角田裕毅は、2025年F1ベルギーGP決勝でポイント獲得目前まで迫ったものの、スリックタイヤへの交換タイミングをめぐるチームとのコミュニケーションミスにより、大きく順位を落とした。スパではレース直前に新型フロアが投入され、その効果もあって予選ではレッドブル・レーシング昇格後で自己最高となる7番グリッドを獲得。しかし決勝では、路面が乾き始めた段階で「ピットインしたい」と自ら要望したにもかかわらず、チームからの返答は遅れ、すでにピット入口を通過した後に無線が届いた。
1周余計にインターミディエイトで走行することになった角田は、その間に5ポジションを失い、レース後半はDRSトレインの中で抜け出せず苦戦。さらに終盤には新品タイヤのヒュルケンベルグにも抜かれ、最終的に13位でチェッカーを受けた。アップグレードの手応えを予選で示しただけに、戦略面での綻びが悔やまれるレースとなった。2025年F1第13戦ベルギーGP レース展開スタート直前の豪雨で赤旗、セーフティカー先導の幕開け土曜のスプリントが晴天のもと最適なコンディションで開催された一方で、日曜午後の決勝では開始30分前にスパ・フランコルシャン・サーキットを激しい雨が襲い、ドライバーとチームは予想外の展開に見舞われた。レースは予想通りセーフティカー先導でスタート。ポールポジションのランド・ノリスが先頭を走り、マクラーレンのチームメイトであるオスカー・ピアストリが続いた。全ドライバーはピレリのインターミディエイトタイヤを装着し、水しぶきの中でグリップを探った。パワーユニットおよびセットアップの変更により、カルロス・サインツ、ルイス・ハミルトン、アンドレア・キミ・アントネッリ、フェルナンド・アロンソはピットレーンからスタートし、セーフティカー隊列の最後尾に加わった。しかし1周も満たないうちにレースコントロールは赤旗を提示。ノリスが「セーフティカーの後ろは全然見えない」と報告する中、全車がピットレーンへ戻る事態となった。マクラーレンのランド・ノリスが先頭で走行80分の遅延を経てレース開始、ピアストリがノリスを攻略再び強い雨が降ったことでスタート手順が一時中断され、約80分の遅延ののちにようやくレースが再開された。明るい空の下、再びセーフティカー先導でコースインし、ラップ5からローリングスタートで正式にレースが始まった。ノリスがピアストリ、シャルル・ルクレール、マックス・フェルスタッペンを従えてラ・ソースを先行するも、オー・ルージュからケメルストレートにかけてピアストリが背後に迫り、レ・コンブのブレーキング前に楽々とオーバーテイク。ピアストリはその周の終わりには1秒差を築き、後方ではジョージ・ラッセルがアレクサンダー・アルボンを抜いて5番手に浮上。ランス・ストロールはサインツとハミルトンに抜かれて18番手に後退した。ハミルトンが怒涛の追い上げ、13番手からスリックに賭けるフェラーリのルイス・ハミルトンはラップ7にサインツを最終シケインでかわして16番手へ浮上。続くラップでフランコ・コラピントをレ・コンブ外側からパスし、さらにラップ8ではニコ・ヒュルケンベルグをシケインでオーバーテイク。ラップ9にはピエール・ガスリーもスタブロで抜いて次々とポジションを上げた。ラップ10時点でピアストリはノリスに1.7秒差を築き、「そろそろスリックが必要かも」と無線で報告。ルクレールは5.5秒遅れでフェルスタッペンに追われていたが、スプリントよりダウンフォースを増やしたことで直線の伸びが不足し、ケメルストレートで仕掛けきれなかった。ハミルトンはラップ11終わりに13番手からいち早くスリック(ミディアム)へ交換。これに続いてガスリー、ヒュルケンベルグ、アロンソもピットイン。フェラーリのルイス・ハミルトンが怒涛の追い上げを見せるタイヤ選択で命運分かれる、ピアストリは先手で9秒差にラップ12にピアストリがトップからピットインしミディアムを選択、ノリスはもう1周インターで走行したが、この間に大半のドライバーがスリックへと切り替えた。角田裕毅、アイザック・ハジャー、エステバン・オコンだけが古いインターで走行を継続。オコンはルクレール、フェルスタッペン、ラッセルのブロック役となるが、ブランシモンで3台が高速で抜き去った。ノリスはこのラップでハードに交換するが、左フロントタイヤの装着に手間取り、ピアストリに9.1秒遅れてコース復帰。後方ではルクレール、フェルスタッペン、ラッセル、アルボン、そして7番手まで浮上したハミルトンが接近戦を展開。リアム・ローソン、ヒュルケンベルグ、ガブリエル・ボルトレトがトップ10を形成。中団の争いと後半の展開、ピアストリは持ちこたえるラップ20にザウバー勢がケメルストレートで順位を入れ替え、アントネッリがコラピントを抜いて15番手に。ハジャーはミディアムからハードへと2度目のピットを実施。レース中盤、ピアストリは8.1秒リードを築くも「このタイヤで最後までは厳しいかも」と無線。11番手のガスリーの背後には角田、オリー・ベアマン、アロンソ、アントネッリが形成するDRSトレインが迫る。ウィリアムズのアレクサンダー・アルボンが6位フィニッシュノリスはラップ26でプーオンをワイドに走り1秒ロス。アントネッリはレ・コンブでアロンソを抜いて14番手へ。サインツはトラックリミット違反で警告旗を受ける。終盤、アロンソ、アントネッリ、ヒュルケンベルグらが続々と2度目のピットへ。ヒュルケンベルグは14番手からオコンをケメルでパスし、前方のストロールに6秒差まで急接近。アントネッリはレ・コンブでオコンを一度抜くも、直後のコーナーで抜き返され、アロンソも後方から接近。残り数周でノリスが猛追も、Piastriが逃げ切り優勝ラップ38時点でノリスは差を5.5秒に縮め、ラップ41には3.8秒まで接近。残り数周で「ラ・ソース付近で雨の可能性」との無線が入る。ファイナルラップ直前のラ・ソースでノリスがややオーバーシュートし、追撃は終了。最終的にピアストリが3.4秒差で逃げ切り、ドライバーズ選手権のリードを16ポイントに広げた。ルクレールは20秒遅れの3位でフィニッシュし、フェルスタッペンを抑えた。5位には単独走行のラッセル、6位にはアルボン、そして7位には18番手スタートから11台抜きのハミルトンが入った。ローソン、ボルトレト、ガスリーがポイントを獲得。ベアマンは惜しくも11位で、角田裕毅は最終盤にヒュルケンベルグにも抜かれて13位。ストロール、オコン、アントネッリ、アロンソ、サインツ、コラピント、ハジャーが完走し、遅延を除きフルグリーンでチェッカーを迎えた。