イスタンブール・パークで行われた2020年のF1世界選手権 第14戦 F1トルコGPの決勝は、路面コンディションの変化によって目まぐるしく展開が変わる中、レッドブル・レーシングのマックス・フェルスタッペンとアレクサンダー・アルボンがポイント圏内でレースをフィニッシュした。フェルスタッペンが2番グリッド、アルボンが4番グリッドからスタートとなる一方で、予選でのイエローフラッグ無視などによって中団以降のグリッドが大きく変動した。
アルファタウリ・ホンダのダニール・クビアトが予選順位から1つ繰り上がって16番手、ピエール・ガスリーはパワーユニット(PU)交換に関連するペナルティーにより、最後尾からのスタートとなった。スタート1時間前に雨が降ったことから、完全なウエットコンディションとなり、グリッド上の全車がウエットタイヤを選択。路面のグリップがかなり低い状況の中、スタンディングスタートでレースの幕開けとなった。シグナルが消えてスタートが切られる中、レッドブル・レーシングのフェルスタッペンとアルボンは加速できずに大幅なポジションダウンを喫する。しかし、そこから巻き返しを図り、4番手と5番手まで順位を取り戻した。一方のアルファタウリ・ホンダ勢は好スタートを切り、クビアトが12番手、ガスリーが13番手とトップ10を視野に入れる位置でレースを進める。路面の状況が改善していく中、序盤のポイントは浅溝のインターミディエイトタイヤに交換するタイミングだった。フェルスタッペンとアルボンはウエットタイヤでも十分な速さを見せ、上位を走行していたランス・ストロール、セルジオ・ペレス(ともにレーシングポイント)、セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)がピットインして前が開けると、ファステストラップを更新しながらペースを上げていく。一方のアルファタウリ・ホンダ勢は、クビアトが8周目にインターミディエイトタイヤに交換。その2周後にガスリーもタイヤ交換を行う。両者ともにトップ10圏内を目指すが、ピットインせずにとどまっていたケビン・マグヌッセン(ハース)に前をふさがれる形となって、ペースを上げられないままレースが進んでいく。フェルスタッペンは11周目にタイヤを交換し、ペレスとベッテルの間の4番手でコースへ復帰。アルボンは12周目にピットインし、ベッテルとルイス・ハミルトン(メルセデス)の6番手でレースへ戻る。その直後、バーチャルセーフティカー(VSC)が導入されるが、アルボンはタイヤをうまく作動させ続け、VSCが明けるとターン12でハミルトンをオーバーテイク。さらにその勢いのままベッテルもパスして、4番手に浮上する。コース上で最速のペースを見せていたフェルスタッペンだったが、2番手を目指して前方のペレスをパスしようと仕掛けたところでスピンを喫し、再度のタイヤ交換を余儀なくされる。これにより、フェルスタッペンはアルボン、ベッテル、ハミルトンの後方までポジションダウンし、カルロス・サインツ(マクラーレン)の後方8番手でコースへ戻る。アルボンが快調なラップを刻む一方で、フェルスタッペンはこのトラフィックに引っかかる形となってペースが上がらない。アルボンは前を行く2台を追い詰めるが、この頃には路面がだいぶ乾き、タイヤの消耗が激しくなっていたことから、多くのドライバーが再びピットインして新たなインターミディエイトタイヤを装着。ガスリーも33周目でタイヤを交換したが、クビアトは1ストップ作戦を遂行すべくステイアウトを選択する。同じくステイアウトしていたアルボンだったが、タイヤの消耗は激しく、ターン4でスピン。34周目で新たなインターミディエイトタイヤに交換すると、コース復帰後にストロールをパスして5番手までポジションを上げる。しかし、ペースで勝るサインツにパスを許し、6番手でレース後半を戦うことになる。フェルスタッペンは他車のピットインもあり、3番手までポジションを上げたが、タイヤの摩耗によってピットイン。アルボンの後方7番手でレースへ復帰する。前方を行くフェラーリ勢を追いかけるが、乾いていく路面コンディションに苦戦してペースを上げられず、さらにはフェルスタッペンが再びスピンを喫する。フェルスタッペンはそこから巻き返し、残り7周のところでアルボンの前に出ると、両者ともにそのままフィニッシュ。6位と7位で計14ポイントを獲得した。アルファタウリ・ホンダ勢は、クビアトが1ストップ、ガスリーが2ストップと戦略を分けたが、序盤でマグヌッセンの前に出られなかったマシンは軒並みポイント圏外に留まっており、クビアトとガスリーも同様に上位進出は果たせず、12位と13位でレースを終えた。次戦は2週間後、11月29日(日)に決勝が行われるF1バーレーンGP。今季初めて欧州以外での開催となる。田辺豊治(ホンダF1 テクニカルディレクター)「今日のトルコGP決勝は、スタート前に降った雨のためウエットコンディションでのレースとなりました。レース時には止んだものの、低い外気温であったこともあり、終了までドライにはならず、徐々に路面の状況が変わる中でタイヤマネージメントなど難しいレースになりました。プラクティス、また予選での感触がよかったAston Martin Red Bull Racingですが、フェルスタッペン選手が6位、アルボン選手が7位と残念なポジションでの終了となりました。Scuderia AlphaTauri Hondaの2台は、濡れた路面で走行ラインを外してのオーバーテイクが難しい状況などからポジションアップに苦しみ、ポイント圏外でのフィニッシュとなりました。今シーズンは中東での3連戦を残すのみとなりました。いい形でシーズンを終えられるよう、ここから準備をしていきます。最後に、難しいコンディションで予選6番手から見事なレース運びで優勝を飾り、7回目のチャンピオンシップ獲得を決めたハミルトン選手に、Hondaを代表して祝福の言葉を贈ります」マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)「正直に言うと、今日はとても難しいレースでした。グリッドの偶数列はグリップが低く、スタートがうまくいかずに4番手までポジションを落としました。3番手までポジションを戻すと、コントロールの難しい中でチェコ(ペレス選手)についていこうとしましたが、コーナー出口の縁石の外にあるグリーンゾーンまで出てしまい、大きなスピンを喫しました。ウォールにはぶつからないようにしましたが、タイヤにフラットスポットができたことでピットインせざるを得ませんでした。新しいタイヤに交換して、前に追いつくまではできましたが、パスすることができませんでした。コース上には1つの走行ラインし...
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