MotoGP アルゼンチンGP決勝は様々なドラマを生んだが、その最初は、天候による路面コンディションの変化で、多くのライダー達がグリッドでタイヤ交換を行ったことにより、スタートがディレイしたことから始まった。一時は各チームのピット内が緊張に包まれたが、アレックス・リンス、アンドレア・イアンノーネはどちらも冷静に2度目のグリッドにつき、スタートを切る。
リンスはスタート直後5番手ポジションをキープ。オープニングラップで3番手にまでポジションを上げ、その後は好調なリズムでトップグループでの走行を続ける。トップグループが4人になってからは、残り9ラップで一時トップに立つ快走すら見せたものの、その後ミスをして再び4番手に後退。しかし最後まで集中力を切らすことなく、自身のMotoGPキャリア初となる3位でチェッカーを受けた。一方アンドレア・イアンノーネは、スタートから数周で数人のライダーをオーバーテイクし、8番手にポジションアップ。その後、一時12番手まで順位を下げるも、最後まで諦めず、再び数人をオーバーテイクして8位まで順位を上げ、ゴール。この週末、ウエットセッティングに苦戦していたイアンノーネにとっても、ポジティブな要素を得た大切なレースとなった。河内 健 テクニカルマネージャー「非常に良いレースでした。非常に難しいコンディションで、簡単にミスをしやすいレースだったのですが、私たちはアレックスの成長を実感することができました。アレックスに心からありがとうと言いたいです。アンドレアは予選位置が悪かったために、本来のパフォーマンスが充分発揮できなかったですが、それでもトップ10でフィニッシュし、しっかりレースを完走してくれました。これからも私たちはアレックス、アンドレアと一緒に成長を続けていき、さらに上を目指していきたいと思っていますので、引き続き応援をよろしくお願いします。」ダビデ・ブリビオ チームマネージャー「アレックスは本当に素晴らしいレースをしてくれましたし、我々チームが待ちわびていた初表彰台も獲得してくれました。でもそれ以上に嬉しかったのは、決勝中のアレックスが最初から最後まで常にトップグループで堂々と上位争いをしてくれたことですね。路面は所々濡れていて、ライン取りが難しい中、アレックスは冷静にマシンをコントロールしていましたし、とにかくこの週末を通し、アレックスはとても良い仕事をしてくれました。こんな難しいコンディションの中で表彰台を獲得できたことは本当に嬉しいです。我々は開幕戦カタールも好調でしたし、ここアルゼンチンでもきっちり結果を残せたので、この先もまだまだ進化していくと信じています。アンドレアは決勝中思うようなパフォーマンスができず残念でしたが、これから原因をしっかり追求し、さらに煮詰めていきたいと思います。」アレックス・リンス「スタートが遅れ、スタート進行がバタバタになって、スタート前は正直かなりナーバスになっていたから、そんな中で結果を残すことができたことが本当に嬉しいよ。でもスタート後すぐに良いフィーリングで走ることができて、ジャックの後ろを走っている時には、簡単にオーバーテイク出来るって思ったくらい、マシンはパーフェクトだった。でもいざトップに立ったらミスをしちゃったよ。路面にはまだウエットパッチがあったし、ラインを外すとマシンが滑り、ほんとに難しいコンディションだったからね。僕自身もチームも、日本のスズキのスタッフ達も、皆がひとつになって一生懸命やってくれて、強いマシンで戦えた。皆に本当に感謝の気持ちを伝えたいね。次のアメリカは、昨年早々に転倒して腕を骨折してしまった悪い思い出のある場所だけど、本来は好きなサーキットのひとつなんだ。今年は精神的にも肉体的にも強くなったし、経験も積み、そして強いマシンで挑むことができるから、とても楽しみにしているよ。」アンドレア・イアンノーネ「ウォームアップラップの後グリッドにつき、バイクを変えようとアクションしたのは僕らが最初だったんだけど、その後他のライダーも皆僕らの真似をして次々にピットインし始めたんだ。本当にあっと言う間にアスファルトが乾いて、路面のコンディションがどんどん変わっていたからね。決勝中のペースは悪くなかったんだけど、予選ポジションが後ろの方だったから、前のグループとのギャップを詰めることができなくて残念だったよ。レース終盤にオーバーテイクしようとして何度かミスしてしまったのも失敗だったね。でもアレックスが表彰台を獲得してくれて、僕も嬉しいよ。スズキにとってとても大切なことだからね。今日のリザルトにはまずます納得しているし、チームも良い仕事をしてくれているから、またオースチンで気持ちを切り替えて頑張るよ。」
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