キャデラックF1のディレクターを務めるマリオ・アンドレッティは、フェラーリを離れる意思があるなら「すぐにでも契約したい」とシャルル・ルクレールへの強い関心を示した。モナコ出身のルクレールには、2026年以降の動向をめぐり移籍の噂が浮上している。2024年にコンストラクターズ2位を獲得したフェラーリだが、2025年はメルセデスに抜かれて3位に転落。シーズン中盤以降はマシンの競争力が急速に低下し、今やレッドブルにもわずか8ポイント差まで迫られている。
マネージャーのニコラス・トッドも最近のコメントで「2026年には勝てるマシンを用意してほしい」とフェラーリに明確な要求を突きつけたとされる。さらに、トッドがメルセデス、マクラーレン、アストンマーティンとも接触しているという報道もある。アンドレッティは『ガゼッタ・デッロ・スポルト』の取材に対し、こう語った。「私はルクレールの大ファンだ。もし彼がいつかチームを変えたいと思うなら、キャデラックにすぐにでも迎え入れたい」キャデラックF1は2026年にバルテリ・ボッタスとセルジオ・ペレスを起用することを発表している。チームは両者と複数年契約を結んだが、同時にコルトン・ハータが2026年はテストドライバーとしてF1活動に参加することも発表。インディカーでのフル参戦を見送ってまで参加することから、将来的なレースシートを約束された可能性も指摘されている。チームCEOのダン・タウリスは『Racer』誌で「ハータがF1シートを得るには結果を出さなければならない」と強調しており、2027年のラインアップにはルクレールとハータという布陣もあり得るとの見方もある。もっとも、キャデラックF1は参入当初、フェラーリのパワーユニットとギアボックスを使用するカスタマーチームとなる予定であり、ルクレールがフェラーリを離れてまで同社系の新チームへ移籍する可能性は低いとの見方も根強い。ルクレール、シンガポールで「戦えるマシンではない」と落胆ルクレールは先週末のF1シンガポールGP後、フェラーリの現状に厳しい言葉を投げかけた。レースでは両ドライバーが62周の大半で燃費セーブのため「リフト&コースト」を強いられ、ルイス・ハミルトンも終盤にブレーキトラブルを抱えながら完走する厳しい一日となった。6位でフィニッシュしたルクレールは、ESPNのインタビューでこう語っている。「残念ながら、今の僕たちのマシンでは前の連中と戦うことができない。マクラーレンとの差はシーズン序盤と同じままだけど、レッドブルはモンツァ以降で一段上に行った。メルセデスも同じレベルに達していて、僕たちはその後ろだ」「もちろん、もっと上で戦いたいけど、今のところ僕たちはただクルマに乗せられているようなものだ。今シーズン残りから何を引き出せるか、その範囲でやるしかない」また、別のインタビューでは、今季型マシン「SF25」にこれ以上のアップグレードは予定されていないことも明らかにした。残る6戦は事実上“防衛戦”となり、レッドブルとのコンストラクターズ選手権3位争いに集中せざるを得ない状況だ。キャデラックの野心とルクレールの現実マリオ・アンドレッティの発言は、キャデラックF1が単なる参入チームに留まらず、すでにトップドライバー獲得を視野に入れていることを示している。一方で、フェラーリの現状に失望するルクレールの姿勢も、移籍の可能性を一層現実味のある話題にしている。とはいえ、ルクレールが27歳という年齢で、まだ勝利を狙える環境を求める中、デビュー初年度のキャデラックに飛び込むリスクは大きい。2027年に独自パワーユニットを導入するまでは、フェラーリとの結びつきが続くことを考えれば、キャデラック移籍は現時点では“理想論”に近い。むしろ、2026年以降のフェラーリの進化、そしてフレデリック・バスール体制の成果が、ルクレール残留か移籍かを決める最大の分岐点となるだろう。
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