2026年F1レギュレーションという大転換期を前に、全11チームは可能な限り最良のマシンを作るため、これまでにない手段を取り始めている。そのひとつが、ライバル選手権のドライバーやエンジニアを開発に関与させるという動きだ。2026年のルール変更では、DRSの廃止と、パワーユニットにおける内燃機関と電動出力の50/50分配という、極めてラディカルな設計が導入される。これにより、各チームは未知の領域に踏み込むことになった。
エンジンと電動化を巡る論争新レギュレーションはすでに論争を生んでいる。メルセデスとレッドブルは内燃エンジンの圧縮比に関する抜け穴を見つけ、出力向上を図っているとされ、フェラーリは不利になる可能性があるとして、メルボルンでの抗議を計画している。一方で、電動化の比重増大も大きな懸念材料だ。複数のドライバーが、新型マシン、とりわけバッテリー運用に強い不安を示している。レース中のエネルギー管理のため、ストレートでリフト&コーストを強いられる可能性が指摘されており、こうした背景が、F1チームが他カテゴリーに助けを求める理由になっている。F1チーム、フォーミュラEの知見をシミュレーターに導入ジャーナリストのジョン・ジャクソンは、talkSPORTの番組「On Track」で、F1チームがフォーミュラEのドライバーやエンジニアに強い関心を示し、すでに一部が極秘裏にシミュレーター作業を行っていると明かした。「電動コンポーネントの変更と、バッテリー由来エネルギーの増加によって、フォーミュラEの技術には非常に大きな関心が集まっている」とジャクソンは語る。同席していた記者ニック・ゴールディングも、F1チームでシミュレーター業務に関わるフォーミュラEドライバーが想像以上に多いと指摘した。「よくSNSに写真を投稿しているのがニック・デ・フリースだ。彼はマクラーレンのシミュレーター・ドライバーとして活動している。他にも名前は出せないが、フォーミュラEに参戦しながらF1チームの仕事をしているドライバーはかなりいる。電動化という点で、F1にとってこれは未知への大きな一歩だからだ」フォーミュラE側はF1の関心をどう見ているのかF1がフォーミュラEに目を向けるのは不思議ではない。完全電動シリーズであるフォーミュラEは、レース中のエネルギー節約と最適配分を競技の根幹としてきた。DSペンスキーの責任者フィル・チャールズは、F1からの接触について次のように認めている。「彼らが電話してきていないと言ったら嘘になる。エネルギー最適化という話であれば、F1にもすでにハイブリッドシステムはあるが、新ルールの方向性ではエネルギー管理が決定的に重要になる」「エネルギーをどう使うかという点で、フォーミュラEとの共通点は多い。正直に言えば、F1にいる友人たちから『君たちがやっていることは、こちらにとって非常に重要だ』と言われたことが何度もある」F1とフォーミュラE。両者は異なる哲学を持つが、2026年の大変革を前に、その境界線は静かに、しかし確実に揺らぎ始めている。
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