F1のヨーロッパでのダブルヘッダーは、世界選手権のスタート地点であるシルバーストンへと続き、そこには熱狂的なファンが大挙して押し寄せることが予想される。日曜に繰り広げられたマクラーレンのチームメイト同士による白熱のバトルを経て、今週末も見どころに満ちた3日間となりそうだ。
マクラーレンのチャンピオン争いがいっそう激化し、フェラーリのアップグレードも結果を示し始めている。一方で、レッドブルとメルセデスはオーストリアでの厳しい週末からの巻き返しを狙っており、注目の「シリーシーズン」も本格化する中、F1発祥の地で迎える第12戦は、ドライバーもファンも熱くさせる要素に事欠かない。マクラーレンのタイトル争いマクラーレンは今季、複数のレースでフィールドの大半に対して明確な優位性を示しており、オスカー・ピアストリとランド・ノリスの2人で開幕11戦中8勝を分け合っている。中でもオーストリアは、これまでで最も長く続いた2人のレース中バトルとなり、ノリスがレッドブル・リンクの第1スティントを通じてピアストリの攻撃を退け続けた。最終的に勝利したのはノリスで、非常に印象的なポールポジションを見事に勝ちに結びつけ、チャンピオンシップのポイント差を15に縮めた。カナダではピアストリに接触してリタイアしたノリスだが、過去5戦で2勝と2回の2位を含めて、実はチームメイトを1ポイント上回っている。ノリスへの強力な後押しが確実と見られる母国レースに向かうが、これまで両者ともに観客からの熱い支持を受けてきた。タイトル争いが激しく揺れ動く今シーズン、このバトルは最終戦までもつれ込む可能性が高い。ノリスとピアストリは、シルバーストンで再び勝利をかけて争う準備を進めているフェラーリのアップグレードヨーロッパラウンドの再開に伴い、複数の上位チームがアップグレードを投入する中、マクラーレンは新パーツが後続との大きな差につながった要因の1つだと述べている。その後方を率いたのがフェラーリで、マラネロが導入したフロアアップグレードについて、シャルル・ルクレールは明確な前進があったと語った。この進化により、ルクレールはオーストリアで過去4戦中3回目の表彰台を獲得。ルイス・ハミルトンもその後ろ4位でフィニッシュし、フェラーリはコンストラクターズランキングで2位に浮上した。今週末にもさらなるアップグレードの投入が予告されており、最近の進歩は、これからの開発が期待通りに機能する可能性を示唆している。ただし、シルバーストンは昨年、フェラーリにとって不本意な結果となったサーキットであり、今年も再び変わりやすい天候が予想されている。マシンの複数の側面での改善が試されることになる。シャルル・ルクレールはオーストリアで表彰台の最終スポットを獲得したレッドブルとメルセデスは巻き返しなるかレッドブルF1の本拠地であるオーストリアでは、マックス・フェルスタッペンの熱狂的なファンが大挙して押し寄せた。予選では、レッドブル・リンクで6勝目を挙げられそうな気配は薄かったものの、オレンジアーミーは依然として表彰台争いに期待を寄せていた。だが、その期待は実現することなく終わった。開幕ラップのターン3でフェルスタッペンがキミ・アントネッリに接触され、リタイアを喫したためだ。角田裕毅は2周遅れで完走車中最下位となり、ホームレースはレッドブルにとって厳しい週末となった。これは、2週間前のカナダでの好パフォーマンスから一転する形だった。メルセデスも苦戦を強いられた。モントリオールで優勝したジョージ・ラッセルは、ノリスから1分以上離された5位に終わり、アントネッリはリタイアとなった。とはいえ、両チームは過去にシルバーストンで非常に高い競争力を見せてきており、メルセデスにとっては、昨年ハミルトンが勝利を挙げたように、気温が下がる予報が吉と出る可能性がある。オーストリアで5番手に入ったジョージ・ラッセル、契約問題が注目を集めた“シリーシーズン”が本格化厳しい日曜となる前、オーストリアGPではドライバー市場の重要人物2人が注目を集めていた。ジョージ・ラッセルが、メルセデスが将来的にマックス・フェルスタッペンと契約する可能性について語ったのだ。ラッセルは今季末で契約満了となるが、自身の立場には安心感があると述べ、まだ本格的な交渉は始まっていないと明かした。Sky Sports F1のインタビューでフェルスタッペンとの交渉について言及したことで、金曜にはチーム代表のトト・ヴォルフに多くの質問が集中。ヴォルフはラッセルとアントネッリの組み合わせを評価しつつも、フェルスタッペン獲得の可能性を完全には否定しなかった。ラッセルの契約が更新されない限り、メルセデスとフェルスタッペンに関する憶測は続くだろう。それだけでなく、ラッセル自身がどこに行くかについても注目される。そしてこの動きが他のシートにも波及する可能性がある。仮にフェルスタッペンが移籍となれば、レッドブルは後任を探す必要がある。イギリスのファンは今週末、将来のスター候補を目にすることになる。F2タイトル争い中のアービッド・リンドブラッドが、FIAの特別許可を受けて17歳でFP1デビューを果たす。F1史上最大級のイベントのひとつシルバーストンは75年前、F1世界選手権の初開催地であり、それ以来グランプリ開催地として特別な存在へと進化してきた。このサーキットの高速性は多くのドライバーに好まれており、マシンを限界までプッシュすることができる。現行のグランドエフェクトカーは、Copse、Abbey、Stoweといった高速コーナーで真価を発揮し、Maggotts、Becketts、Chapelの切り返しでの挙動も見応え十分だ。前戦オーストリア同様、多数のファンがシルバーストンに詰めかけ、周辺のキャンプ場に滞在して週末を過ごすことで、フェスティバルのような雰囲気が醸し出される。会場では有名アーティストによるライブも開催され、4日間にわたって賑わいが続く。だが、何よりグランドスタンドが最も熱狂するのは、やはりレース中だ。ランド・ノリス、ジョージ・ラッセル、ルイス・ハミルトン、アレックス・アルボン、オーリー・ベアマンという5人のイギリス系ドライバーが出走し、F2、F3、F4のサポートレースも加わる今週末は、アクション満載のイベントとなることが約束されている。
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