新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な感染拡大で中止・延期が続いていたロードレース世界選手権が、7月19日にスペインのヘレス・サーキット-アンヘル・ニエトで行われた第2戦スペインGPで再開した。さらに、2週連戦で今週末は第3戦アンダルシアGPが開催される。同じサーキットで連続開催されるのは、新型コロナウイルス対策を講じた規定を厳守するための特別処置で、ヘレスが位置するアンダルシア州にちなみ、初の「アンダルシアGP」として開催される。
再開した2020年シーズンの新カレンダーは、スペインのヘレスを皮切りに、チェコ、オーストリア、イタリア、フランス、そして、スペインのカタルーニャ、アラゴン、バレンシアを含む5か国8サーキットで13戦が行われる。今大会のように5会場が2連戦となり、さらに3連戦が3回というハードスケジュール。さらに、新型コロナウイルスの状況に応じて、南米と東南アジアでさらに3ラウンドが追加される可能性がある。サーキットでは、選手、スタッフなど、すべてのMotoGPスタッフに厳格な健康管理規定が適用され、会場では厳密なソーシャルディスタンスの保持が実施される。最小限のスタッフ、そして無観客で開催と、まさに前例のない形でのシリーズとなっている。先週行われた第2戦スペインGPでは、ディフェンディングチャンピオンのマルク・マルケス(Repsol Honda Team)が、決勝中に転倒、右腕上腕を骨折し、今週末のアンダルシアGPを欠場する(※)。負傷したマルケスは、バルセロナの大学病院で手術を受けた。手術は成功したが、復帰の時期などは未定。スペインGPでは、世界中のレースファンを魅了する素晴らしい走りを披露しただけに、一日も早い復帰が待たれる。カル・クラッチロー(LCR Honda CASTROL)も、スペインGPの決勝日の朝に行われたウォームアップセッションで転倒を喫し、決勝を欠場した。欠場の理由は脳震とうによるドクターストップだったが、その後、左手舟状骨の骨折が判明し、バルセロナの大学病院で手術を受けた。クラッチローは、今週末の第3戦アンダルシアGPに出場する予定。一昨年のスペインGPではポールポジション(PP)を獲得し、先週のスペインGPでも、大接戦の中で予選6番手と好走を見せた。ケガの回復次第となるが、アンダルシアGPでどんな走りを見せてくれるのか、注目される。中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)は、クラッチローの欠場、マルケスの転倒リタイアの中、先週のスペインGPをHonda勢トップの10位でフィニッシュ。今大会もその走りに注目される。スペインGPでは、フロントのフィーリングが完全なものにならず、得意とする中高速コーナーでタイムを稼ぐことができずに苦しい戦いを強いられた。この短いインターバルで、チームは問題解消に向けてデータを分析し、新たな戦いに挑む。ルーキーのアレックス・マルケス(Repsol Honda Team)は、デビュー戦となったスペインGPで12位。ポイントを獲得した。先週末のヘレスは大接戦で、フリー走行では1秒差に20台前後がひしめく激戦となtt。今週のアンダルシアGPでは、さらに一歩前進する走りと自信を獲得する意気込みだ。ヘレスは、1987年に初めてグランプリが開催された。それ以来、スペインGPの舞台として定着。先週の大会で34回目となる(88年はハラマで開催)。今週は35回目となるが、アンダルシアGPとしては初開催。今週も40℃近い暑さと50℃を超える路面温度との厳しい戦いが待ち受けている。※その後、マルク・マルケスはメディカルプロトコルをクリア。土曜日の走行状況を見て出場を決定アルベルト・プーチ|Repsol Honda Teamマネージャー「世界選手権を戦うライダーは、だれもがケガをして手術室へ行く可能性を持っています。残念ながら今回は私たちのチームの番で、マルクが手術をしました。回復には少し時間がかかりますが、手術は順調だったことはうれしいです。ミル医師と彼のチームが、転倒から手術が終わるまで、すべての状況を管理しました。手術が成功したことでRepsol Honda Teamのモチベーションは上がっていますが、マルクが回復して戻ってくるまではしばらくの辛抱です。カル・クラッチローも手術を受けて、順調でした。これからの一番の目標は金曜日に手首の状態を確認することです。彼の参戦が可能かについては楽観的です。今週末はアレックスが一歩前進できるようにサポートすることに集中します。このカテゴリーでは初めてのシーズンですが、彼は若いので、毎週前進し、成長していきます。彼がレースでトップとのギャップを縮められることを願っています」ルーチョ・チェッキネロ|LCR Hondaチームマネージャー「カルの左手首の手術を行ってくれたミル医師と、メディカルチームに感謝したいと思います。骨折の治療のために、舟状骨に小さなスクリューピンを挿入しました。手術はうまくいき、カルは午後に退院することになりました。すべてがうまくいけば、木曜日の午前中にヘレスのサーキットに戻ってきます。そのときにドルナ(MotoGP主催者)のメディカルディレクターに会う予定です。テクニカルスタッフは金曜日の午前中のプラクティスセッションでカルがテストできるように準備を進めています」中上貴晶(MotoGP 総合10位)「前回のレースはとても厳しいコンディションでしたが、完走することができました。結果は思ったようなものではありませんでしたが、気持ちはとてもポジティブです。同じサーキットで、同じコンディションで、再びチャンスがあるのはいいことです。ヘレスは暑いですが、いいスピードがあり、マシンとチームにポテンシャルがあることは分かっています。前回のレースでは運がありませんでした。それがポテンシャルに影響してしまいました。今週末、再び戦う準備はできています。一番の目標はトップ6に入ることです」アレックス・マルケス(MotoGP 総合12位)「まずはマルクとカル、そしてアレックス・リンス(スズキ)が早く回復することを願っています。僕は自分の仕事と目標に向けて全力でプッシュし、目標を達成したいです。取り組みは、先週と同じです。同じサーキットでレースが行われるのはとても興味深いです。ほとんどのライダーがいいベースのセッティングを持っているので、最初からとても速いタイムが出ると思います。僕も今週末に向けて自信があります。初めてのGPでたくさんのことを学びました。それを今週は活かしたいと思います」
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