2025年F1モナコGPの金曜プラクティス初日、恒例のチーム代表記者会見が開催され、メルセデスのトト・ヴォルフ、ウィリアムズのジェームス・ボウルズ、そしてアストンマーティンのアンディ・コーウェルが登壇した。会見では各チームのアップデート状況、若手ドライバーの育成、戦略面での変化、そして2026年の新レギュレーションを見据えた開発体制について多岐にわたる議論が交わされた。
Q:アンディ、イモラで導入されたアップデートは好感触だったが、ここモナコでも機能しているのか?アンディ・コーウェル: 正直なところ、まだ何とも言えない。イモラではうまくいったが、ここでは比較テストをしていない。イモラで得られたデータには満足しているから、FP1から2台ともアップデートを全部載せて、その状態で最適化していく方針だ。Q:今週末、エイドリアン・ニューウェイがアストンマーティンのガレージにいるのが話題になっている。現場ではどう迎えられていて、どんな影響が出ている?コーウェル: エイドリアンは3月にファクトリーに来たときも現場でも温かく迎えられている。ミーティングではエンジニアたちと一緒にデータの見方やセットアップの方向性を見ていて、ガレージでも現場の様子を観察してくれている。みんな彼が加わったことを嬉しく思ってる。Q:彼はどれくらい現場で手を動かしている?コーウェル: ノートを手に集中して観察しているよ。鉛筆でメモを取りながら、私ともいくつか会話をしている。話をするたびにタスクリストが増えるけど、全部前向きなアクションだから悪くない。Q:ジェームス、ウィリアムズはここ3戦で連続してダブル入賞を果たしている。チーム内でも手応えを感じているか?ジェームス・ボウルズ: 確かに少し前進できていると思う。裏でやってきたことがようやく形になってきている。でも、今のF1はすごく競争が激しいから油断はできない。シーズン当初からの目標は2台ともポイントを取ることで、それは簡単じゃない。これまで取りこぼしたポイントもあるけど、いろんなサーキットで戦えているのは心強い。Q:アレックス・アルボンは今季ここまでほぼ全戦でポイントを獲得している。去年と比べて何が進化した?ボウルズ: 間違いなく進化している。去年のボクシングデー、つまり12月26日からすでにトレーニングを始めていた。クリスマスの食事を終えてすぐにね。週末全体を通じてすごくクリーンに走れているし、小さなミスもない。セッションごとに積み重ねていくアプローチができている。そして隣には世界トップレベルのドライバーのデータがあるから、それも彼を引き上げている。シミュレーターでの作業も、コミュニケーションも、すべてがレベルアップしている。Q:今週末の滑り出しも良さそうだったが、FP1での感触は?ボウルズ: FP1のタイム自体にはあまり意味はない。燃料の量も違えば、エンジンモードも違う。そもそもクリアラップが取れるかどうかも運次第だしね。でも、まずまずのスタートは切れたと思う。バランス面では少しズレがあったから、そこをFP2で修正する必要がある。Q:2ストップ義務ルールが導入された今週末のモナコ。戦略的にいつもと違うチャンスが生まれると思うか?ボウルズ: モナコでは正直あまり良い戦績を持っていないから、私に聞くのが正しいかは分からないけど、今回のルール変更はF1にとって良いことだと思うよ。もう前で隊列を抑えてレースをコントロールするってことができなくなる。序盤でピットに入る車も出てくるだろうし、それによって全体の展開が動いていく。予測がつかない状況になるし、それは私たちにとってプラスだ。F1はスポーツであり、ショーでもある。今回の変更はその両方にとって良いと思う。Q:トト、イモラではマシンの限界を理解しようとしていたが、どんな結論に至った?トト・ヴォルフ: まず最初に、ここにアンディとジェームスが並んでいるのを見るのは、私にとって特別な瞬間なんだ。2人とも以前はメルセデスで一緒に戦ってきた仲間だし、アンディがシャシーに取り組んでいるなんて想像もしてなかった。彼はエンジン畑の人間だったからね。私たちは共に数多くの勝利と苦難を経験してきた。そして今、2人がチームを率いる立場にいることは、メルセデスとしても誇らしい。Q:2人が将来的にチーム代表になると予想していた?ヴォルフ: アンディは私が今まで見てきた中で最も優れたマネージャーの1人だ。人を動かす力もあるし、技術力も抜群だった。土曜の予選後、エンジンに問題が出ると、自らピストンやシリンダーヘッドに手を突っ込んで対応していた。私は「爪が汚れているか?」って聞いてたよ。それが本気で関わってる証だったからね。ジェームスについても、メルセデスでチーム代表になる力は十分にあった。ただ、私がその座にいたから別の道を選んだんだ。でも今、それが正解だったことが分かる。彼はウィリアムズを本当に良い方向に導いている。ちなみに、あのスクリーンが止まった有名なレース戦略のトラブルも、今となっては大きな学びになった。Q:で、イモラで実際に何が問題だった?ヴォルフ: 正直、完全にマシンの方向性を間違えた。あとから分析するのはつらいが、ハッキリ言って我々はやらかした。ドライバーに渡したマシンは非常に扱いづらいもので、タイヤもかなりオーバーヒートしていた。それがパフォーマンス不足の主な原因だった。Q:ではモナコでは?ヴォルフ: モナコのFP1も特別に良かったとは言えない。ただし、イモラとは特性がまったく違うサーキットだから、学ぶ内容も異なる。ジェームスも言っていたように、大事なのはまずラップを重ねること。そしてタイヤの温度管理、バランス調整を進めていくことが重要だ。キミ(アントネッリ)はF2ではここを走ったが、F1では初めてだ。ルーキーにとっては、マシンを信頼して限界まで攻められるようになるには時間がかかる。でも、明日の予選までには彼もちゃんと仕上がってくると信じている。Q:今季のマシン特性を見ると、モナコには向いていると言えるか?ヴォルフ: シンプルに言えば、私たちのマシンは「寒ければ速く、暑ければ遅い」。去年もそうだったし、今季も基本は変わっていない。今回も結局は予選勝負になる。新しい戦略ルールがあっても、ベースの構図は変わらない。ドライバーがマシンに自信を持てなければ、結果は出ない。今の段階で、私たちが優勝候補だとはとても言えない。ウィリアムズも速いし、アロンソもいいタイムを出していた。だからこそ、謙虚にやれる...