アストンマーティンF1のチーフ・トラックサイド・オフィサーであるマイク・クラックが、ランス・ストロールのF1スペインGP欠場の背景と、今後の復帰見通しについて改めて説明した。ストロールは、スペインGP予選後に手首と手の痛みを訴え、メディカル・プロシージャ(治療)を受けるため決勝レースを欠場することがチームから発表されていた。
この痛みは、2023年のプレシーズン中にストロールが自転車事故で負った骨折が関係していると見られており、当時彼は手術を受けた上で開幕戦に出場していた。日曜の決勝後に話したクラックは、次のように語った。「これはすでに知られていることだが、2023年に始まったものだ。当時のケガを覚えているだろう。ここ数週間、痛みがあるという話があった」「もちろん、ドライバーに5分おきに『痛むか?』なんて聞いたりはしない。フィジオ(理学療法士)や彼本人と会話する中で、多少の不調があることはわかっていた」「2023年のストロールを見ればわかるように、彼は戦っていたし、彼ら(ドライバー)はとにかく運転したがる。ドライバーは痛みがあっても走りたいと思うものだし、実際に彼らは我々が思っている以上の痛みに耐えて走っていることも多い」「最近も、ここで少し、あそこで少し、痛みがあるという話はあったが、どれほど深刻なのかは分からなかった。そして今週末、ついに限界に達してしまったのだと思う」「最終的に、予選後の土曜にランスと彼のチームが相談して、再度チェックを受けることになり、レースには出ない方が良いという勧めを受けた」その上でクラックは、次戦カナダGPでの復帰についての現状をこう説明した。「私は医者ではないので、正確な予測や判断はできない。だからこそ、この話は少し難しい」「今後数日のうちに、さらに検査や診断が行われることになると聞いている。その結果次第で、もう少しはっきりするだろう」「現時点では、これから何が起きるかは本当に分からない。だが、もうすぐ分かるはずだ」ブラジル出身のドルゴヴィッチはアストンマーティンのリザーブドライバークラックは、チームの「プランA」がストロールのカナダGP出場であると強調しつつ、万が一の「プランB」についても次のように述べた。「基本的にはシンプルだ。『プランA』はランスがマシンに乗ること。それを実現すべく、全力で準備している。もし『プランA』が実行できなければ、『プランB』に切り替える必要がある」「もちろん、ル・マン24時間レースがカナダGPと日程が重なることは承知していたので、それに備えたプランも考えてきた。必要であれば、ル・マンに参加するドライバーでも連れてくるつもりだった」アストンマーティンのリザーブドライバーには、F2王者のフェリペ・ドルゴヴィッチと、フォーミュラEでも活躍するストフェル・バンドーンが登録されているが、2人ともル・マン24時間への出場を予定している。一方、アストンマーティン育成ドライバーでF2に参戦中のジャック・クロフォードは、F1出走に必要なスーパーライセンスのポイント要件を満たしておらず、起用は不可能だという。最後にクラックはこう締めくくった。「数日間の経過を見て、それから決断を下すことになる」