
■ SQ1:路面グリップ急上昇、角田・ハジャー・アルボンが序盤から目立ち、ハミルトンは連続苦戦セッション開始と同時に全車がミディアムタイヤで一斉にコースへ飛び出し、予想通りターン1では渋滞が発生した。フェルスタッペンが最初の基準ラップを置くものの、そのラップは序盤の参考値に過ぎず、路面は走るごとに急激に進化。中団勢が続々と上位タイムを刻む流れとなった。角田裕毅は序盤から“仕上がっている”走りで、セクターごとに紫や黄色を並べながら安定してトップ4圏内に滞在。ルサイルの連続中高速でマシンが鋭く反応し、SQ1の時点で高い競争力を明確に示した。レーシングブルズのハジャーも強烈な走りを披露。「3列目に届きそう」と実況が指摘するほどの勢いで、単純ペースではトップ10十分圏内。アルボンも静かに速く、特に中高速での安定性が光っていた。一方、後方ではハミルトンが序盤から大きく苦しんだ。アタックを重ねても伸びず、「これ以上速く走れない」と無線で訴え、マシンのフィーリングは最悪。アルピーヌ勢と並んでペースが上がらず、そのまま18番手付近を抜け出せなかった。終盤、アルボンが大渋滞をかいくぐってタイムを伸ばし、ギリギリで突破を果たす一方、ストロール、ローソン、ハミルトン、ガスリー、コラピントは改善できず脱落。ルイス・ハミルトンの2戦連続SQ1敗退 が大きな話題となった。■ SQ2:フェルスタッペンが「跳ねすぎてアタックできない」、角田は安定して上位へ、アントネッリが劇的ジャンプアップSQ2でもミディアムが使用され、再び全車がコースイン。フェルスタッペンは「1周早い」判断で最初の基準タイムを記録するが、その直後に無線で「バウンスがひどい」「跳ねすぎて曲がれない」と訴える。着座位置が揺さぶられるほどの挙動で、アタックへの集中を妨げている様子が伝わってきた。この混乱を横目に、角田裕毅は落ち着いたアプローチで鋭いラップを披露。SQ1同様にターン7〜ターン10の中〜高速区間でタイムを稼ぎ、フェルスタッペンを上回る順位へ安定して浮上していく。ここで角田のSQ3進出は早々に確定的となった。アンドレア・キミ・アントネッリは序盤にタイムを出せずドロップゾーンに沈んだまま。「またダブルウォームアップが必要」(実況)という難しい立ち上がりで焦りも見える。しかし残り2分でマシンを完璧にまとめあげると、強烈なジャンプアップで7番手へ浮上。ルーキーらしからぬ勝負強さを見せた。アイザック・ハジャーは縁石への強いヒットで「フロアを確認してほしい」と無線。タイムは悪くなかったが、最終アタックでトラックリミット違反もあり伸ばせず、あと一歩届かず11番手で脱落。ボルトレト、ベアマン、ヒュルケンベルグ、オコンとともにSQ2敗退となった。■ SQ3:ラッセルが先手、ノリスは隊列で乱される、ピアストリが頂上決戦を制す/角田はフェルスタッペン超えの5番手SQ3はソフトタイヤへ切り替わるため、ドライバーはブレーキングポイントと荷重移動を大きく調整し直す必要があった。先に動いたのはメルセデス。ラッセルはダブルウォームアップ戦略で徐々に温度を上げ、1分21秒087の強力な基準ラップをマークする。マクラーレン勢の決戦はここから本番。ノリスは1回目のアタックをまとめてくるが、ピアストリがわずかに上回り“鼻先だけ前”の状態が続く。残り4分、ピアストリが1分20秒241へ更新し、ノリスは気迫のアタックでこれに挑む――しかしアルボンとのポジション争いで空力的に乱され、クリアラップを取り切れず0.044秒届かず。ピアストリが完全な勝負ラップでスプリントポールをもぎ取った。レッドブル勢は対照的だった。フェルスタッペンは中高速での挙動が安定せず、「バウンスが*****みたいだ」と無線で苛立ちを露わにしながら限界アタックができないまま6番手どまり。一方角田裕毅はソフトに替えても安定した走りを続け、1分21秒519でフェルスタッペンを上回る5番手を確保。週末の上昇トレンドを裏付ける結果となった。ウィリアムズ勢はサインツJr.が8番手、アルボンが10番手。チームはこのコースを不得手と見ていただけに、このダブルトップ10入りは価値の高い成果となった。F1 カタールGP スプリント予選 結果・SQ3ラップタイム1.オスカー・ピアストリ(マクラーレン) - 1分20秒0552.ジョージ・ラッセル(メルセデス) - 1分21秒0873.ランド・ノリス(マクラーレン) - 1分21秒2854.フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン) - 1分21秒4505.角田裕毅(レッドブル) - 1分21秒5196.マックス・フェルスタッペン(レッドブル) - 1分21秒5287.アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス) - 1分21秒5328.カルロス・サインツJr.(ウィリアムズ) - 1分21秒5429.シャルル・ルクレール(フェラーリ) - 1分21秒62210.アレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ) - 1分21秒78811.アイザック・ハジャー(レーシングブルズ)12.オリバー・ベアマン(ハース)13.ガブリエル・ボルトレト(ザウバー)14.ニコ・ヒュルケンベルグ(ザウバー)15.エステバン・オコン(ハース)16.ランス・ストロール(アストンマーティン)17.リアム・ローソン(レーシングブルズ)18.ルイス・ハミルトン(フェラーリ)19.ピエール・ガスリー(アルピーヌ)20.フランコ・コラピント(アルピーヌ)
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