マクラーレンF1のスポンサー企業であるDPワールドが、長年トップを務めてきたスルタン・アハメド・ビン・スライエムの解任を発表した。いわゆる「エプスタイン文書」に関連する情報が明らかになったことを受けた人事刷新だ。発表はドバイ政府メディアオフィスを通じて行われたが、声明の中でビン・スライエムの名前は言及されなかった。その代わりに、同氏が務めていた役職について、エッサ・カジムが取締役会会長に、ユブラジ・ナラヤン(元グループ副CEO兼最高財務責任者)がグループCEOに就任したことが確認された。
公開された電子メールの内容によれば、ビン・スライエムは2008年に未成年者買春の罪で収監された後も、ジェフリー・エプスタインとの関係を数年間維持していたとされる。エプスタインは2019年に未成年者の性的人身売買容疑で再び逮捕され、同年に拘置所内で死亡。死因は自殺とされた。当初、米司法省が公開した資料ではビン・スライエムの名前は黒塗りにされていたが、今週、ケンタッキー州選出の共和党下院議員トーマス・マッシーがその存在を明らかにした。マッシーによれば、2009年にエプスタインからビン・スライエムに送られた電子メールには「どこにいる?大丈夫か?拷問ビデオが気に入った」との文面が含まれていたという。内容の詳細は明らかにされていないが、他のメールではエスコートサービスやマッサージサービスの情報をやり取りしていたことも示されている。これらの暴露を受け、英国の開発金融機関であるブリティッシュ・インターナショナル・インベストメントはDPワールドとの業務を一時停止した。同機関は声明で「エプスタイン文書におけるスルタン・アハメド・ビン・スライエムに関する疑惑に衝撃を受けている」と述べている。DPワールドは自社ウェブサイト上からビン・スライエムに関する複数のページを削除した。物流大手である同社は2023年からマクラーレンF1のスポンサーを務めており、それ以前はルノーを支援していた。F1パドックにおいてスポンサー企業の信頼性は極めて重要だ。マクラーレンF1はランド・ノリスとオスカー・ピアストリを擁するトップチームであり、主要パートナーの動向はチームのブランド価値にも直結する。今回の迅速な人事交代は、企業としてのリスク管理を優先した判断とみられるが、エプスタイン文書の波紋はモータースポーツ界にも及ぶ形となった。
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