スクーデリア・フェラーリのF1チーム代表を務めるフレデリック・バスールは、フェリペ・マッサが法的措置を求めていることを受け、フェラーリが2008年シンガポールGPの結果と同年の世界選手権について明確にするようFIAに働きかけていることを認めた。マッサは最近、FIA会長のモハメド・ビン・スライエムとF1最高責任者のステファノ・ドメニカリに対し、2008年に起きたことの不当性を主張する「Letter Before Claim(請求前文書)」を送り、自分は「陰謀の犠牲者」であるとしている。
2008年、マッサはルイス・ハミルトンに1ポイント差でタイトルを逃しており、シンガポールGPの結果がチャンピオンシップの行方に影響を与えた。シンガポールGPでは、ネルソン・ピケJr.が故意にクラッシュした結果、ルノーのチームメイトであるフェルナンド・アロンソが優勝。ハミルトンは3位、レース序盤のリーダーであったマッサは、ピレJr.のクラッシュをきっかけにしたピットストップで燃料ホースがましんに取り付けられたままの状態で発進するアクシデントの後、13位でフィニッシュした。8ページにわたる請求前文書は隠蔽疑惑を強調しており、マッサの代理人弁護士は現在、チャンピオンの座を逃したことによる逸失利益とボーナスによる数百万ユーロの損害賠償を求めている。文書の一部には「簡単に言えば、マッサ氏は正当な2008年のドライバーズチャンピオンであり、F1とFIAは彼を騙してそのタイトルを奪った不正行為を意図的に無視した」と述べた。「マッサ氏は現段階で損失を完全に定量化することはできないが、損失は数千万ユーロを超える可能性が高いと見積もっている」「この金額は、マッサ氏が被った深刻な道徳的および評判的損失をカバーするものではない」もしエクレストンとモズレーがシーズン終了前に何が起こったのかを知っていたら、シンガポールGPをチャンピオンシップから除外する決定が下されていたかもしれない。ハミルトンはこのレースで3位を逃しており、マッサがチャンピオンとなっていただろう。エクレストンはその後、騒動の発端となったF1 Insiderとのインタビューや自身の発言について、まったく覚えていないと主張している。スクーデリア・フェラーリのF1チーム代表のフレッド・バスールによると、フェラーリの観点からは、この問題の透明性を追求しているだけだという。今週末のオランダGPに先立ち、メディアのグループインタビューに応じたバスールは、マッサの法的措置について「ご想像のとおり、この件に関しては何もコメントしたくない」と述べた。「私はすべての関係者と良好な関係を築いているし、かなり厄介なことだ」バスールは、フェリペ・マッサのF1キャリアにおけるマネジャーだったニコラ・トッドとも親交がある「状況は完全に例外的だった」とバスールは続けた。「フェリペのことではないが、もっと一般的に我々(フェラーリ)もFIAに対して、チェッカーフラッグが振られた時点で結果を知るよう働きかけている」「コメントは控えたいが、(今結果を変更するのは)確かに奇妙なことだろう」長い沈黙の後、バスールは「チェッカーフラッグの15分後にレース結果を変更するのは、あまり好きではない」と結論付けた。マッサは現在、F1とFIAに納得のいく回答を求めている。それがなければ、元ドライバーは「被った損害の補償を求めるために法的措置を取る」と手紙には書かれていた。F1とFIAは、15日に発行された書簡の日付から14日以内に回答を出さなければならない。