2023年MotoGPシーズン開幕戦の舞台となるポルトガルのアルガルベ・インターナショナル・サーキット(以下、アルガルベ・サーキット)で、3月11日~12日の2日間、今季2回目の公式テストが行われた。ホンダ勢は、Repsol Honda TeamとLCR Hondaの2チーム4選手がテストに参加。Repsol Honda Teamは、これまで6回タイトルを獲得しているマルク・マルケスと20年のチャンピオンで今季新加入のジョアン・ミルの両選手、LCR Honda CASTROLからは新加入のアレックス・リンス、LCR Honda IDEMITSUからは6年目のシーズンを迎える中上貴晶が参加した。
開幕戦ポルトガルGPに向けて2日間のテストが終了。ホンダ勢の4選手は、開幕戦に向けて準備を整える開幕戦の舞台となるアルガルベ・サーキットは、2月上旬に行われたマレーシア・セパンとは、コースのキャラクターが全く異なる。起伏に富んだジェットコースターのようなレイアウトは、難易度の高いサーキットとして知られているが、このテストが開幕に向けて最後の調整の場となるだけに、2日間を通じて集中したテストが行われた。マルケスは2日間で154周、ミルは135周を走行した。両ライダーともに、新しいシャシーや数々の空力パーツ、そして電子制御の見直しなど、テストメニューを着実にこなした。昨年は、RC213Vのパフォーマンスを存分に発揮することができず、ホンダ勢は厳しい一年となったが、再び、RC213Vを優勝争いに戻すための懸命な作業が続けられた。そのため、両ライダーともに満足の行くタイムアタックをこなす時間が取れなかったが、ミルはトップから0.794秒差の13番手、マルケスは0.810秒差の14番手だった。今年は大会スケジュールが大幅に変わり、土曜日に通常の半分の距離で戦われるスプリントレース、日曜日には従来のレースが開催される1大会2レース制という大きな変化が訪れる。今年は全21戦で42レース。これまでだれも経験したことがないハードな日程となる。土曜日に行われるスプリントレースは、ポイントも半分になるが、これまで以上にグリッドが重要になる。選手にとっては、集中力が要求されるレースウイークとなるが、ファンにとっては、これまで以上に見どころあふれるレースウイークになることが予想される。そうした新しい日程に向けてマルケスは、2日目の午後にスプリントレースのシミュレーション行い、1分39秒台前半から中盤の好タイムで連続周回をこなした。20年7月のスペイン・ヘレスで骨折した右腕は、4度の手術を受けて完全に回復している。マルケスにとって、次のテーマは、本来の走りができるRC213Vに仕上げることだが、マレーシア・セパン、ポルトガル・アルガルベでは、周回を重ねる毎に、着実に前進した。ジョアン・ミル(Repsol Honda Team)チームメートのミルは、マレーシアテスト、そして今回のテストと、着実にHonda RC213Vに順応し、マルケス同様、多くのデータをコース上から持ち帰った。その効果は大きく、2023年型RC213Vの開発プロセスを加速させることに成功している。こうして20年のMotoGPチャンピオンのミルは、Honda移籍後の初レースを待ちきれない様子だ。今季、LCR Honda CASTROLに移籍したリンスも、今オフは、RC213Vに順応するためのテストを行ってきた。リンスは、これまでMotoGPクラスで5勝を挙げているだけに、RC213Vのパフォーマンス向上に大きな貢献が期待される。アレックス・リンス(LCR Honda CASTROL)リンスは2日間で162周をこなし、ニューパーツのテストにも参加した。今回のテストでは、Repsol Honda Teamのミルとマルケスに続いて15番手。ホンダ勢3人の差はわずか0.02秒だった。リンスは、開幕に向けてスプリントレースのシミュレーションを行ったが、マレーシア・セパンテストよりペースは向上し、上位グループに近い走りができた。マレーシア・セパン、そしてアルガルベと着実に前進してきたリンスに、ますます期待が膨らむ。チームメートの中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)は、2日間で146ラップをこなし、トップから1.341秒差で20番手だった。ポジション的には満足できるものではないが、午後に行ったスプリントレースでは、1分39秒台の好タイムでラップを重ねた。その要因は、マシンのセットアップが前進したことと電子制御の変更だった。前回のマレーシアテストと今回の初日はリアのスピニングに苦しみ、加速、最高速に影響を受けましたが、着実に前進した。中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)テストライダーのステファン・ブラドル(Team HRC )も今回のテストでは、さまざまなシャシー、電子制御、そして空力パーツなど、マルケスや他のRC213Vライダーがシーズンを通して向上できるようにサポートした。ジョアン・ミル(Repsol Honda Team)「今日はHondaのマシンに順応し、さらに前進することができました。まだ新しいマシンなので、学ばなければならないことも多く、まだ慣れない部分もあります。しかし、もちろんライダーとしては、もっともっと多くのことを望んでいます。開幕戦では、改善を続けながら、何が可能なのかを確かめたいです」マルク・マリケス(Repsol Honda Team)「今日は、これまで参加してきた、セパンとアルガルベの計5日間のテストの中で最高のフィーリングでした。ライディングもよかったし、スプリントレースのシミュレーションもできました。長い距離を走ることで、自分のライディングに集中することができたし、改善し続けることができました。リズムも悪くなかったので、ポルトガルGPでさらに努力したいです。いくつかのステップを踏むことができたましたが、もっと上を目指したいです。今日、最も重要なことは、最もマシンのフィーリングがよかったということです」アレックス・リンス(LCR Honda CASTROL)「プレシーズンテストを終えて、満足しています。セパンから一歩前進し、ポルティマオでは新しいパーツを使うことで、自分たちの現状を理解することができました。HRCに有益な情報を提供するために、テストに専念してきました。その結果、マシンの状態は改善されました。これはとても重要なことです。すばらしい仕事をしてくれたチーム全員に感謝したいです」中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)「今回は、2日間にわたって本当に重要なテストが行われました。初日はマシンのフィーリングをつかむのに少し苦労しましたが、今日は朝の走行から大きな前進がありました。マシンのセットアップと電子制御を変更し、大きく改善することができました。一歩一歩、トップグループとの差を縮めています。いい感じで前進しているので、ここで行われるシーズン最初のレースが本当に楽しみです。引き続き、プッシュしていこうと思ってます」
全文を読む