マーベリック・ビニャーレスがアッセンのハードバトルを制し優勝Monster Energy Yamaha MotoGPにとっては喜びと落胆が入り混じる結果。マーベリック・ビニャーレスが熾烈なトップ争いを制した一方で、バレンティーノ・ロッシは今回もまた不運に見舞われ、5ラップ目に転倒リタイアとなっている。
グリッド2番手、フロントロウからスタートしたビニャーレスだが第1コーナーでマシンが振られて安定せず、4番手へ後退してオープニングラップを終了。そのあとM・マルケス(ホンダ)と競り合うが、その間にもトップ3台がアドバンテージを広げようとしていることに気づいて早めの対処を決断する。首位走行中のA・リンス(スズキ)の転倒でひとつ上げ、さらにJ・ミル(スズキ)をパスしてから再びマルケス、そしてファビオ・クアルタラロとのバトルが始まった。しばらくは3番手につけて後方から様子を窺い、パッシング・ポイントを探っていたビニャーレス。16ラップ目で仕掛けて初めてトップに立つが、マルケスがぴったりとついて離れない。さらに第1コーナーではらんで2番手へと後退してしまったが、ひるむことなくチャージを続け、ヤマハの敏捷性を生かして同ラップのうちにトップに返り咲いた。このあとはひたすら身体を伏せて全力走行。21ラップ目には自己ベストを更新する1分33秒720を叩き出すなどペースを上げ、後続を引き離しながら最後まで集中力を保って走り切った。トップでチェッカーを受け、2位のマルケスに4.854秒の大差をつけた。チームメイトのロッシはグリッド14番手から着実に挽回。午前中のウォームアップ・セッションでセッティングに手ごたえをつかんでおり、決勝でもそれが明らかに機能しているように見えた。ところが5ラップ目、果敢な攻めを続けるロッシを3戦連続でバッドラックが襲う。第8コーナーで中上貴晶(ホンダ)をパスしようとして高速から転倒し、不運にも中上を巻き込んでしまった。幸い怪我はなく、ロッシはすぐさま立ち上がって中上の様子を見に行っている。しかしレースはここで終了となりノーポイントが決定した。この結果、ロッシはランキング5位をキープしているもののトップとの差は88ポイントに拡大。ビニャーレスはランキング11位から7位へ上がり、トップとの差を95ポイントに縮めている。ヤマハはコンストラクターズ・ランキング3位をキープ。Monster Energy Yamaha MotoGPはチーム・ランキングをひとつ上げて3位となっている。クアルタラロが3位表彰台獲得PETRONAS Yamaha Sepang Racing Teamのルーキー、ファビオ・クアルタラロが2戦連続の表彰台。チームメイトのフランコ・モルビデリも5位獲得と健闘した。YZR-M1に初めてPETRONAS Sprintaのエンジンオイルを使用した今回、同チームにとって今季最高の結果が生まれている。ポールシッターのクアルタラロは絶好のスタートを切り、MotoGPで初めてレースをリード。そのまま12ラップにわたってトップをキープし、最後まで安定したペースで走り切って3位でチェッカーを受けた。この結果シリーズポイントを67まで伸ばし、サテライト勢トップのランキング6位。チームメイトのモルビデリはグリッド3列目から果敢に挽回。最終ラップでは激しい競り合いを展開し、最終シケインでクレバーなオーバーテイクを見せて5位に浮上した。シリーズポイントでは合計45ポイントのランキング12位。次回、第9戦ドイツGPは、1週間後7月5日~7日、ドイツのザクセンリンクで開催される。Monster Energy Yamaha MotoGPマーベリック・ビニャーレス (優勝)「まるで夢を見ているみたいです。このところずっと不運続きで、とくにマシンとの相性に自信があった3つのコースでリタイアとなり本当に苦しい思いをしていました。でも前回のカタルニアではマシンに良いフィーリングをつかむことができていたので、その勢いを何とかキープしようと全力で臨みました。そして一対一のブレーキング競争においても強さを発揮することができ、パスは可能だとわかっていたのです。チームのみんなには心から感謝しています。彼らの素晴らしい仕事のおかげで、終盤でしっかり戦えるマシンが出来上がったのですから。ポテンシャルの高さは確信していましたが、これまでそれを証明することができず苦しい思いをしてきました。今回の優勝によってプレッシャーから少し解放され、チーム全体がリラックスできたことがとても重要。ようやく表彰台の中央に立ったフィーリングは最高でしたが、それ以上に、ヤマハに勝利をもたらし本来のルートに戻すことができたことをうれしく思います。すべてはチーム、ライダー、マシンのコンビネーションから生まれるものなのです。ザクセンリンクは得意なコース。今回同様、ベストを尽くします」バレンティーノ・ロッシ (DNF)「私自身、非常に好調でハイペースで走れていたので、何とかポジションを挽回したいと考えていました。中上と競り合い、第8コーナー進入でパスしようとしたときにラインを外し過ぎてしまったのです。コーナーに入ったところでフロントから転倒し、不運にも彼を巻き込んでしまいました。本当に申し訳なく、彼に謝らなければなりません。昨日までなかなかペースが上がらず苦しんできましたが、今日になってようやく何かをつかみ、非常に良いフィーリングで走れていただけに、このミスはとても残念です。悔しい気持ちでいっぱいですが、同時に思うことは、昨日までの経過も含めて必要以上に多くのものを失ったということに気づかなければならないということ。私たちはもっと強くならなければなりません」マッシモ・メレガリ (チーム・ディレクター)「私たちは非常にポジティブでした。マーベリックが前回カタルニアから自信を維持しており、今週もずっと好調が続いていたからです。彼が本来いるべき上位でバトルし、あのような素晴らしい形で優勝するのを見て本当にうれしく思いました。とくに今日は非常に暑く、これまでならかなり苦戦したコンディションでもありましたからね。この勝利は私たちが正しい方向へ進んでいることを証明してくれるもので、そのことがマーベリック、チーム、ヤマハにとってとても重要なのだと思います。カタルニアでの不運をいくらか埋め合わせてくれるものにもなったでしょう。マーベリックについては最大限の喜びを感じていますが、その一方でバレンティーノは残念な結果になりました。グリッド後方からのスタートはいつでもとても難しい...