バルテリ・ボッタスが、フランコ・コラピントに代わって今季中にアルピーヌF1チームに加入する可能性が浮上している。『The Race』によると、現在アルピーヌF1の事実上のチーム代表として指揮を執っているフラビオ・ブリアトーレが、メルセデスに対して同チームのリザーブドライバーであるボッタスの起用可能性について打診したという。
この話し合いはまだごく初期段階にとどまっており、契約が成立する確実性は低いとされるが、アルピーヌの不振を受けてブリアトーレがドライバー編成を再検討していることは明らかだ。昨年末にザウバーを離れたボッタスは、F1のレースシート復帰に強い意欲を示しており、これまでは2026年に参戦予定のキャデラックF1チームが有力な選択肢と見なされてきた。しかし今回のアルピーヌ入りの可能性が浮上したことで、彼にとっては今季中のF1復帰という“第二のチャンス”が現実味を帯びつつある。関係筋によれば、来季からメルセデスのカスタマーチームとなるアルピーヌへの移籍に対し、メルセデス側は特に異議を唱えていないという。一方のアルピーヌは、現在コンストラクターズランキング最下位に低迷。第11戦終了時点での獲得ポイントは11にとどまり、直近3戦で急激に調子を上げたザウバー(26ポイント)に引き離されている。同チームではピエール・ガスリーが唯一ポイントを稼いでおり、シーズン途中から起用されたフランコ・コラピントは、いまだトップ10圏内フィニッシュを果たしていない。モナコとカナダで13位に入ったのが最高成績であり、ブリアトーレはオーストリアGPでの不調を受けてコラピントにさらなる改善を求めている。アルピーヌは第7戦F1エミリア・ロマーニャGPからコラピントをジャック・ドゥーハンの代役として起用しているが、契約はレースごとの短期契約であり、成績次第では交代の可能性も排除できない状況だ。ブリアトーレは「マシンはQ3進出に値する速さがあった。だが2台をそこに揃えられていない」と語り、さらなるパフォーマンス向上をチームに要求した。決勝ではガスリーが一時6位を走行しながら13位に後退、コラピントも角田裕毅との接触やピアストリへのブロックで15位に終わった。「率直に言って、我々のパフォーマンスレベルは非常に憂慮すべきものだ」とブリアトーレは述べ、「日曜になると状況が一変する原因を突き止めなければ、今季の立て直しは難しい」と危機感をあらわにした。こうした中で、ボッタスのような実績あるベテランの起用は、マシンの実力をより的確に評価する「ベンチマーク」としても有効とされる。2026年のレギュレーション大刷新を見据えるブリアトーレにとって、開発の土台を築く意味でもボッタスは有力なピースになりうる。一方のコラピントは、「マシンの反応が一貫しておらず、高速区間での自信が持てなかった」とオーストリアGPを振り返り、「クルマの改善にも取り組まなければならない。ブリアトーレからの信頼は感じている」と語った。ただし、今後数戦でのパフォーマンス次第では、チームが大胆な決断を下す可能性も否定できない。ベテランの復帰か、若手の育成か――アルピーヌのドライバーラインアップは、今後も注目の焦点となりそうだ。