マクラーレンは、フェラーリが投入した革新的な“マカレナ”リアウイングを目の当たりにした瞬間、まず「それは本当に合法なのか」という疑問を抱いたことを明かした。プレシーズンテストの段階で注目を集めたこの可動式ウイングは、2026年F1レギュレーションの解釈を巡る象徴的な事例となっている。一方で、FIAはこの設計に対して明確に問題なしとの見解を示しており、各チームが想定していた以上に設計自由度が残されている現実も浮き彫りとなった。結果として、今季のマシン開発は“収束”ではなく“分岐”へと進んでいる。
「それは合法なのか?」マクラーレンが抱いた第一印象マクラーレンのチーフデザイナーであるロブ・マーシャルは、フェラーリのリアウイングを初めて見た際の率直な反応を明かした。「我々は今回のレギュレーションがかなり規定的なものになると思っていた」「昔は数値ベースの単純なボックス制約だったが、今は複雑なCADモデルで制御されている。一見すると自由度は低く、マシン形状はほぼ決まってしまうように見える」「だが実際に最初のイベントに来てみると、他チームのマシンにはまったく異なる解決策がいくつもあった」「フェラーリのリアウイングを見たとき、誰もが『なるほど…でもこれ本当に合法なのか?』と思ったはずだ」「そして答えは『合法だ』だった。だから『よくやった』ということになる」この“マカレナ”ウイングは、フラップが約270度回転する構造を持ち、ストレートでは航空機の翼のように揚力を生み出して最高速を高める設計とされる。従来のDRSとは異なる思想であり、空力概念そのものを拡張するアプローチだ。レギュレーションは“収束”ではなく“多様化”を生んだ2026年F1レギュレーションは、当初は設計の自由度を大きく制限し、各チームのマシンが似通うと予想されていた。しかし現実には、マーシャルの証言が示すように、その逆の現象が起きている。「すべてのマシンに、我々がまったく考えていなかった要素が何かしらある」フロントウイング形状もチームごとに大きく異なり、「同じものになる」という予測は完全に外れた。フェラーリはリアウイングだけでなく、エキゾースト出口でも独自の解決策を採用しており、設計競争はむしろ活発化している。アウディとアストンマーティンも独自路線を提示マーシャルはフェラーリ以外にも、複数のチームの設計に言及している。「グリッド全体を見渡すと、特に興味深いのはアウディのサイドポッドだ」「誰もが無難な設計になると思っていたが、彼らは明確に異なるアプローチを採っている」さらにアストンマーティンについても言及し、サスペンション設計における独創性を評価した。「アストンマーティンのサスペンションは非常に興味深い。リアはかなり野心的で、フロントもまた興味深い構造だ」「我々が昨年採用したコンセプトに近い部分もある」“抜け道”ではなく“解釈勝負”の時代へ今回のフェラーリの事例が示しているのは、レギュレーションの“抜け穴”を突いたというよりも、“解釈の幅”を最大限に活用した設計競争への移行だ。FIAが即座に合法と判断したことは、今後も同様の革新が各チームから登場する余地を残していることを意味する。結果として2026年F1は、規則による均質化ではなく、創造性による差別化が勝負を分けるシーズンになりつつある。