F1ハンガリーGPの舞台であるハンガロリンクが、開業以来最大規模の改修を進めている。全面再構築の完了は2026年4月を予定しているが、2025年のハンガリーGPは予定通り8月初旬に開催される見込みだ。6月20日(木)に行われた記者会見では、今年のグランプリ後にも継続される改修工事の詳細が明らかにされた。
記者会見の場には、新たに舗装されたスタート/フィニッシュライン上にレッドブルF1マシンが展示された。ただし、これは実戦車ではなく、2025年9月に予定されている「レッドブル・ショーラン」のPRを目的としたショーカーだった。ハンガロリンクは、このイベントにモータースポーツ・パートナーとして関わり、現場チームを提供することになっている。F1ドライバーたちが8月のレースでグリッドに並ぶ際、彼らの目に映るのは、新設されたメインビルとグランドスタンドに挟まれた、この圧巻の光景だ。記者会見で国防省スポーツ担当国務長官のアーダーム・シュミット博士は次のように述べた。「ハンガロリンクは、開業40周年を記念する今年、このような近代的な姿に生まれ変わるにふさわしいと確信している。このサーキットとF1ハンガリーGPは、ハンガリー現代史において不可欠な存在だ。イベントは政治的変化の風とともに到来し、数十年にわたってF1のスターたちに愛される場所となってきた。多くのモータースポーツファンにとって忘れがたい瞬間をもたらしてきた。また、ハンガリーGPは我が国で最も観客数の多いスポーツイベントでもある。昨年は30万人以上が訪れ、その約8割が海外からの来場者だった。このイベントの国内総生産(GDP)への影響は260億フォリントを超えており、政府が投資した1フォリントごとに1.5フォリント以上の経済的リターンを生んでいる」ハンガロリンク・スポーツZrtの会長兼CEOゾルト・ジュライは、新メインビルとグランドスタンドを紹介し、ここ3年と同様、2025年のレースウィークエンドも満席となる見通しだと述べた。「この歴史的な瞬間を迎えられたことに誇りを感じている。改修の過程を常に見守ってきたが、それでもこの完成形を見ると胸が熱くなる。これは単なるインフラ改修ではなく、ハンガリー・モータースポーツにとって新時代の幕開けだ。新メインビルとグランドスタンドは、ドライバー、チーム、ファンにとって世界最高水準の体験を提供するために設計された。建設作業は2026年まで続くが、外観だけでもすでに国際的に通用する現代的な会場が形を成している。この変革に関わったハンガロリンクのチーム、開発担当、施工コンソーシアム、そしてすべての協力者に深く感謝したい」またジュライは、F1の世界的な人気がかつてないほど高まっており、ハンガリーも例外ではないと強調した。決勝当日(日曜日)のチケットはすでに完売しており、金曜と土曜の分も残りわずかで、数週間以内に完売する見込みだという。「F1の新作映画のプレミアに出席してきたが、現場の興奮はレースウィークさながらだった。限られたサーキットしか登場しなかった中で、ハンガロリンクはその一つとして選ばれ、ブダペストの名もたびたび好意的に紹介されていた。ハンガリーの国際的なイメージ向上に、これほど貢献する存在はほかにないと感じた」ジュライによれば、今回の開発の目的は「老朽化したインフラを、プロフェッショナルなスポーツ運営に対応する経済的に持続可能な近代施設へと刷新すること」だという。新施設には、4つの技術用ガレージと36のレースガレージ、FIA基準のレースコントロールセンター、ホスピタリティ&VIPエリア、オフィス、屋上テラス、デポなどが含まれている。建設期間を短縮しつつハンガリーGPを維持するため、建物の構造にはプレハブ工法が採用された。これにより外観は完成形に近いが、一部施設の稼働は2026年まで延期されている。それでも、この会場は将来的にモータースポーツイベントのみならず、会議や大規模イベントにも活用される予定だ。新メインビルには36のレースガレージと4つの技術ガレージが配置され、1階には2000人収容のVIPエリア、プライベートボックス、80席のレストランが設けられている。少規模イベント時には、食事や懇親会などでも利用可能だ。そのほか、パドッククラブ用スペース、記者会見室、オフィスも完備。2階には運営およびスポーツ関連オフィスが入り、ルーフトップテラスはパドッククラブの延長として機能する。音響・通信・放送・セキュリティカメラなど、必要なインフラはすでに整備済みだ。開発の一環として、面積1万3000平方メートルの新グランドスタンドも新設された。グランドスタンドには解説ブースとVIPテラスが設けられ、収容人数は1万人。隣接するイベントスペースも拡張され、森林側には擁壁構造も追加された。スタート/フィニッシュラインの両端には、メインビルとグランドスタンドをつなぐ2本のトンネルが新設され、運営関係者や選手、ゲストの移動を円滑にする構造となっている。