ポルシェ 919 Evoは、5月12日に開催されるニュルブルクリンク24時間レースのスタート前にデモ走行を実施。初めて観客の前でその姿を披露する。デモ走行では、チモ・ベルンハルドがポルシェ 919 Evoのステアリングを握り、ニュルブルクリンクの北コース(ノルドシュライフェ)でポルシェのレジェンド、ハンス=ヨアヒム・スタックが走らせるポルシェ956Cと共演を果たす。
ポルシェ 919 Evoは、2017年にWECチャンピオンを獲得した“ポルシェ919ハイブリッド”にレギュレーションの枠を取り払ってパフォーマンスを追求した改良を加えたマシン。ポルシェ919ハイブリッドEvoは先月スパ・フランコルシャンでニール・ジャニがステアリングを握り、ルイス・ハミルトンがF1ベルギーGPの予選で記録した1分42秒553を0.783秒上回る1分41秒770を記録し、トラックレコードを樹立している。ポルシェ 919 Evoは、燃料制限を取り払い、最新のソフトウェアを装備した結果、通常のレース用の燃料(20%のバイオエタノールを含むE20)を使用した状態でV4エンジンは720 PSを発生。回生システムによるエネルギー量も8.49メガジュールのフルブーストを利用し、400 PSから440 PSへと10%増大している。エアロダイナミクスもレギュレーションの制限から解放され、新たに大型化されたフロントディフューザーと、それに見合った新しい超大型リアスポイラーの両方が、空気抵抗低減システムをアクティブ制御。油圧作動式のシステムがフロントディフューザーの後端を調整し、リアスポイラーメインプレーンとフラップ間のスロットを開き、Evoのエアロダイナミクス効率を改善。Evoのアンダーフロアでは、固定式のサイドスカートと回転式ベーンとフロアが最適化され、できるだけ効率的になるようにエアロダイナミクス性能がいっそう向上している。これらの変更により、全体でダウンフォースが53%増大し、効率が66%向上している(2017年WECスパ戦の予選と比較した場合)。パフォーマンスの限界をさらに押し広げられるため、919 ハイブリッドEvoは4輪にブレーキバイワイヤーシステムを装備し、さらなるヨーコントロールを可能にしている。また、負荷の増大に対応できるようにパワーステアリングに変更を加え、より強力なサスペンションウィッシュボーンを前後に組み込みた。乾燥重量は実際にレースで走っていた仕様の919ハイブリッドとの比較で39 kg減の849 kgとなった。これを達成するために、エアコンディショナー、フロントウインドウワイパー、複数のセンサー、レースコントロール用の電子機器、ライトシステム、空気圧ジャッキシステムなど高速で1周を走るのに必要ないものは全て取り除かれている。ニュルブルクリンクでのデモ走行を終えたポルシェ 919 Evoは、グッドウッド・スピードフェスティバル(7月12~15日)とブランズハッチのポルシェフェスティバル(9月2日)で走行し、さらにカリフォルニアのラグナ・セカで開催されるポルシェ レンシュポルト・リユニオン(9月26~29日)に参加する。