マクラーレンのテクニカルディレクターを務めるジェームス・キーは、ワーキングの本社に新しい風洞施設を完成させることは、マクラーレンの持続的な復活を確実なものにするための重要な要素だと語る。マクラーレン・テクノロジー・センター(MTC)に風洞があるが、マクラーレンは過去10年にわたってケルンにあるトヨタの風洞を使用してF1マシンを開発してきた。
ジェームス・キーは、トロロッソから移籍して新しい役割を引き受けるため際に新しい風洞がウィシュリストのトップにあったと述べ、それは新しいチームプリンシパルのアンドレアス・ザイドルにとっても優先事項だったと語る。「アンドレアスと私が参加したとき、風洞は大きなプロジェクトのひとつつだったと思う」とジェームス・キーは語る。「テーブルに乗ってはいたが、合理化と議論が必要だった。それがまさに私たちがやったことだ」「オプションはあったが、最も論理的なオプションはワーキングの敷地内に新しい施設を設置することだった。私たちは、コストに関して株主から非常に前向きで積極的な支援の回答を得た」ジェームス・キーは、ケルンになるトヨタの既存の施設がまだ“非常に優れたサービスを提供している”と認めるが、進むべき時が来たと付け加えた。「私たちは過去10年にわたってトヨタと素晴らしい関係を築いてきた。しかし、現在、多くのF1チームの最先端の風洞と比較して老朽化している」ジェームス・キーは、コンピューターシミュレーションとCFD(計算流体力学)が利用可能であったとしても、空気力学に関しては実用的なテストに代わるものはないと感じていると語る。「現代のF1の風洞の技術は傑出している。目につかないところに隠されている小さな秘密の1つだ」とジェームス・キーはコメント。「風洞で何が行われているかを見れば、現在の風洞試験を取り巻く方法には膨大なテクノロジーと興味深いテクニックと方法論がある」「CFDと風洞は、特に混沌とした状況にあるモーターレースで互いに非常によく補完し合っている。クルマはあちこちが動き回っているし、回転するタイヤと空気の流れには多くの複雑さがある」「CFDは、それらの気流がどのように機能しているかを理解し、エンジニアとして何が起こっているかを示す素晴らしい仕事をしる。しかし、10分間隔で複数の条件をライブで行うことはできない。風洞ではそれができる」「最終的にはCFDもそれを実現するだろうが、風洞ができることを正確に再現し始めるのはまだまだ先のことだ。我々は新しい世代のテクノロジーとテクニックを目指しているところだと思う。」それが実現するまでの間、ジェームス・キーは、マクラーレン・テクノロジー・センターの最新のより高度な風洞が、マクラーレンがミッドフィルドのライバルの前に留まるために役立つことを望んでいると語る。現在、コンストラクターズ選手権で4位にランクインしているマクラーレンは、今後のシーズンでメルセデス、フェラーリ、レッドブルのトップ3チームとの差を縮める方法を模索している。「将来的に真の進歩を遂げるには、パフォーマンスを直接影響する非常に重要なものが必要だった。チームを前進させるためにはその点でライバルに匹敵しなければならない」