MotoGP 第5戦フランスGPの決勝日は、3日間を通じて最も暑い一日となり、最高気温は24℃まで上昇、路面温度も45℃まで上がった。厳しい条件の中での決勝レースとなったが、連日の好天もあり、2000年にル・マンにグランプリが復帰してから最多観客数となる10万5千人がサーキットのスタンドを埋め尽くした。
大観衆が注目する中でスタートしたレースは、予選2番手から挑んだマルク・マルケス(Repsol Honda Team)が、アメリカズGP、スペインGPに続き3連勝を達成した。この日のマルケスは、フロントにミディアムコンパウンド、リアにはただ一人ハードコンパウンドを選択。そのため序盤はペースを抑えたが、タイヤが温まってからはペースを上げると、ライバル勢を圧倒した。オープニングラップに5番手までポジションを落としたマルケス・マルケスだが、2周目にダニーロ・ペトルッチ(ドゥカティ)をかわし4番手へ。5周目には前を走るアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ)が転倒を喫したことで3番手に浮上する。さらに7周目にはヨハン・ザルコ(ヤマハ)をかわし2番手へと一気にポジションを上げていく。その後、ザルコがマルケスを抜き返するが、コース中盤の左コーナーで転倒したことで再び2番手に浮上したマルケスは、10周目にホルヘ・ロレンソ(ドゥカティ)を抜いてトップに浮上。その後、1分32秒台前半の好ペースで周回を重ねると後方に約3秒のリードを築き、27周のレースで真っ先にチェッカーを受けた。アメリカズGP、スペインGP、そしてフランスGPと3連勝を達成したマルク・マルケスは、チャンピオンシップでも首位をキープ。今回7位で総合では2位につけるマーベリック・ビニャーレス(ヤマハ)に36点差をつけている。予選10番手から決勝に挑んだダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)は、中盤までジャック・ミラー(ドゥカティ)、ビニャーレスらとセカンドグループを形成。後半はミラーとし烈な4位争いを繰り広げ、最終的に5位でフィニッシュした。シーズン序盤、不運のアクシデントで2戦を落としているペドロサは、前戦スペインGPでの不運の転倒により万全の体調ではなかったが、今大会はしっかりとポイントを獲得。総合11番手から10番手へとランキングを一つ上げた。予選でのハイサイドで転倒し、市内の病院で診断を受けたカル・クラッチロー(LCR Honda CASTROL)は、無事に退院して日曜日の決勝レースに挑んだ。朝のウォームアップで体調を確認したクラッチローは、決勝ではレース中盤までペースをセーブ、転倒しないように慎重に周回を重ね、後半はややペースを上げたが、着実に走りきって8位でフィニッシュした。前戦スペインGPではベストリザルトの9位でフィニッシュしたフランコ・モルビデリ(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)は、ポル・エスパルガロ(KTM)、ハフィズ・シャーリン(ヤマハ)、ブラッドリー・スミス(KTM)らとし烈な戦いを繰り広げ13位でフィニッシュ。今季4度目のポイントを獲得した。レース前半、モルビデリらのグループに加わった中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)は、後半、フロントタイヤのフィーリングに苦しんで15位へとポジションを落とし、そのままチェッカーとなったが、これで4戦連続ポイントを獲得。シーズン初のポイント獲得に闘志を燃やしたトーマス・ルティ(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)は16位に終わり、ポイント獲得まであと一歩届かなかった。マルク・マルケス(MotoGP 優勝)「ル・マンは僕たちにとって最も難しいサーキットの一つです。この大会で優勝することができたので、とてもうれしいです。今日は僕だけがハードリアタイヤを選択しました。そのため、ほかのライダーとはレースへのアプローチが少し違いました。なぜならタイヤが温まるまで、少し時間がかかると分かっていたからです。でも、ウォームアップ中にタイヤの準備ができれば正しい選択になるということを確認しました。今日はとても安定していたし、いいリズムをキープすることができました。正直、レース序盤は少し難しい走りを要求されました。ザルコが2コーナーで接触し、僕は少しはらんでしまいました。そのあと、イアンノーネが転倒するのですが、危うく僕に当たるところでした。そのため、ポジションをいくつか落としてしまったので、少し落ち着くことに決めました。ドビとヨハンが転倒したのを見たとき、再びレースへのアプローチを少し変えました。そのあと、3コーナーで危ない瞬間があり、FP3で転倒していたところだったので、そこでも非常に注意深く走行しました。それが功を奏して、レースでは転倒を免れました。いま、自分のマシンととても“甘い”時間を経験しています。このような気持ちになったときは、うまくいきます。そしていい走りができ、マシンもうまく機能します。これで物事が楽になるわけではありませんが、より自然に走ることができます。もちろんシーズンは長いです。すべてのレースが同じように行くわけではありませんが、とにかくがんばってこの勢いを維持したいと思います」ダニ・ペドロサ(MotoGP 5位)「レースウイークと身体のポテンシャルのことを考えれば、5位はいい結果だと思います。ポジティブな面は、10番グリッドから5つもポジションを取り戻すことができたことです。このサーキットではそう簡単なことではありません。今日は転倒しないように走ることも重要でした。そして完走できたので、次のレースへ向けてさらに自信がつきました。レース終盤のリズムは、まだ思っていたような速さではありませんでしたが、それでも安定していました。レースウイークを通してマシンのセットアップを進めることができたので、チームには感謝しています。来週のカタルニアのテストのあと、体調がどうなるか様子を見たいと思います。身体を回復させて、引き続きパフォーマンスを上げていきたいです」カル・クラッチロー(MotoGP 8位)「レースウイークを通していいペースがありました。しかし、昨日の転倒の影響で今日はこれが精一杯でした。少し残念に思っています。チームはすばらしい仕事をしてくれたし、僕のためにマシンをグリッドに並べてくれました。トップグループで戦う準備はできていたのですが、今日の僕にはそれができませんでした。序盤はプッシュせず、最初の10周か15周はミスをしないように走りました。そうしなければ、再び深刻なケガをするかもしれなかったからです。そのあと、少しプッシュして何人かのライ...