ランド・ノリスは、モナコGPで自身初となるモナコ制覇を達成し、「夢のひとつを叶えた」と語った一方で、「まだ取り組むべき課題がある」と冷静な自己評価も忘れなかった。ノリスはポールポジションからスタートし、オープニングラップのサン・デボーテで両フロントタイヤをロックさせながらも先頭をキープ。その後も2回の義務的なピットストップを挟みつつ実質的なレースリードを維持し、終盤にはマックス・フェルスタッペンとシャルル・ルクレールの挟み撃ちという緊張の展開を見事に凌ぎきった。
「信じられない気分だ」とノリスは喜びを語った。「モナコでの勝利はすごく特別だし、子どもの頃から夢見ていたことだった。今日はそれを叶えることができた。もちろん簡単じゃなかった。レースは長くて過酷だったし、最後の数周は特に神経を使った。後ろにはシャルルが迫っていて、前にはまだピットインしていないマックスがいたからね。どうにかしてギャップをコントロールしながら、リスクを最小限に抑える必要があった」「マックスがレースをスローにしたとき、シャルルが接近してきたのが一番厄介だった。でも、チャンスを与えないようにギャップをマネージしつつ、必要なときにプッシュして、必要なときにクールダウンするよう心がけていた。難しい戦いだったけど、勝てて本当に嬉しいし、チームもとても喜んでいる。今日は最高の夜になると思う」この勝利は、ノリスにとって今季2勝目であり、オーストラリア開幕戦以来となる勝利。これにより、ドライバーズランキングで首位のチームメイト、オスカー・ピアストリとの差をわずか3ポイントに縮め、タイトル争いに再び名乗りを上げた。ノリスがマクラーレンに勝利をもたらし、ピアストリも表彰台を獲得予選での復調がもたらした自信、そして冷静な自己分析しかしノリスは、今回の勝利がすべてを解決したわけではないと語る。「週末を通して小さな前進はあった。でも、それで全てが整ったというわけじゃない。まだ取り組むべき点はたくさんある」「チーム側には僕が最大限の力を発揮するために必要な“要素”を揃えてもらう必要がある。クルマが速いのは間違いない。でも、去年との違いもあるし、自分がベストを尽くせるようなセッティング面でのサポートが必要なんだ」「だから、チームとしても僕自身としても、まだやるべきことはある。でも昨日の予選にはとても誇りを持っている」ノリスはQ3で1分9秒954という驚異的なラップを記録し、シャルルからポールポジションを奪取。それは自身にとって予選での苦戦が続いた中での“復活”でもあった。「正直に言うと、今日の勝利より昨日の予選の方が感情的だった。もちろん、モナコでの勝利は素晴らしい。でも、僕にとっては予選で調子を取り戻せたことのほうが意味があった」「今シーズンはずっと予選で苦しんでいた。ジェッダではQ3でクラッシュもしたし、自分の得意分野であるはずの予選で苦戦するのは本当に辛かった。でもようやく昨日、自分らしい走りができた」「相手はオスカー、シャルル、マックスと、世界でも最高レベルのドライバーたち。そんな彼らと戦うには、自分も常に最高の状態でいないといけない。そのための努力をどれだけ積み重ねてきたかは、自分とチームだけが知っている」「だからこそ、この結果には大きな意味があるし、僕にとっては一歩前進なんだ」