メルセデスF1チームのテクニカルディレクターを務めるジェームス・アリソンは、今年のF1ではDAS(デュアル・アクスル・ステアリング)が注目を集めているかもしれないが、2020年F1マシン『W11』にはそれ以外にも驚くべきイノベーションに溢れていると主張する。メルセデスW11に搭載されている独創的なDASはF1プレシーズンテストのオンボード映像で明らかになった。ドライバーはステアリングを押し引きすることでフロントタイヤのトー角を変更することができ、タイヤ温度やストレートスピードに影響を与えると考えられている。
しかし、ジェームス・アリソンは、注目を集めているのはDASだが、W11にはライバルのレーダーには捉えられていない多くの追加機能が詰め込まれていると明かした。「マシンは望むことができるくらい美しい。1000人の革新と創造性の現れだ」とジェームス・アリソンは語る。「今年のマシンには、DASのように人目を引く派手なものが存在するが、マシンの実体のあらゆる部分、あらゆるレベルの革新が書かれている」ジェームス・アリソンは、その1例として1つのコンポーネントを挙げた。「リアサスペンション下部のウィッシュボーンだけをとってもそうだ。我々は実質的にフロントとリアの脚を入れ替えた」「それは視覚的にそれほど劇的ではないので、マスコミであまり注目を集めていないが、そうすることで、エアロダイナミストが高エネルギーの空気を送りたいマシンの部分に高エネルギーの空気を吹き込むことができる」「そのような曲芸をすると、多くのメインの力が、脚を非常に異なる経路を走ることになるが、昨年のマシンでうまく機能したことがわかっているのと同じドライビング特性を維持するために、これを行うために構造側、ギアボックス、サスペンション、クラッシュ構造で作業するすべての人々が、運動学的に優れ、十分に強く、十分な剛性のあるサスペンションのレイアウトを組み立てるために自分たちの仕事をつく詰めた」「それを実現するには数十人のスキルが必要だった。リアサスペンション下部のウィッシュボーンを見れると、それを生み出すことのできるチームを本当に誇りに思う。同じように賢く熟練したエンジニアたちだ」ジェームス・アリソンは、DASとリアサスペンション下部のウィッシュボーンは、イノベーションの2つの例にすぎないと語る。「このスポーツに参加することの素晴らしい点の1つは、何百人もの人々が生み出すこの創造性の海に浸ることができるということです。全員が同じ最速のマシンを作り出し、レースでトップを争うよいう目標に焦点を当てている」