フェラーリF1代表フレデリック・バスールは、ルイス・ハミルトンと彼のレースエンジニアとの間で高まる緊張について、新たな騒動をまたもや軽視する姿勢を見せた。スクーデリア・フェラーリはシャルル・ルクレールの驚異的なペースに自らも驚いたものの、7度のワールドチャンピオンであるハミルトンは大きく後れを取り、フィニッシュ時には数十秒もの差がついていた。なぜここまでギャップが開いたのかと問われたハミルトンは、40歳のベテランらしく簡潔にこう答えた。
「いや、わからない。そういうこともある」しかし、明らかだったのは、日曜のレースでもハミルトンと彼のレースエンジニア、リカルド・アダミとの間のコミュニケーションの問題がさらに悪化していたということだ。ハミルトンはレース中、「誰とも戦っていない状態(no man’s land)にいた」と感じ、無線でアダミにこう尋ねた。「僕に何をしてほしい?」その問いに対する複雑な返答の中に、アダミはこう言った。「これは我々のレースだ」メルセデス時代の元王者はレース後にメディアに語った。「情報はあまり明確じゃなかった。“これが我々のレース”って、正直意味がよくわからなかった。僕は前のマシンとバトルしているのか? 実際にデータを見たら、上位勢とは全然近くなかった。あの時点でタイヤもけっこう使ってしまったけど、どうせ追いつける距離じゃなかった」予選後には、アダミから「フェルスタッペンはスローダウンしている」と無線で伝えられた直後、ハミルトンがアウトラップ中のマックス・フェルスタッペンを妨害する場面があり、これが原因でハミルトンはグリッド降格ペナルティを受けた。さらに決勝でチェッカーフラッグを受けた直後、ハミルトンは予選前にマシンを素早く修復してくれたクルーに感謝を伝えたが、アダミからの返答はなかった。「僕に怒ってるの? 何かあった?」とハミルトンは無線で問いかけた。だが、いつも通りの姿勢で、バスール代表は問題を否定した。「正直言って、誰かが何かを質問することが“緊張”だとは思わない。彼はコンクリートウォールの間で走っていて、プレッシャーもあるし、戦っているんだ」「レース後に話した時、彼は別に怒っていなかったよ」しかし、元F1テストドライバーのホー・ピン・タンは、フェラーリがハミルトンに新しいエンジニアを与えるべき時が来ていると考えている。「彼は長年ピーター・ボニントンと組んでいた。ドライバーにとってエンジニアはチーム内で最も重要な存在なんだ」とViaplayに語った。「その関係性が良好でなければ、単純にパフォーマンスを損なう」同じくViaplayのアナリストでGT3ドライバーのインディ・ドンチェは、さらに踏み込んだ見解を示した。「アダミとカルロス・サインツの関係もうまくいっていなかった。彼はもうチームを去るべきだと思う」「いまや7度の世界王者がそのマシンに乗っているわけで、当然ながらエンジニアにはそれ相応のものが求められる。アダミにはそれが備わっていない。ハミルトンは最高の人物と組むべきだ」「バスールは以前、シャルル・ルクレールのエンジニアを交代させたことがある。ならば今、なぜ手を打たないのか理解に苦しむ。ハミルトンはその要求をする権利があるはずだ」