2025年F1モナコGPの開幕を前に、木曜のFIA公式記者会見に登壇したのは、フェラーリのシャルル・ルクレール、アルピーヌのピエール・ガスリー、そしてレッドブル育成から昇格したレーシングブルズのルーキー、アイザック・ハジャーの3名。ホームGPとなるルクレールは冷静な分析を交えながらも、奇跡への希望を口にし、特別な舞台への強い思いをにじませた。
3人は前夜に行われたF1映画『F1』の特別試写会を皮切りに、モナコへの抱負、先週のイモラでのバトルの舞台裏、さらにはアイルトン・セナへの敬意まで、多岐にわたるテーマで率直な思いを語った。中でも、F1という競技の魅力と責任を再認識させる、現代のSNS社会における「敬意」の重要性についての発言は、静かだが力強い印象を残した。Q:昨夜は映画『F1』の特別試写会が行われました。感想を聞かせてください。ピエール、あなたからお願いします。ガスリー:正直、とても良かったよ。映画を初めて観られたのは本当にクールだった。素晴らしい出来だったと思う。F1にとっても、我々の世界を覗き見る素晴らしいチャンスだよ。ハリウッド映画ではあるけど、個人的にブラッド・ピットのファンだし、彼のおかげでF1ドライバー全員がカッコよく見える。制作陣も素晴らしい仕事をしてくれた。あまりネタバレはしたくないけど、F1をよく知らない人たちにも楽しんでもらえる映画になると思う。Q:シャルルは?ルクレール:本当にクールだった。僕たちはF1ドライバーとして観ているから、細かい部分が現実と違うことにはすぐ気付くけど、でもとてもハリウッド的で、それが良かったと思う。F1ドライバーだけでなく、もっと幅広い観客層を対象にしているんだろうね。素晴らしい作品だったよ。シーンの迫力もすごかったし、車に取り付けられたカメラの映像やアングルもとても印象的だった。ブラッド自身も少し運転したと聞いているけど、すごいことだと思うし、きっと楽しかったはず。F1にとっても素晴らしいことで、今まで届かなかった人たちにも届く作品になるだろうね。ストーリーテリングも良かった。Q:アイザックは?ハジャー:F1の映画を観るって、ちょっと変な感覚だった。すごく不思議だったけど、F1というスポーツをさらに次の次元に押し上げるものだと思う。スポーツがもっと大きくなるだろうし、それはいいことだよね。2人が言ったように、僕たちドライバーからすると批判的に観てしまう部分もあるけど、F1を知らない子供や初心者には最高の入門になると思う。Q:地元ヒーローに戻りましょう。シャルル、昨年は素晴らしい結果でした。今年も再現できる可能性は?ルクレール:正直に言うなら、低いと思う。残念だけど、僕たちのマシンは低速コーナーで特に苦しんでいて、モナコは全部低速コーナーだからね。理論上はあまり期待できるサーキットではない。ただ、モナコは他のどのサーキットとも違って特殊だから、明日走り出したら予想以上に良いサプライズがあるかもしれない。それを期待しているし、もしそうなれば、土曜日に勝負できるよう頑張る。予選がこの週末のすべてだから。でも、紙の上では厳しい戦いになると思う。Q:ここでいつも速いあなたですが、マシンが完璧でなくてもドライバーが差を生み出せる部分はありますか?ルクレール:ある程度の差は作れると思う。ポールなんて無理だと思っていても、Q3では期待を背負ってないぶん限界まで攻められることもある。2021年がいい例で、あの年は全然戦えてなかったけど、ここではポールを取れた。だからまだ希望はあるよ。去年のこともまだ記憶に新しいし、このパドックに戻ってきて、その時の感情が蘇ってくる。本当に特別な瞬間だった。Q:ピエール、次はあなたです。隣にシャルルがいますが、先週末のピラテッラでの出来事について話し合う機会はありましたか?ガスリー:うん、レース直後に話したし、その後も映像を見返してからモナコ入りしてもう一度話したよ。すべてクリアになっている。前のラップでもターン7でいいバトルをしていて、シャルルがノーズを突っ込んできて軽く接触があった。ターン8まで並走したんだけど、スペースを空けながらポジションを守ろうとしてた。でも結局、コーナーを曲がりきれると思ったけど、グリップが予想より低くてね。全部話し合って解決済みだよ。オフでは仲が良いけど、トラック上では全力で戦う。それが当然さ。Q:じゃあ問題はないと?ガスリー:うん、大丈夫。Q:ピエール、あなたはモナコで常に好成績を残してきました。F1キャリアで5回のポイント獲得があります。今週末について、アルピーヌのパフォーマンス予想を教えてください。ガスリー:シャルルも触れていたように、モナコはパフォーマンスを予測するのが難しいサーキット。マシンの性能差が縮まりやすい場所だから、ドライバーとしての影響力が大きくなる。僕にとってはチャンスに満ちた週末になると思ってる。かなり楽観的に見ているし、ポイント獲得のチャンスもあると信じてる。このコースは本当に好きで、毎年良い結果が出ているから、今年も楽しみにしてるよ。Q:今週は2ストップ義務レースですが、それが戦略のチャンスになると思いますか?ガスリー:僕は常に前向きに捉えるタイプだから、これはチャンスだと思う。不確定要素もあるけど、それを恐れるんじゃなくて受け入れるべき。正直、誰にもこれがどう影響するのかはわからない。何も変わらないかもしれない。ただ、ひとつ確かなのは、予選が引き続き重要だってこと。予選をうまくやれば、大きな仕事を成し遂げたも同然。でも戦略の幅が少し広がるのは確かだから、そこに期待している。Q:アイザック、あなたに移ります。記者会見は久しぶりですね。今季ここまで7戦中4戦で、フェルスタッペンに次ぐレッドブル勢2番手となっています。順調ですね。これまでの進歩を振り返って、F1カーへの適応は予想より早かったですか?ハジャー:そうだね。シーズン当初は不安があった。テストの機会が少なかったから、「このマシンをちゃんと扱えるのか?速すぎるんじゃないか?」って心配してた。でも今はもう疑念はないし、期待してたよりも早く順応できた。ここまでの展開は自分の想像以上で、これ以上望むことはないくらいのスタートだよ。Q:今週末のモナコについては?昨年のF2では勝利にあと一歩でしたね。リベンジの思いはありますか?ハジャー:いや、リベンジという感じではないけど、モナコではいつも良い経験をさせてもらってる。16歳のとき、ここで...
全文を読む