マクラーレンF1のチーム代表アンドレア・ステラは、オスカー・ピアストリが今季見せている目覚ましい成長を称賛し、「2025年のF1ワールドチャンピオン争いにふさわしい存在となった」と評価した。24歳のオーストラリア人ドライバーは、今季ここまで10戦中5勝を挙げ、チームメイトのランド・ノリスに対して22ポイントのリードを築いて選手権首位に立っている。3年目のシーズンで一気にトップドライバーへと成長を遂げた形だ。
スピードと技術で飛躍ステラはピアストリの進化について、最大の要因は「純粋な速さの向上」だと指摘する。「最も大きな進歩は、オスカーがより速いドライバーになったことだと思う。速さがあれば、状況を処理する余裕も生まれるし、それはマシンに乗っているときも、マシンの外にいるときも同じだ」とステラは語った。「速さがあることで、細かな改善を重ねる余地ができる。そしてそれが週末の総合的なパフォーマンスにつながり、今のような結果を生んでいる」デビューイヤーからポテンシャルの高さは見せていたピアストリだが、予選での一貫性に欠ける傾向があり、2024年はノリスに対して予選成績で20勝4敗と大きく差をつけられていた。しかし2025年は状況が一変。ピアストリは予選で優位に立ち、さらにタイヤマネジメントにも改善が見られ、決勝での勝負強さが光っている。これにはマクラーレンのMCL39のタイヤ性能の高さも一因とされている。「冬の取り組みが決定的だった」ステラは、オフシーズンにおけるピアストリの総合的な準備が、今季の躍進の鍵だったと明かす。「冬の間に、特定の領域に対して非常に的確なアプローチがなされ、全体的にバランスの取れた取り組みだった。オスカーはあらゆる面に注意を払っていた」予選一発の速さからレース戦略、メンタル面まで、多角的なアプローチがピアストリのパフォーマンスを一段と引き上げた形だ。こうした成長を支えてきたのが、マネージャーで元F1ドライバーのマーク・ウェバーだ。ピアストリを2022年夏にアルピーヌからマクラーレンへと移籍させた立役者であり、現在もチャンピオン争いのプレッシャーに向き合ううえでのメンタル面を支えている。ステラは次のように語る。「この成長の功績はもちろんオスカー自身に帰すべきだが、彼を取り巻くチームについても言及したい。エンジニア陣やファクトリーの分析スタッフ、そしてマーク・ウェバー率いるサポートチーム。彼ら全員の支えがある」王座獲得へ、盤石の体制マクラーレンは今季、コンストラクターズとドライバーズの両選手権で首位に立つ盤石の体制を築いており、2人のドライバーがいずれも高いレベルで戦っている。そのなかでピアストリは、もはや“新星”ではなく、“王者候補”としての風格を漂わせ始めている。シーズンが折り返しを迎えるなか、アンドレア・ステラの言葉が示すのは、ピアストリの成功が偶然ではなく、データに基づく綿密な進化と本人の弛まぬ努力の賜物であるという事実だ。