MotoGP - 週末を通して強い走りを見せ、アレックス・リンス、ジョアン・ミル共に大きな期待をもって臨んだフランスGPの決勝だったが、共にトップグループで華麗なバトルを披露したものの、リンスは3周目2コーナーの高速コーナーでグラベルに飛び出しコース上に戻ったところで転倒。リンスの転倒後、1台きりとなったGSX-RRをトップグループで走らせ続けたミルもまた14周目の13コ―ナーで痛恨の転倒を喫し、2台揃ってリタイヤとなった。
フランスの伝統的サーキットであるル・マンには、決勝日の日曜日に11万人の観客が集結し、MotoGPスタート前は多くの観客達がフランス国旗を掲げながら国歌「ラ・マルセイエーズ」を斉唱、サーキットは独特の雰囲気に包まれた。前日の予選で7番手、8番手グリッドを獲得していたミルとリンスだが、ヨハン・ザルコ選手(ドゥカティ)のペナルティーによるグリッド降格により、それぞれ1ポジショングリッドが昇格し、2列目6番手、3列目7番手からのスタートとなった。チ―ムスズキエクスターのふたりは揃って好スタートを決め、共にトップ5につける。リンスは序盤にアグレッシブな走りでさらに前をオーバーテイクして3番手まですぐにポジションを上げるがその後転倒を喫し、一度はコースに復帰したもののピットインしレースから離脱した。リンスの転倒後、6人で形成されたトップグループでバトルを続けるミルは、徐々にペースを上げ表彰台争いにチャージを賭けるも14周目に転倒。再スタートを切ることができずリンス同様リタイヤとなった。ライダーに怪我はなく、チームとライダーは2週間後、次戦ムジェロサーキット(イタリア)に向かう。リビオ・スッポ チームマネージャー「今週末をまさかこんな最悪な形で終わるとは誰も想像していませんでしたが、少なくともふたりのライダーは強さとポテンシャルを見せてくれましたし、ミスを犯した代償は大きかったとは言え、後方でバトルしていたわけではなく表彰台争いができるところで勝負していたので我々としてはポジティブに捉えています。この週末、金曜のスタートからウィークを通してずっと強いパフォーマンスを維持することができたことは、ふたりのライダーと全てのチームスタッフが本当に集中して全力を発揮してくれたお陰だと思っており、素晴らしい仕事をしてくれたチームに心から感謝しています。」河内 健 テクニカルマネージャー「今週我々は表彰台を戦うだけの十分なポテンシャルがありながら、ふたりのライダーが揃って転倒・リタイヤという残念な結果となってしまいました。ただ、この数年我々はここル・マンでは非常に苦戦していたのですが、今週は強い戦いができたので、そこは唯一前向きな要素であったと思っています。次戦ムジェロは我々にとって相性の良いサーキットなので、気持ちを切り替えて再び表彰台争い、優勝を目指して頑張っていきたいと思います。」ジョアン・ミル「こんな結果で週末を終えることになってしまって本当に残念な思いだよ。今日はスタートもうまくいってトップグループで走ることができたから、タイヤを温存するためにできるだけスムーズに走るように心掛けていたんだ。それでもフロントは限界ギリギリだった感じがあって、前のライダーを追いかけている時にマシンをうまく止めることができず、フロントから切れ込んで転倒してしまった。今のMotoGPクラスではよくあることで完全に自分のミスだし、今後もっとタイヤの使い方を学ぶ必要があると感じているよ。ただ、いつも苦戦するル・マンでトップグループを走るレースができたことはとてもポジティブなことだったし、今後へのさらなる自信に繋がったよ。」アレックス・リンス「転倒はしてしまったけど怪我はなかったし、他のライダーを転倒に巻き込んでしまうリスクの高いコーナーだったから、皆がうまく回避してくれて誰かを怪我させることがなくて本当によかったと思っている。今日はスタートで一気に前に出ることができ、かなり良い感じで走れていたんだけど、ペッコ(バニャイア)の後ろについたらスリップストリームが効きすぎたのか思った以上にスピードが乗ってしまいグラベルに飛び出してしまったんだ。グラベルの上を走っている間はとにかく転倒しないようにマシンを真っ直ぐに立てて走ったんだけど、コースに戻った瞬間反動でマシンがちょっと傾いてしまい、そのまま転倒してしまった。この週末調子が良かっただけに結果に繋げることができなかったことが悔やまれるけど、自分とマシンのポテンシャルを証明することはできたと思っているし、これから先のレースがますます楽しみになったよ。」
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