2週間のインターバルを経て、F1は伝統のスパ・フランコルシャンへと舞台を移し、ついに本日、2025年シーズン第13戦ベルギーGPの決勝を迎える。今回はスプリントフォーマットが採用され、通常とは異なるスケジュールで週末が進行した。金曜には唯一のフリー走行とスプリント予選、土曜にはスプリントとグランプリ予選が行われ、今日7月27日(日)に決勝レースが控える。激しい雨の予報もあり、予測困難な一戦となることは必至だ。
基本データと統計■ 初開催:1950年■ コース全長:7.004km(現F1カレンダー最長)■ ラップレコード:1分44秒701(2024年 セルジオ・ペレス/レッドブル)■ 最多ポールポジション:ルイス・ハミルトン(6回)■ 最多勝利:ミハエル・シューマッハ(6勝)■ ポールからターン1までの距離:165m■ 2024年の決勝でのオーバーテイク数:62回■ セーフティカー導入確率:63%(過去8回)■ バーチャルSC導入確率:0%(同上)■ ピットストップのロスタイム:約18.8秒ベルギーGPの舞台スパ・フランコルシャンは、自然の起伏を活かした高速サーキット。天候の急変も名物ドライバー視点:ジョリオン・パーマーの分析元F1ドライバーのジョリオン・パーマーはスパについて次のように語っている。「スパは本当に流れの良い、美しいレイアウトのサーキット。最大の課題はダウンフォースの設定バランスだ。第1・第3セクター向けにダウンフォースを削るか、それとも中盤セクションに合わせて増やすか、チームによって判断が分かれる。予選では中盤重視が有利だが、決勝ではケメルストレートで飲み込まれるかもしれない」「グランプリのスタートも非常に重要だ。ポールだからといって安全とは限らない。1周目のケメルで抜かれることもあるからね」「最もスリリングなのはプーオン(ターン10)。今のマシンならほぼ全開だけど、決勝では一筋縄じゃいかない。そしてバスストップ・シケインは、ラップを台無しにする最大の落とし穴。最終コーナーでヒーローになろうとしてブレーキを遅らせすぎると、すべてが水の泡になる。かといって慎重すぎてもダメだ。ここでラップの成否が決まるよ」直近5年のポールシッターと優勝者■ ポールポジション2024年:シャルル・ルクレール(※フェルスタッペン予選最速も10グリッド降格)2023年:シャルル・ルクレール(※同5グリッド降格)2022年:カルロス・サインツ(※フェルスタッペン最後尾スタート)2021年:マックス・フェルスタッペン2020年:ルイス・ハミルトン■ 優勝者2024年:ルイス・ハミルトン(※ラッセル失格による繰り上がり)2023〜2021年:マックス・フェルスタッペン(3連勝)2020年:ルイス・ハミルトンタイヤ戦略と天候ピレリは今回、通常と異なる「非連続」コンパウンド選択を実施。ハードは最も硬いC1、一方でミディアムとソフトはそれぞれC3、C4を使用する。このような組み合わせは2022年オーストラリアGP以来で、2ストップ戦略が有効になると予想される。また、今回はスプリントフォーマットのため、通常より1セット少ない12セット(ソフト×6、ミディアム×4、ハード×2)の配布となる。スプリント予選ではQ1とQ2でミディアム、Q3でソフト使用が義務付けられている。スパの天候は非常に変わりやすく、「サーキットの一部だけ雨」という現象も珍しくない。今週末もインターミディエイトやフルウェットタイヤの出番がある可能性が高い。現在の勢力図と注目ポイントドライバーズ選手権首位のオスカー・ピアストリは、前戦シルバーストンでの10秒ペナルティによりライバルのランド・ノリスに接近を許した。ノリスは現在2連勝中で、ベルギーでもその勢いを保てるか注目される。フェラーリはシルバーストンで惜しくも表彰台を逃したが、今回導入したサスペンション改良で反撃なるか。一方、メルセデスは気温が低いスパの気候に期待。昨年の勝者だったジョージ・ラッセルは失格で優勝を失ったが、雪辱を期す。レッドブルはチーム代表クリスチャン・ホーナー解任というオフ・トラックの話題で揺れる中、3勝を挙げているマックス・フェルスタッペンが再び主役となるか。そして中団では、ニコ・ヒュルケンベルグが前戦で悲願の初表彰台を獲得し、キック・ザウバーが勢いづいている。ウィリアムズやレーシングブルズとのミッドフィールド争いからも目が離せない。名場面回顧:2000年、ハッキネンの伝説のオーバーテイク2000年のスパでは、当時タイトル争いを繰り広げていたミカ・ハッキネンが、ミハエル・シューマッハを相手に伝説的なパッシングを披露。Eau Rouge〜Raidillonを抜けたケメルストレートで、周回遅れのリカルド・ゾンタを挟み込む形で、右側から両者を一気にオーバーテイク。ファンの記憶に深く刻まれた瞬間となった。