フェラーリは2026年F1中国GPで初投入した革新的リアウイング「マカレナ・ウイング」を、日本GPで再投入する準備を進めている。上海ではフリー走行でデータ収集に留まったが、チームはそのポテンシャルに強い手応えを得ている。中国GPではルイス・ハミルトンがフェラーリ移籍後初表彰台となる3位を獲得したものの、優勝したアンドレア・キミ・アントネッリ擁するメルセデスに対し25秒差をつけられた。SF-26はセクター1・2では互角の速さを見せたが、ストレートで大きく差を失い、そのギャップは依然として大きい。
回転フラップ機構が生む空力の鍵フェラーリが投入した「マカレナ・ウイング」は、フラップが軸を中心に回転する独自構造を持つリアウイングだ。この機構は空気抵抗低減とダウンフォース生成を両立させることを狙ったものとなっている。当初はバーレーンでの投入が予定されていたが、中東ラウンドの中止により前倒しで中国に持ち込まれた。ただし上海では競争投入は見送られ、あくまでテストに限定された。フェラーリ関係者は次のように説明している。「マカレナ・ウイングはまだ開発初期段階にある。我々はフロントとリアウイングの作動タイミングを最適化し、空力バランスを整える必要がある」中国テストで露呈した“バランス問題”上海で明らかになった最大の課題は、前後ウイングの応答差による空力バランスの崩れだった。フロントの可動ウイングが素早く反応する一方で、リアの回転フラップとの同期が取れず、不安定な挙動が発生した。そのため、フェラーリはフラップの「閉じるタイミング」の最適化に重点を置いている。この調整が完了しなければ、さらなる進化版の投入は見送られる見通しだ。それでもチームは上海で得られたデータを高く評価している。「中国でのテストは極めて重要だった。マカレナ・ウイングの正しい動作を確保する必要がある」鈴鹿は“理想的な実験場”鈴鹿サーキットは高速コーナーと高負荷セクションが連続する特性を持ち、空力性能が大きく問われるトラックだ。フェラーリはここを、回転フラップコンセプトを本格評価する最初の機会と位置付けている。改良版では、オープンウイング時のドラッグ低減とテクニカル区間でのダウンフォース増加の両立が狙われている。サイドエンドプレート内部にアクチュエーターを移設することで、空力効率の改善も図られている。メルセデスとの差はPUにありフェラーリの課題は空力だけではない。SF-26はストレートで約コンマ3秒のロスを抱えており、その主因は067/6 V6パワーユニットの出力不足と見られている。チームは約20〜25馬力の差があると分析しており、特に高回転域でのパフォーマンスに課題を抱える。フェラーリ関係者は次のように述べている。「我々は067/6エンジンのパワー不足を認識している。バッテリーのエネルギー運用を最大化しつつ、エンジン性能の向上に取り組んでいる」メルセデス側は高圧縮比運用や燃料特性、さらに大型タービンとスーパークラッピング(余剰出力での充電)を組み合わせることで優位性を確立していると見られている。開発継続とマイアミ大型アップデートフェラーリはADUO(性能調整措置)によるエンジン回復をハンガリーGP前後で見込む一方、それまでは車体側の開発に注力する方針だ。マラネロではロイック・セラ主導のもと開発スケジュールが加速しており、マイアミGP(5月4日)では大規模アップデートが予定されている。フェラーリ関係者は次のように語った。「SF-26には優れたポテンシャルがある。我々の技術陣が期待するパフォーマンスを引き出すため、全力で開発を進めている」鈴鹿での「マカレナ・ウイング」の再投入は、そのポテンシャルを現実の戦闘力へと変える第一歩となる可能性がある。フェラーリにとって、日本GPはメルセデス追撃の試金石となる。
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