アストンマーティン・ホンダF1の新たな挑戦は、テスト段階から困難に直面している。だがホンダは、かつてマクラーレンとの苦闘から巻き返した前例を胸に、再び立て直しを図ろうとしている。その鍵として浮上しているのが、F1とMotoGPの技術的シナジーだ。ホンダ・レーシング(HRC)社長の渡辺康治が、現状と今後の展望を語った。
F1とMotoGPの連携を模索「現時点での我々の状況に満足していないのは明らかです」と渡辺康治は語った。「開幕戦までに集中的に取り組むべき領域を数多く特定しています。本来であれば、テスト中にもっと多く周回し、より多くのデータを収集したかったのですが、残念ながら予期せぬ問題に直面しました。それらについて現在対処しています」来週以降はパワーユニットの仕様変更が原則として不可能となり、月末のホモロゲーション(認証)を迎える。「月末(3月1日)にエンジンをホモロゲートしなければなりませんので、ハードウェアは凍結されます。その前提のもとで、パワーユニットをいかに最適に機能させるかを追求していきます」その上で渡辺康治は、社内リソースの総動員を強調した。「F1とMotoGPという二つの最高峰カテゴリーのプログラム間で協力体制を構築することを強く推し進めています。両プロジェクト間で知見を移転・共有し、それぞれの選手権で成功を収められるよう、どのように結びつけられるかを検討しています」50対50の出力配分と電動化の課題現行レギュレーション下で最も苦戦しているメーカーの一つと見られるホンダだが、その背景には技術的な転換点がある。「前回とは異なる内燃エンジンを開発する必要がありましたが、熱機関へのアプローチ自体は同じです」「しかし現在は電動化の重要性がはるかに高くなっています。いかに電力を生み出し、それをどう供給するかが鍵になります。出力の50対50配分は、明確に最重要項目です」さらに持続可能燃料への対応も新たな課題となっている。「持続可能燃料も追加の挑戦であり、今年それを統合する必要がありました」アストンマーティンとの関係困難な状況にもかかわらず、パートナーシップは強固だという。「チームとは非常に良好な関係を築いており、深い協力体制を構築しています。ローレンス・ストロールのアプローチとビジョンは素晴らしいと感じています」「エイドリアン・ニューウェイとは過去に成功したプロジェクトで共に仕事をしてきました。私たちは彼との関係を大切にしています」「パワーユニット開発における主要な窓口であるアンディ・コーウェルも非常に優秀な人物です。サーキットでは我々のスタッフがアストンマーティンの人員と手を取り合い、長期的に勝てる組織の基盤を築こうとしています」ホンダが求める将来レギュレーションホンダのF1参戦は、単なる成績だけで決まるわけではない。今後のレギュレーションの方向性も重要な判断材料となる。自然吸気エンジン復活の可能性が取り沙汰される中で、渡辺康治は明確な条件を提示した。「将来のレギュレーションは、ホンダの自動車技術の方向性と整合していることが望ましいです。我々の未来は電動化とハイブリッドにあります」「したがって、パワーユニットには一定のハイブリッドシステムが必要です。それがホンダがF1に存在するための条件です」F1とMotoGPの融合、50対50の電動化時代への適応、そして将来レギュレーションとの整合性――。ホンダの再挑戦は、技術と哲学の両面で大きな分岐点を迎えている。