メルセデスF1代表トト・ヴォルフは、ジョージ・ラッセルのF1カナダGP優勝に対するレッドブルの抗議を「みっともない」と厳しく批判した。モントリオールで行われたレースでは、終盤にランド・ノリスのクラッシュによるセーフティカー導入が発生。ラッセルはトップを守り切り、自身とメルセデスにとって2025年シーズン初勝利を挙げた。しかしレース後、レッドブルはラッセルのセーフティカー下での振る舞いについて2件の抗議を提出した。
1件目は、ラッセルがフェルスタッペンにオーバーシュートさせるような不規則な走りをし、その後の無線で彼を非難した行為を「スポーツマンらしくない」としたもの。2件目は、セーフティカーとの間隔を10台分以上空けたとして違反を主張したものだった。だが後者の抗議は、ラッセルがステアリングに表示されるデルタタイムに従っており、かつセーフティカーが加速したこともあったため、レッドブル側が自ら取り下げた。FIAは最終的に両方の抗議を退け、正式結果の確定はレース終了から5時間後となった。この騒動について、ヴォルフはニューヨークで開催されたF1映画のワールドプレミアの場でSky Sportsに次のように語った。「まず、レッドブル・レーシングが抗議を出すまでに2時間もかかった。それがもう彼らのやり方を物語っている。正直言って、くだらないし、みっともない」「マイアミでも同じようなことをしてきた。今回は2件も抗議を出して、そのうち1件は自分たちで取り下げた。あまりにばかばかしいからだ」「彼らは意味不明な条項を持ち出してきたが、FIAもこういう事例には注意する必要がある。飛躍しすぎていて、当然却下された。レースというのはトラック上で勝ち負けを決めるものだ。今回の勝利は我々にとって正当なものだったし、彼らが過去に挙げてきた多くの勝利と同じだ。だからこそ、こんな抗議はみっともないだけだ」さらにヴォルフは、フェルスタッペン自身もこの抗議には納得していないはずだと指摘した。「『スポーツマンらしくない行為』なんて、そもそも何のことだ? 誰がそれを判断するんだ? 僕にはまったく理解できない。マックスはそんなことで抗議なんかしない。彼はレーサーだ。こんな些細なことで文句を言う人間じゃない。僕は100%そう確信している」一方で、レッドブルF1代表クリスチャン・ホーナーはSkyの取材に対し、「抗議したことに後悔はない」と断言した。「我々はおかしいと思ったことを見た。それに対してスチュワードの判断を仰いだだけで、これはチームとしての正当な権利だ。だから全く後悔はしていない」FIAは、セーフティカー下での断続的なブレーキングはタイヤに熱を入れるために一般的で、今回も違反には当たらないと判断。また、ラッセルが無線でフェルスタッペンに言及した件についても、ライバルを罠に嵌めようとする意図は認められなかった。なお、フェルスタッペンは現在、累積ペナルティポイントによる1戦出場停止にあと1点と迫っており、ホーナーはこの点に警戒を強めている。「何らかの“ゲーム”的な動きが起こるのは当然予想されていた」とホーナーは述べ、FIAに事前に注意喚起していたことを明かした。「レースディレクターとのブリーフィング後に『そうした行動があるかもしれないから注意して見てほしい』と伝えた。メディアでもそういう指摘があったし、目を光らせてもらうためのお願いだった」「でもマックスは週末を通してクリーンだったし、とても良いレースをしていたと思う」
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