メルセデスが、F1スペインGP後にバルセロナで行った2013年マシンでのテストが規約に違反したのかどうかに焦点が集まっている。この件は、国際法廷(International Tribunal)に持ち込まれるとみられている。国際法廷が、このような注目を集める問題に関与するのは初めてになるかもしれない。2007年のマクラーレンのスパイ・スキャンダルの際は、FIAの世界モータースポーツ評議会によって正式な結論が下された。
国際法廷は、新しい司法制度の一環としてFIA総会によって2010年に準備された。その役割は、レーススチュワードではすぐに対処できない問題に決断を下すことがこの機関に役割となっている。FIA法規では「国際法廷は、提出された問題に審理する」とされている。「それは、インターナションナル・スポーティング・コードを含めたFIAの法令と規約を実施する目的で、現在の規約を適用し、解釈する」国際法廷の12名のパネルは、FIAとは完全に分けられており、現在の会長はイギリス人のエドウィン・グラスゴー、副会長はモナコ出身のローラン・アンセルミが務める。FIA法規では「国際法廷は、FIAの他の組織、FIAのメンバーとは完全に独立して動く」とされている。メルセデスが反論することを決定した場合、国際法廷の審理パネルが招集される。FIA法規では、会長は少なくとも3名のメンバーから構成されるパネルを指名すると定められ、そのうちの1名は“the President of the Hearing(聴取長)”と称される。独立を確実にするために、審理パネルのメンバーは、問題の主要組織と同じ国籍であることは許されない。被告側と他の利害関係者は、聴取前に証拠書類を提出するよう依頼される。そして、特別な状況ではない限り、最終手続きはメディアにオープンにされる。FIAが、国際法廷の聴取が必要と決定した場合、厳格なプロセスが実施される。FIA法規によって、起訴された団体は、告訴についての自らの所見を提出するために、少なくとも15日間を与えられる。起訴する側の団体は、答弁のためにさらに15日を与えられる。起訴側の答弁と聴取が実施されるまでにはさらに15日の間隔が空けられる。理論的に45日の間隔があり、今週プロセスが開始された場合、実施されるのは7月のドイツGP後となる。だが、プロセスが急速に展開する可能性のある問題については特例があり「聴取長は、訴訟の制限時間を短縮もしくは拡大することを決定する可能性がある」とされている。メルセデスは、バルセロナで2013年マシンを走らせたのは、FIAからOKとの通知を受けたからだと説明しているが、FIAはそのような承認は他チームがピレリテストの機会を得られるという条件が付いていると述べている。だが、そのような複雑な要素は国際法廷では重要な事項とはみなけれないかもしれない。国際法規は、その件が単に規約に違反したかどうかを決定するだけの機関だからだ。メルセデスのライバルは、ピレリとの会い台に個別の合意があったに関わらず、バルセロナでのテストでメルセデスが2013年マシンを走らせたのは規約違反だと主張している。国際法廷の法規では「特に明記しない限り、それが故意または過失によって委託されたかに関わらず、違反もしくは侵害は罰すべき」と記されている。国際法規が、規約違反だと判断した場合、審理パネルは適切な処罰を言い渡す。解決策として、他チームにもメルセデスと同じ3日間のピレリテストを与えるとの提案もあったが、国際行程の法規にもとでは、そのような選択肢が通る可能性はない。処罰は、インターナショナル・スポーティング・コードで定められている。インターナショナル・スポーティング・コードでは、違反の度合いにより、戒告、罰金、公共の福祉での労働義務、時関刑、除外、資格の停止もしくは剥奪といった処罰がリストされている。またFIAは「FIA フォーミュラ・ワン世界選手権、FIA ワールドラリー選手権に関しては、チャンピオンシップ全体のポイント剥奪からなるペナルティが科せられる可能性がある」と記されている。