元F1戦略エンジニアのバーニー・コリンズが、F1の「サマーシャットダウン期間」に実際に何が行われているのかを明らかにした。ハンガリーGP終了後、F1は8月31日のオランダGP(ザントフォールト)まで約3週間の休止期間に入る。この間の一部が「サマーシャットダウン」と呼ばれるが、実際の仕組みや禁止事項・許可事項についてコリンズが解説した。
「サマーシャットダウンって、ブダペストでのレースが終わったらすぐに始まると思われがちなんですけど、実はその週はまだ普通に仕事をしているんです」とコリンズはSky Sports F1ポッドキャストで語った。「チームは皆、まだ自分たちのファクトリーにいますし、休暇を取っている人もいますけど、この週はまだ労働週なんですよ。中には、まだブダペストに残ってタイヤテストをしているチームもあるので、全員がすぐに休暇に入るわけじゃないんです」F1サマーブレイクで許されないこと2週間の期間中、F1チームは現行マシンや今シーズンのプロジェクトに関する作業を行うことが厳しく禁止されている。この期間中、チームメンバーは通常、休暇を取る。F1の統括団体であるFIAは、ルールに違反する行為を防ぐためにチームの活動を監視する権限を持つ。「この2週間は、FIAが定めた強制シャットダウン期間になるんです。FIAは必要があれば証拠を求められますし、例えばメールのやり取りやパソコンの稼働時間など、今ではすべてオンラインで追跡できるんですよ」「それに、完全にすべての作業が止まります。マシン設計や製造、風洞、CFD、シミュレーターなど、現行のF1マシンやF1プロジェクトに関わるものは一切動かせないんです」F1サマーブレイクで許されることしかし、許されることもある。チームは、風洞のメンテナンスやITシステムの更新といった重要な作業のために現場に人員を置くことができる。「例えば、この期間を使って風洞の定期的なメンテナンスを行うことができますし、IT部門が大規模なシステムアップデートを行うこともあります。私がこの期間で好きだったのは、金曜日に電話を切って、パソコンも職場に置いて帰ることですね。そして2週間後に戻ってきても、新しいメールはほとんどないんです。あるとすればITから『システム更新でパスワードが変わりました』というお知らせくらいですね」「普段なら2週間休んだら300通くらいメールが溜まっているでしょうけど、この期間は本当に何も動いていないので、何かを見逃している感覚もないんです。完全に止まって、2週間後にそのまま再開するだけという感じです」チームが仕事に戻る時期「チームが仕事を再開するのはザントフォールトGPの前の月曜日からです。ただ、機材やガレージ、モーターホームの準備をするスタッフは、その前の土日から動き始めます。そこが実質的なシャットダウンの終わりになりますね」