マクラーレンのランド・ノリスは、F1アメリカGPの決勝で「最もバカげたルールのひとつ」と痛烈に批判した。彼は序盤からトラックリミット違反の警告を受け、レース中盤以降は常に5秒ペナルティのリスクを背負いながら走行していた。サーキット・オブ・ジ・アメリカズで行われた決勝では、フェラーリのシャルル・ルクレールとの2位争いの最中に3回の警告を受けたノリスは、以降の周回で慎重な走りを強いられた。
3回の警告で「白黒旗」、4回目でペナルティF1ではトラックリミットを3回違反すると白黒旗の警告が出され、4回目で5秒加算ペナルティが科される。ノリスはレース前半の10周目頃までにすでに3回の警告を受けていたという。「ターン9の丘の頂上と、最後の2つのコーナーが簡単にコースを外れやすい場所なんだ。10周目ぐらいで3回やっちゃって、あまりいい立ち上がりじゃなかった」とノリスはレース後に語った。19周目には再びルクレールとのバトル中に外側へ膨らみ、3度目の違反として正式にストライクを受ける形となった。ノリスはこの判定に強い不満を示し、ルールがレースの本質を損ねていると訴えた。「僕の1回のストライクは“レースをしていたから”という理由なんだ。これが僕らが持っている最もバカげたルールのひとつだよ。レースをしろと言われてるのに、レースをしすぎると罰則を受けるなんておかしい」「ルクレールの外側に出て抜こうとした時、逆にタイムを失ってるのに“トラックリミット違反”とされた。レースを盛り上げようとしてるのに、これじゃ意味がない」「特にターン19は風が強くて、挙動がすごく不安定だった。常に限界ギリギリを攻め続けるのは本当に難しい。正直、序盤で少しやりすぎた」「最後は慎重にならざるを得なかったけど、必要なリスクは取ったよ」とノリスは振り返った。トラックリミット規定がもたらす“逆効果”近年、FIAは安全性と公平性の観点から「白線の外側は走行不可」という厳格なルールを徹底している。しかし、オースティンのように風や路面の傾斜が大きく影響するサーキットでは、ドライバーが自然なラインで走るだけで“違反”とされるケースも多い。ノリスの主張は、レースアクションを促す一方で過度に厳格な適用が“戦う意欲”を削いでしまうという現行制度の矛盾を突いている。観客から見ても、白線1本で勝負が左右される光景は違和感を残す。FIAは今後も「公平性」と「エンターテインメント性」の両立という難題に直面し続けることになるだろう。