F1イギリスGP決勝は、ホンダのパワーユニットを使用する4台のうち、3台がポイントを獲得。レッドブル・ホンダは表彰台争いを繰り広げたが、マックス・フェルスタッペンがフェラーリのセバスチャン・ベッテルに追突されるアクシデントの影響を受けて後退を余儀なくされた。マックス・フェルスタッペンとピエール・ガスリーは、序盤からトップ6のポジションでレースを進める。
マックス・フェルスタッペンは前を行くシャルル・ルクレール(フェラーリ)をパスしようと仕掛ける間に、ピエール・ガスリーはターン3でベッテルをオーバーテイクして5番手に浮上。その後、1度目のピットストップでは、レッドブルのメカニックが見事な作業によって、ルクレールより前の3番手でフェルスタッペンを送り出す。コース上でルクレールに再度先行されたものの、その後数周でセーフティカー(SC)が出動。このタイミングでフェルスタッペン、さらにその後ルクレールが2度目のピットインを行ったため、ベッテルが3番手、ガスリーが4番手に浮上し、フェルスタッペン、ルクレールというオーダーとなる。ガスリーの前に出たフェルスタッペンは、ベッテルにも迫り、残り15周となった37周目にターン15のストウコーナーでアウトサイドからオーバーテイク。しかし、その次のコーナーのブレーキング時にベッテルに後方から追突されてコースアウトを喫した。大きなクラッシュだったがそのまま走行を継続。5番手までポジションを下げる結果となった。チームとして表彰台は逃したものの、ガスリー、フェルスタッペンともに競争力を発揮してトップ3争いを展開。ガスリーは、F1での自己ベストリザルトに並ぶ4位でフィニッシュした。ポイント圏内にいたトロロッソ・のアレクサンダー・アルボンは、SC導入時点でスタート時のソフトタイヤからミディアムタイヤに交換を済ませていたが、戦略的にはもう1度タイヤ交換が必要だった。しかし、不運にもパワーユニットの高圧電力系に問題が発生し、安全面を考慮して2度目のピットストップを行うことができなかった。それにもかかわらず、アルボンは最終ラップにパスされるまでポジションをキープし、あと一歩でポイント獲得という健闘を見せた。チームメートのダニール・クビアトは、後方グリッドから着実に順位を上げ、力強いレース運びを披露した。序盤でミディアムタイヤに交換した後、SC導入のタイミングでハードに履き替え、そこからポイント圏内までポジションアップ。9位でチェッカーフラッグを受けた。田辺豊治 (ホンダF1 テクニカルディレクター)「今日の決勝ではフェルスタッペン選手が素晴らしい走りを見せ、2戦連続の表彰台が間近だっただけに、あのようなクラッシュでポジションを失ったことは非常に残念です。一方で、ガスリー選手が今季最高かつ自身のベストに並ぶ4位というリザルトを獲得したことはポジティブに捉えています。これをきっかけにさらなる上位争いに絡んでいってほしいと思います。Toro Rossoについてはクビアト選手が粘り強い走りとチームの的確な戦略により、17番グリッドからの入賞を果たしました。アルボン選手についてはレース中にPUの高圧電力系に問題が発生し、安全面のリスクを考慮したために2度目のピットストップを行えず、2台同時入賞を逃す形になってしまいました。ここから早急に問題の分析を進めていきます。我々としては残念な部分もありましたが、今日はオーストリアに続き、ファンにとっては見応えのあるレースになりました。この先のレースでもいい戦いを続けられるよう、懸命にプッシュを続けていきます」ピエール・ガスリー (レッドブル・ホンダ)「このレースウイークは初日から今日まで常に力強い走りができ、僕にとって今年一番のレースとなりました。本来僕たちがいるべき上位の中でバトルし、4位という結果でレースを終えることができて、とても喜ばしく思います。もちろん、表彰台まであと一歩であるポジションは“悔しくない”はずがありませんが、このレースウイークでチームとして正しい方向への大きな一歩を踏み出すことができました。ベッテル選手やルクレール選手とのバトルなど、レースを通してたくさん見応えのあるアクションを見せられたと思います。表彰台に立つためにまだ改善すべき点は残っているのですが、そう遠い現実ではないと感じているので、引き続き全力を尽くします。今日のようなレースが毎回できれば、さらに盛り上がるシーズンとなるはずです」マックス・フェルスタッペン (レッドブル・ホンダ)「マシンの調子はとてもよく、速さも見せられていたレースウイークであっただけに、表彰台を逃してしまったことはとても残念です。ルクレール選手とのバトルは手強いものではありましたが、とてもフェアであり、彼も上手にブロックして応戦したと思います。まだレースの先は長かったので、あまりリスクを負うような無理はせずにいました。明らかに僕たちのほうが速かったため、仕掛ける正しいタイミングを探りながらのバトルはとても楽しかったです。ハードタイヤに交換するためにチームが下した2回目のピットストップのタイミングの判断は正しく、ルクレール選手に対してアドバンテージを得ることに成功しました。それからはベッテル選手に追いつくのに十分なペースで走行することができたのですが、彼をオーバーテイクした後、ブロックをしたターン17で、ブレーキのタイミングが遅れたベッテル選手に後方から追突されてしまいました。その結果、縁石とグラベルを飛び越えてしまい、その瞬間『レースは終了してしまった』と思ったほどでした。パワステに違和感があり、フロアもダメージを負ったような感覚の中、自分がどうやって最後まで走らせることができたのか正直分かりません。そんな状況の中、5番手でポイントを獲得してレースを終えることができたので、この結果に十分満足しています。これはレーシングアクシデントであり、ベッテル選手の故意で起きたことではないので、怒っているわけではありませんが非常に残念です。マシンから降りた直後に、ベッテル選手は謝罪に来てくれました。ファンの皆さんに『モータースポーツは面白い』と改めて感じてもらえるシーンを見せられたのではないでしょうか」ダニール・クビアト (トロロッソ・ホンダ)「今日のレースにはとても満足しています。正直、後方グリッドからのスタートだったため、あまり期待はしていませんでした。このレースウイークを通して思ったようにリズムがつかめず、マシンのバランスにも...