F1フランスGPの決勝は劇的な展開となり、レッドブル・レーシング・ホンダのマックス・フェルスタッペンが優勝、セルジオ・ペレスが3位に入り、チームにとっては今季初のダブル表彰台を獲得。この勝利で、ホンダF1パワーユニットは1991年以来の3連勝を果たした。戦略の違いによって結果が左右される僅差のレースだったが、スクーデリア・アルファタウリ・ホンダもピエール・ガスリーが7位入賞。激しい中団争いでポイントを獲得した。
午前中には雨が降ったポールリカール・サーキットだが、F1決勝のスタート時には路面も乾き、ドライコンディションでのレースとなった。前日の予選でクラッシュを喫した角田裕毅は、ギアボックスの交換に加えて、予選と異なる仕様のフロア装着とサスペンションセッティングの変更を行ったため、レギュレーションによって最後尾からのピットレーンスタートとなった。角田はスタートタイヤにミディアムタイヤを選択。トップ10スタートとなった他の3名も、予選Q2で使用したミディアムタイヤでのスタートとなった。ポールポジションからのスタートとなったフェルスタッペンは、スタートを上手く決めてターン1へ進入したが、出口で膨らんでしまい、ルイス・ハミルトン(メルセデス)にリードを奪われる。ペレス、ガスリーはそれぞれ4番手、6番手をキープしてオープニングラップを終えた。角田は素晴らしい出だしを見せ、ハース、ウイリアムズのドライバーをオーバーテイク。その後、ホンダF1 PU勢の中で最初となる15周目にピットストップを行い、ハードタイヤに交換した。ガスリーは17周目にピットイン。ダニエル・リカルド(マクラーレン)に前を行かれる展開となってしまう。フェルスタッペンは、バルテリ・ボッタス(メルセデス)のピットインに反応して、18周目にピットへ。ここで見事なペースを見せ、ボッタスの前方に留まるだけでなく、その1周後にピットインしたハミルトンの前に出て、実質的なリードを奪います。その後、ペレスが24周目までピットストップを遅らせ、4番手でレースを進め4う。首位を走行していたフェルスタッペンだったが、後方のハミルトンからプレッシャーを受け続け、タイヤのデグラデーションも進んだことから、レッドブル・レーシング・ホンダは32周目に2度目のピットインを行うことを決断。ミディアムタイヤに交換して4番手でレースへ復帰すると、首位奪還を目指して追い上げを狙う。3番手のペレスとポジションを入れ替えたフェルスタッペンは、ファステストラップを更新しながらメルセデス勢との差を詰めていく。残り9周で、ボッタスを捕らえて2番手に浮上。この時点でハミルトンとの差は大きかったものの、ペースを緩めずに追撃する。その後、ペレスもボッタスへ追いつき、高速コーナーの“シーニュ”でアウト側から並びかけてオーバーテイク。レッドブル・レーシング・ホンダは2-3番手となる。フェルスタッペンは、残り2周でハミルトンに追いつき、ミストラルストレートのシケインでオーバーテイクを決めて、今季3勝目を挙げた。また、ファステストラップによる1ポイントも追加し、ドライバーズチャンピオンシップでのリードを12ポイントに拡大した。ペレスも順位を守って3位でフィニッシュ。レッドブル・レーシング・ホンダは、2人のドライバーが合わせて41ポイントを獲得し、コンストラクターズチャンピオンシップでメルセデスに37ポイント差をつけてリードを守っている。ガスリーはランド・ノリス(マクラーレン)との激しいバトルを経て、36周目にカルロス・サインツをパスするなど、2台のフェラーリをオーバーテイク。その後、前方のマクラーレン勢へ迫り、7位入賞を果たして6ポイントを獲得した。角田は一時11番手まで浮上したが、終盤でタイヤが厳しくなったこともあり、13位でフィニッシュ。最後尾のピットレーンスタートから7つ順位を上げて完走を果たした。スクーデリア・アルファタウリ・ホンダはコンストラクターズランキング5位を守り、4位のフェラーリとの差を6ポイント詰めて今大会を終えた。次戦は、1週間後のシュタイアーマルクGP。その翌週のオーストリアGPまで、レッドブル・リンクでの2連戦。田辺豊治(ホンダF1 テクニカルディレクター)「今日のフランスGP決勝は、レッドブル・レーシング・ホンダのフェルスタッペン選手が優勝、ペレス選手が3位表彰台と、レッドブル・レーシング・ホンダとして2人のドライバーが表彰台に上がるとともに、モナコ、アゼルバイジャンに続く3連勝を飾ることができました。ポールポジションからスタートしたフェルスタッペン選手は、一度は2番手に下がったものの、メルセデスと異なる戦略を採り、ラスト2周でハミルトン選手を逆転。見事なパフォーマンスで優勝を獲得しました。終始4番手を走行していたペレス選手も、先行する3台との間隔を上手く見計らいながらレースを組み立てて、終盤ボッタス選手を抜いて3位フィニッシュ。マシンのパフォーマンス、ドライバーの腕、チームの戦略などすべてが上手く噛み合い、本当に素晴らしいレースになりました。スクーデリア・アルファタウリ・ホンダのガスリー選手も粘り強い走りを続けて7位、5戦連続で入賞を果たし、安定した力を見せています。Q1でのクラッシュから、車体側のパーツを交換したためにピットレーンスタートとなった角田選手は最後尾からいくつものオーバーテイクを見せて13番手と、昨日の予選から巻き返しを見せてくれました。今週末のパフォーマンス状況から予想されていた通りに、非常なタフなレース展開になりましたが、それぞれがきっちりとやるべきことを果たし、このような結果を得られたことはこの先シーズンを闘う上で大きな励みになります。またすぐにレースがやってきます、オーストリアでの2連戦に向けてこの勢いを維持していきたいと思います」マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング・ホンダ)「この勝利は、チームの素晴らしい努力によるものです。さらに、このコースでダブル表彰台というのは、現場とミルトンキーンズのファクトリーのみんな、そしてホンダF1のハードワークの結果です。当然、自分で前に出て後続を突き放してという展開を望んでいましたが、F1ではそれが上手くいかないことはよくあるので、今日は本当に苦労しました。2チームが非常に僅差であることが分かったと思いますし、こうして戦略の差で残り2周で前に出て勝利を挙げられたことで、報われた思いです。スタート後のターン1でリアを失ってコースアウトし、ルイス(ハミルトン/メルセデス)に前を行かれたことで、簡単なレースにはなりませんでし...