2010年の新規F1チームの選定に関して、FIAが自動車メーカーと繋がりのないチームを選んだのではないかとの論争が起こっている。アストンマーチンやローラなど有名なチームが却下された一方で、F1のバックグラウンドのないマノー、カンポス、USF1の3チームが2010年のF1エントリーを承認された。3チームはいずれもコスワースエンジンを選択している。
参戦できなかった複数チームの代表は、申請手続きにおいてFIAからコスワースのエンジンを購入することが申請受理に“必須”だと伝えられたと主張している。この条件は以前になかったものだが、メルセデスやフェラーリ、ルノーとのエンジン供給契約を計画していた複数のチームが却下されている。某チーム代表は「2010年のグリッドに並びたいのなら、コスワースと3年間のエンジン契約を結ばなくてはならないと言われた」と主張。別のチーム代表も「ルノー、メルセデス、フェラーリのエンジンを手に入れる可能性があった。しかし、コスワースがエンジン・サプライヤーになることが権力者から“必須”条件だと見なされていることは明白だった」とコメントしている。現在F1チームにエンジンを供給しているのは、BMW、メルセデス、フェラーリ、ルノー、トヨタであるが、これら企業はF1の経営管理をめぐる論争でF1を撤退し、新シリーズ立ち上げを表明していた。6月末にこれは回避されたが、このようなクーデターが再発しないようコスワースの優遇策がとられたようだ。FIAの広報は、新チームに対する独立エンジン・サプライヤーを用意することは「優先事項」であると述べており、それがなければ「グリッド全体が自動車業界の思うままになり、新チームは彼らの承認がなければ参戦できないだろう」としている。F1参戦に失敗したチーム代表のひとりは、参戦チームは「競技的基準よりも政治的に選ばれた」と主張している。これに対し、コスワースは「F1世界選手権参戦チーム候補のために、FIAが何かを要求したことはない」と述べている。新規F1参戦チームは、コスワースに対して、それぞれ120万ポンド(約1億8,600万円)の前払い金を支払ったとされている。