前日からの雨が土曜午後まで降り続き、全てのセッションがウェットコンディションで行われていたポルトガルGPだが、MotoGP予選前に雨が止むと同時に太陽が照り始め、予選は少しずつ路面が乾いていく中で行われた。ジョアン・ミルは周回毎にタイムを上げ、MotoGPキャリアでのベストグリッドとなる2番手でセッションを締めくくった。午前に行われたFP3は冷たい雨と強風に見舞われ難しいコンディションでスタートしたが、雨が上がって青空が出ると走行ラインが乾き出し、タイムアップのチャンスが訪れる。
しかしミルとアレックス・リンスがタイムアタックのためにピットアウトをすると再び雨が降り出し、ミルは前日のポジションを維持したまま2番手でダイレクトQ2行きを確保するも、リンスはセッション終盤に黄旗によるラップタイムキャンセルもありポジションアップのチャンスのないままセッションを終えることとなる。FP4では太陽が照り出すも、激しく降った雨のせいでコース上にいくつかの水溜りが残り難しいコンディションとなり、各ライダー達が慎重に周回を重ねていく。セッション終盤にミル、リンス共にフィーリングを掴み始めるが、最後までグリップ不足に苦戦したセッションとなった。Q1チャレンジを強いられたリンスは、まだ濡れている路面ながら果敢なアタックでタイムを上げていき数周後にピットイン。タイヤをスリックに変えて再びピットアウトするが、多くのウェットパッチが残る路面で何度か転倒しそうになりすぐにピットインし、再びウェットタイヤでピットアウトする。2度のピットインによりタイムロスしたため1ラップのアタックチャンスとなったリンスだが最後まで諦めずにチャレンジを続け、ベストラップをマークしていた最中に他ライダーの転倒により黄旗提示となり、ラップタイムがキャンセル。ツキに見放されポルトガルGP決勝は23番手グリッドスタートとなった。最後の予選となるQ2でも路面は変わらず滑りやすくウェットパッチがあちこちに残るも、各ライダーが上位グリッドを賭けて渾身のタイムアタックを繰り返す。ミルはこの週末初めてスリックタイヤでピットアウト。前後ソフトタイヤで周回を続けラップタイムを上げていく。セッション終盤に黄旗提示もあったがミルはその影響を受けることなくラストラップでベストタイムを更新し、チームにとって今シーズン初となるフロントローを獲得した。リビオ・スッポ チームマネージャー「あともう少しでポールポジションを獲得できそうだったジョアンには素直に嬉しい気持ちなのですが、アレックスは天候に翻弄されてしまい本来の力を発揮することができなかったので少し複雑な気持ちでもあります。ジョアンにとっては決勝をフロントローからスタートできることは大きな武器になりますし、この週末どんなコンディションでも常に高いパフォーマンスを発揮していたので決勝でも必ず活躍してくれるでしょう。アレックスに関してはウェットコンディションでなかなかセッティングが決まらず苦戦が続き、FP4でやっとフィーリングと自信を取り戻すことができたのですが、Q1ではタイヤの選択をミスしてしまったためにピットインを2回することになり、時間を大きくロスしてしまいました。グリッドがかなり後方になってしまったのでアレックスは追い上げレースとなりますが、決勝ではいつものように強い走りをしてくれると確信しています。」ジョアン・ミル「フロントローを獲得できたことももちろん嬉しいけど、自分達がレース毎に前進していることをきっちり見せることができたことが何より嬉しいよ。正しい方向に進んでいるから自信もどんどんついてきているから、予選で難しいコンディションでも攻めの走りをすることができたのだと思う。フロントローからスタートできることは素晴らしいことだけど、それ以上にポジティブだと思えることはマシンのフィーリングが最高に良いってことだね。」アレックス・リンス「Q1で戦略をミスしてしまったことが敗因だったね。最初にウェットタイヤでピットアウトして、ピットイン後にマシンを乗り換えてスリックタイヤでアタックするつもりだったんだけど、ピットアウトしたらアウトラップで何度も転倒しそうになり、どうすることもできずもう一度ピットインするしかなかった。そこからまたウェットタイヤで再度ピットアウトしたんだけど時間がなくて1周しかタイムアタックすることができず、そのアタックラップに他ライダーの転倒により黄旗が提示されてタイムがキャンセルされてしまったから、もうどうすることもできなかったんだ。でも昨日と比較するとフィーリングがかなり良くなったから決勝に向けての気持ちは前向きだよ。かなり後方からのスタートだから厳しいレースにはなると思うけど、とにかく全力で追い上げるよ。」