FIA(国際自動車連盟)は、オリバー・ベアマンの最終アタックがF1エミリア・ロマーニャGP予選Q1で無効とされた判断について、その経緯と理由を明らかにした。ハースF1チームは、Q1終了直後の赤旗対応によりベアマンがQ2進出を逃したことに強く異議を唱えており、「誤った判定が下された」と主張している。
ベアマンは、フランコ・コラピントがタンブレロでクラッシュした直後に最終ラップを完了。コラピントの事故によりセッションは赤旗中断となったが、その際、ベアマンが赤旗発令前にフィニッシュラインを通過していたかどうかをめぐって混乱が生じた。当初、FOMの公式タイミンググラフィックではベアマンのラップが有効とされ、順位が更新された。その結果、ガブリエル・ボルトレトがQ1ノックアウト圏に落ちる形となったが、その後グラフィックが修正され、ベアマンのタイムは無効に。代わってボルトレトがQ2へと進出した。FIAはその後、ベアマンのラップについて「審議中」と発表したが、Q2はハースのベアマンを欠いたまま開始され、ボルトレトが出走した。ハースF1のチーム代表、小松礼雄は、ベアマンのタイムが認められるべきだったと主張し、スチュワードからの明確な説明を求めている。「Q1では風向きが変わって難しい状況だったんですけど、オリバーはよく対応してくれました。1分16秒077というのは、とてもいいラップタイムだったと思います。ただ、そのタイムはレースコントロールの判断で、赤旗が出る前にフィニッシュしていなかったとされて、削除されてしまいました」「うちとしては見解が違いますし、それを裏付ける証拠もいくつか持っています。今はスチュワードと話をしているところですが、予選結果そのものが変わるわけではありません。どういう経緯でこの判断が下されて、それが維持されているのかをちゃんと知りたいと思っています」FIAは当初、タンブレロでの処理が終わった後、Q2を午後4時46分に開始すると発表したが、その後さらに4時58分へと延期された。小松はその遅延についてもこう語っている。「明らかに内部で議論や検討があったからだと思います。うちの立場としては、オリバーのラップタイムは有効であるべきだったと考えていますし、証拠もそろっていると思っています。だからこそ、透明性をもってスチュワードと話をしたいと思っています」ハース側はその「証拠」の具体的な内容を公表していないが、ベアマンのオンボード映像では、彼がフィニッシュラインを通過した時点でセッション終了の赤ランプは点灯していたものの、赤旗を示すランプはその後に表示されたように見える。ベアマン自身もタイム抹消には驚いた様子で語っている。「僕としては予選はうまくいったと思っていたし、なぜQ2に進めなかったのか全く分からなかった」「チェッカーフラッグを通過するまでに赤旗は見えなかったし、チームが確認した映像でも同じだった。だから、なぜ僕のタイムが復活しなかったのか理解できない」FIAによれば、コラピントのクラッシュに対する赤旗は午後4時32分17.6秒に発令され、ベアマンがフィニッシュラインを通過したのは同20.9秒だったという。FIAの広報担当は「ベアマンがフィニッシュラインを通過した時、スタート/フィニッシュのガントリーに赤旗のシグナルが表示されていた」と説明した。「Q2開始を遅らせたのは、スチュワードがタイミングシステムの専門家と協議し、取得されたデータが有効であることを確認するためだった」「最終的な目的は、ベアマンが赤旗発令前にラップを完了していたかどうか、そしてそのラップが無効とされるべきかを正しく判断することにあった。Q2進出者を適切に決定するためです」とFIAは述べている。