世界ツーリングカー選手権(WTCC)の第9戦は、2014年以来となるマカオでの開催となった。マカオ市街の一般道を閉鎖して作られたギア・サーキットは、ハイスピードな海側のセクションと、タイトでエスケープゾーンのない山側のセクションが組み合わされた伝統ある公道コース。マカオGPのため、WTCCは金曜日に予選、土曜日にオープニングレース、日曜日にメインレースが行われる変則スケジュールとなっている。
Castrol Honda World Touring Car Teamは、9月のテストで負傷したティアゴ・モンテイロが今回も欠場となり、日本戦でCivic WTCCを初ドライブしたエステバン・グエリエリを引き続き起用。ドライバーズチャンピオン獲得も視野に入れるノルベルト・ミケリスとともに、難関のマカオGPに挑む。なお、このマカオ戦では、Honda Civic WTCCに70kgのハンディウエイトが課せられている。11月17日(金)の予選は、開始早々から赤旗が続出する波乱の展開となった。30分間のQ1では、計3回の赤旗中断があり、アタック途中の赤旗などで、非常に難しいコンディションとなった。最初のアタックを赤旗で止められたミケリスは、再スタート後にその時点でのトップタイムをマーク。グエリエリも同じタイミングでアタックし、3番手となる「。その後、再び赤旗などでアタックのタイミングが取れなかったためにタイムの更新ができず、ミケリスが3番手、グエリエリが6番手でQ2に進んだ。15分間のQ2も開始5分で赤旗が出たため、真っ先にコースインしてアタックしたHonda Civic WTCC勢はアタックラップを消されてしまう。結局、再開後に行われたアタックで、グエリエリが2番手、ミケリスが3番手となり、Q3に進出した。1台ずつのタイムアタックで行われるQ3ではミケリスが2番手、グエリエリが5番手となり、好ポジションから決勝レースに臨む。Honda Racing Team J.A.S.の道上龍は、Q1を11番手でQ2に進出、Q2では7番手となった。決勝レースでは、上位入賞を狙う。ノルベルト・ミケリス (予選2番手)「2番手に満足しています。フロントローからのスタートを連続しているという記録にも、そしてCivic WTCCのペースのよさにも、とても満足しています。ポールポジションを獲得することはできなかったですが、私は自分の可能性を最大限に引き出すことができたと思います。今は、2つのレースがとても楽しみです。特に日曜日のメインレースでは、2010年にこのマカオでやったように、チャンピオンシップの差を縮めるつもりです」エステバン・グエリエリ (予選5番手)「私は、自分のパフォーマンスとチームの両方に満足しています。目標としていたQ3に進出することはできましたが、Q3のアタックラップでミスをしてしまいました。トップ3に入る速さはあったと思うので、その点は残念です。私は、両方のレースでミケリス選手のポイント獲得を、チームのためにサポートする立場だと思っています」道上龍 (予選7番手)「久しぶりのマカオで、昔を思い出しながら走りました。予選では、アタックをことごとく赤旗で潰されてしまった感じで、タイミングが悪かったですね。Q2の途中から、リバースグリッド狙いで、周りの状況などを見ながらペースをコントロールしたのですが、その点、7番手はちょっと中途半端だったかもしれません。ただ、7番手はドライの予選では今シーズンのベストリザルトですし、もてぎでの好調なイメージはここでも続いているので、レースではがんばれると思います」古川隆一 (Civic WTCC開発プロジェクトリーダー)「予選はとても悔しい結果でした。トップを取れなかったということはもちろんですが、今シーズンの私の目標の一つであるワークスシトロエンの最速タイムに1000分の7秒届きませんでした。マシンはもてぎのときから大きく変更はしていませんが、トップとのウエイト差70kgを考えると、我々のパフォーマンスの高さは示せたと思っています。明日のオープニングレースでは、リバースでポールポジションとなるマシンがエンジン交換のためグリッドダウンとなり、道上選手は実質、3番手からスタートできます。道上選手はストレートが速いので、スタートで前に出て、好結果を期待しています。メインレースでも、2番手スタートのミケリス選手は十分勝てると予想していますので、難しいマカオでのレースですが、2つのレースともに勝利を目指してがんばります」