フェラーリF1でルイス・ハミルトンのパフォーマンス・エンジニアを務めていたリカルド・コルテが、モータースポーツの新たなステージへと歩みを進める。長年F1の世界で活躍してきたコルテは、オーストラリアの「グローブ・レーシング(Grove Racing)」へ移籍し、スーパーカーシリーズに挑むことが明らかになった。コルテはこれまでフェラーリでシャルル・ルクレール、カルロス・サインツとともに働いた経験を持ち、今季はハミルトンの加入に伴い、フェラーリで彼のエンジニアチームの一員として活動していた。
しかしベルギーGP前にチーム内で新しい役割に移行し、その後グローブ・レーシングへの移籍準備を進めてきた。「このようなエキサイティングなタイミングでグローブ・レーシングに加われることを本当に誇りに思います」とコルテは語った。「チームがここ数年で成し遂げてきた進歩には目を見張るものがありますし、バサースト1000での勝利は、正しい人材とマインドセットがあれば何が可能かを示しています。フェラーリF1で過ごした11年間の経験をスーパーカーの世界に活かし、チームがさらに前進し、トラック上のあらゆるチャンスを最大化できるよう尽力したいと思います。」グローブ・レーシングのオーナーであるスティーブン・グローブも、コルテの加入を歓迎している。「リカルドの加入は、グローブ・レーシングにとってもう一つの大きな前進を意味します」とグローブは述べた。「フェラーリF1での11年に及ぶ経験、そして今季初期にルイス・ハミルトンのパフォーマンス・エンジニアを務めた実績は、我々のプログラムに驚くほどの深みと理解をもたらします。彼をチームに迎えられることを誇りに思いますし、グローブ・レーシングがどれほど高いレベルの人材を有しているかを示す証でもあります。」フェラーリF1からオーストラリアへ―異例のキャリア転換F1エンジニアがスーパーカーシリーズへ転身するのは稀だが、近年はモータースポーツ界全体でカテゴリー間の人材交流が活発化している。特にF1の技術や運営ノウハウを持つエンジニアが、耐久レースやGTカテゴリーに移る例も増えており、コルテの移籍もその流れの一つといえる。グローブ・レーシングは近年、急速に勢力を拡大しているチームであり、バサースト1000優勝をはじめとする成果によって、国内外から注目を集めている。コルテの参入は、チームの技術的基盤をさらに強化する狙いがあると見られる。ハミルトンとフェラーリにとっての影響フェラーリにとっては、ハミルトンの加入とともに築き上げていたエンジニアチームの中核メンバーを失う形となる。コルテはドライバーとの密なコミュニケーションとデータ解析能力で信頼を得ており、その離脱はフェラーリF1チームに小さくない影響を与えるだろう。とはいえ、F1からスーパーカーへという異業種転身は、エンジニアとしての幅を広げる挑戦でもある。コルテのF1での経験が、グローブ・レーシングのさらなる成長にどのように活かされるか、注目が集まる。