ホンダのテストドライバーであるアレキサンダー・ブルツが、F1ブラジルGPが開催されるインテルラゴス・サーキット(ホセ・カルロス・パーチェ)を解説。アレキサンダー・ブルツブラジルはシーズンを終えるに、ふさわしい場所だ。彼らのF1に賭ける情熱にはかなりのものがあるし、今年は何と言ってもフェリペ・マッサがチャンピオン候補なんだから。
コース自体も、ドライバーにとっては大きな挑戦だ。スタート・フィニッシュラインを通過した時には、7速全開。ターン1でブレーキングにかかろうという時点で、速度は317km/hに達している。このコーナーはバンク角が付いているし、クリップポイントはブラインドで見えない。だからこのブレーキングは、実に面白いんだ。できるだけ遅らせれば、先行車を抜く大きなチャンスが生まれる。そこから右へと切り返しながら下っていって、出口では4速まで上げる。ターンインでうまくノーズが入ってくれるよう、ちょっとスロットルを戻した方がいいかもしれない。それからエントリーでバンプがあるから、これも要注意だ。マシン挙動が、不安定になるからね。ここはインテルラゴスでも屈指のむずかしいコーナーで、今年はトラクションコントロールがない分、もっと厄介だろうね。次のターン3は、長い左コーナー。ここは普通に、全開で行けるだろう。そして裏のストレートを抜ければ、ターン4だ。ここのブレーキング地点も、ひどい凹凸がある。7速で到達して、90mのサインでフルブレーキ。マシンに大きな負担をかけずに、スピードをできるだけ殺さないこと。そのためには、できるだけスムーズな運転を心がけないとね。コーナリング中は、マシンの動きに素直に任せる。そしてできるだけ早く、スロットルを開けるんだ。クリップは、必ず外さないこと。そうしないと立ち上がりで、大きく膨らんでしまう。ターン5は、特に問題ない。そこから丘を上っていくと、ダブルクリップの右コーナー、ターン6と7が待ってる。このクリップはすごく長いし、その最中に丘の頂上に達するから、リヤがふっと軽くなる。ここをいかにうまく抜けるかが、かなりラップタイムを左右するね。でもここを完璧にクリアできるようなバランスに仕上げることは、ほとんど不可能だよ。そこからは、低速区間に入る。ターン8は、2速の右コーナー。必ずイン側の縁石に、しっかり乗ること。凹凸がひどいけど、これをしっかり使わないと、タイムアップは望めない。初日には相当滑りやすいけど、そのうちグリップが付いてくる。レース当日までにどれぐらいのラバーが載るのか、その見極めも重要だ。もうひとつの丘を上り切って、次の左コーナーのクリップめがけて、マシンともども突っ込んでいく。ここを速く走るには、コーナーへの飛び込みを自分のイメージよりずっと速く行うこと。思い切ってやれば、それは可能なんだ。縦Gがかかるから、普通以上のグリップが期待できるからね。このコーナーは、実に素晴らしい。特に軽いマシンの時にね。そこから短い加速で、ヘヤピンのターン10に向かう。ここのブレーキングは、すごく滑りやすい。前輪が簡単にロックするから、できるだけ自分を抑えるようにしないとね。ターン11は、全開での下り左コーナーだ。続くターン12は、このコースで最も重要なコーナーと言っていい。ギアレシオによって2速か3速かの違いはあるけど、そこからの立ち上がりをいかにスムーズに行えるか。あとは1コーナーまで、ひたすら全開だからね。ここでスピードが乗るかどうかで、タイムはまったく違ってしまう。ブレーキングは、できるだけ遅らせる。そうでないと、タイムロスが大きすぎる。とはいえあくまで、立ち上がり重視なのを忘れずに。そしてイン側の縁石に、思い切りよく乗って行く。でも勢いがよすぎると車輪が空転して、立ち上がりのトラクションが効かなくなってしまうから、注意が必要だ。