ピレリは、バルセロナでメルセデスと実施したプライベートテストで、メルセデスを故意に優遇したという事実はなく、テストで使用したのは主に2014年用のコンパウンドだったと説明した。F1モナコGPの土曜日のドライバーミティングで発覚したピレリとメルセデスの極秘テストは大きな騒動に発展。テストで2013年マシンが使用されたことで、レッドブルとフェラーリが異議を申し立てている。
この問題は、国際法廷で審議されることになっており、ピレリはFIAに関係書類の提出を求めている。ピレリは、このテストについて声明を発表。“透明性と誠意”をもって実施したと強調し、テストは2014年にむけてのものだったと主張した。「ピレリは、チームらと2013年に行ってきた開発テストでいかなるチームも優遇したことはない。いつも通りプロフェッショナルに、透明性をもって、実直に行動してきた」とピレリはコメント。「使用されたタイヤは現在のチャンピオンシップのものではなく、今後更新されるであろう供給契約を視野に入れた開発途中の製品だ。さらに、どのテストも特定のマシンの強化を目的としたものではなく、将来的なチャンピオンシップのためのタイヤソリューションをテストすることが唯一の目的だった」2013年マシンの使用については、“代表的なマシン”をリクエストしただけだとピレリは述べ、2013年マシンを使うことはメルセデスとFIAの間で決まったことだとしている。「メルセデスが用意してくれたマシンは、FIAと同チームが直接コミュニケーションを取って決定された。ピレリから2013年のマシンを使いたいと求めたことは一度もない」とした。「バルセロナテストは2013年5月15日(水)から17日(金)にかけてメルセデスの協力を得て行われた。チームは1台のマシンと2人のトップドライバーを待機させ、2人が1日交代でステアリングを握った」「テスト走行は今年のものではないベースコンパウンドと、12種類の異なるストラクチャーを使って行われた。しかし、いずれも2013年に使われたことはなく、ケブラーが使用されているのはそのうち1種類だけだ。チームが現在のチャンピオンシップでタイヤの挙動についてアドバンテージになり得る知識を得たということはまったくない」「テストするマシンについてはメルセデスとFIAが直接話し合って決定し、チームとピレリとのEメールのやりとりのなかで示された。具体的にはメルセデスから2011年のマシンが使用できない旨が示され、2013年マシンの使用についてすでにFIAとコンタクトを取ったと告げられた」「車両に関する問題を扱えるのはチームだけであり、ピレリはその問題から締め出されていた。ピレリのニーズとしては、技術的な観点からタイヤパフォーマンスの影響を知るためには代表的なマシンが必要だった」「一般的な開発テストであり、一部の利権のためではなかったことを確実にするため、ピレリはテストに参加するドライバーやメルセデスのスタッフについて特別な注文をせず、通常の開発テスト用のチームを配置した」ピレリは、トレッドの剥離(デラミネーション)問題を解決するために、F1イギリスGPからスチールベルトではなくケブラーベルトを使ったタイヤに変更したいと考えている。だが、メルセデスとのテストでは、一度も2013年のコンパウンドとコンストラクションを使っていないと述べた。「F1カナダGPのフリー走行でチームがテストするタイヤは、これまで彼らが一度も使ったことがないものだ」とピレリはコメント。「新しいタイヤに関して言えば、デラミネーションの問題は、ピレリの技術者が実験でのテストだけで解決した。デラミネーションはこれまで4回しか起きておらず、原因は常にコース上のデブリによるものだった。ドライバーの安全性を脅かしたことはないが、ピレリのイメージを損なう恐れがあった。そのため企業として対処することに決めた」「これまで通り、今回のテストもチャンピオンシップで使われたことのない単一のコンパウンドを用いて、現行シーズンでは使われないストラクチャーで行われた。また今後、2013年シーズン中にこれらが使用される予定もない。タイヤテストは“無表記”の状態で実施され、どの仕様が使われているのか、もしくははテストの目的について、チーム側は一切情報を得ていない。また彼らが後日何らかの情報を受け取ったということもない」「さらに言えば、このテストはデラミネーションとは関係のないものだった。この問題はピレリの技術者によってシーズン前のテストデータを参考に実験室で解決されていた」「ピレリは常に代表的なマシンの提供を求めてきた。現在のチャンピオンシップで使われているマシンとパフォーマンス比較ができるものという意味であり、実際に2013年のレースで使われているものに言及してはいない」