F1チームは、F1日本GPのキャンセルにより、予選上限ルールの下で120万ドル(約1億3000万円)の利益を得ることになる。今年からF1には予算上限が導入され、すべてのF1チームは1憶45000万ドルのコスト上限で作業をする必要がある。だが、これは21戦のカレンダーを元に算出された金額だった。
その後、グランプリ数は記録的な23戦に引き上げられた。これにより、コンストラクターは2つの追加のレースに対して追加の120万ドルの使用を許可された。だが、新型コロナウイルスの感染は収まらず、鈴鹿サーキットでのF1日本GPは2年連続で中止となった。F1は改訂版のスケジュールとして22戦に縮小されたカレンダーを発表している。しかし、F1日本GPの中止は比較的短期間で通知されたため、F1チーミは許可された1億4620万ドルの上限を継続することができる。F1の技術規則の第2.3条では「通年の報告期間中の競技会が、その競技会の開始予定日(または該当する場合は再スケジュール日)の3か月以内にキャンセルされた場合、それらの競争会は、該当する通年の報告期間に行われたと見なされるものとする」F1日本グランプリは10月10日に開催される予定だった、条項で定められた3か月の期間内である8月18日にキャンセルが発表された。120万ドルの差は、コスト上限の限界で運営しているレッドブル、フェラーリ、メルセデスなどがいくらか余裕ができる。レッドブルとフェラーリは、ライバルチームのドライバーによって引き起こされたクラッシュに巻き込まれ、経済的な圧迫となっていた。F1イギリスGPでは、ルイス・ハミルトンと接触したマックス・フェルスタッペンのマシンがほぼ大破し、F1ハンガリーGPではメルセデスのチームメイトであるバルテリ・ボッタスが1コーナーでブレーキングをミスしたことによってレッドブルの1台とマクラーレンの1台を破壊。同じコーナーでシャルル・ルクレールのフェラーリは、ランス・ストロール(アストンマーティン)に追突されてエンジンが使い物にならなくなった。マクラーレンF1のチーム代表であるアンドレアス・ザイドルは、キャンセルされたレースによる財政的後押しの影響は、クラッシュで発生した損害のコストを上回っていると考えている。「そこから得られるメリットと、それによるコスト上限の引き上げは、すでに大きなものだ。今年これまでに見たどのクラッシュよりも大きい」とアンドレアス・ザイドルは語った。