2025年F1アゼルバイジャGP予選は“赤旗6回”の大混乱。最終盤のワンラップ勝負をマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が制しポールポジション。カルロス・サインツJr.(ウィリアムズ)がフロントロウに並び、リアム・ローソン(レーシングブルズ)が自身最高位の3番手を獲得した。中団は入れ替わりの連続。メルセデス勢が強さを見せ、角田裕毅(レッドブル)は難条件で6番手を確保。マクラーレンとフェラーリはクラッシュやミスでポテンシャルを出し切れず、グリッドが“ズレた”ことで決勝の波乱要素が一気に増した。
■ Q1開始:いきなり赤旗—アルボンが壁にヒット開始早々、アレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ)がターン1のイン側でサスペンションを傷めてストップ。先頭走行でグリップが読めず「ルーキーエラー」と悔やむ展開に。ここから“赤旗の連鎖”が始まる。■ Q1再開:ヒュルケンベルグも接触、二度目の赤旗再開後、ニコ・ヒュルケンベルグ(ザウバー)がターン4でロックアップしてフロントウイングを喪失。イエローや赤旗が飛び交い、各車はウォームアップやトラフィックのさばきに苦しむ。■ Q1終盤:コラピント大クラッシュで三度目の赤旗—通過ラインが混沌フランコ・コラピント(アルピーヌ)が壁に激突して赤旗。ピアストリとアントネッリは赤旗に阻まれてタイム未計測のまま再挑戦を強いられる。最後は路面進化で一気にタイムが上がり、脱落はコラピント、ヒュルケンベルグ、エステバン・オコン、ピエール・ガスリー、アルボン。■ Q2序盤:ベアマンが壁に触れて四度目の赤旗オリバー・ベアマン(ハース)がターン2出口でリアをわずかにヒット。「バカげてた」と無線で悔やみつつQ2ノータイムで終了。ここで一枠が“固定”され、残りの椅子取り合戦はさらにタイトに。■ Q2再開:戦略分散と路面進化—ハミルトンまさかのQ3落ちメルセデスは冷えた路面を味方に好走。対してフェラーリは流れを掴めず、ルイス・ハミルトンはアタックの噛み合わせを外して12番手止まり。角田裕毅は最後の一撃でP10に飛び込み、Q3進出を確保。■ Q3序盤:雨粒&ルクレールのクラッシュで五度目の赤旗Q3に入るとカメラに雨粒。そんな中、シャルル・ルクレール(フェラーリ)がターン15でロックアップしてウォールに。サインツ、ローソン、ハジャーは“出せた人だけが出せた”周回で暫定上位に並ぶ。■ Q3中盤:ピアストリがターン3でクラッシュ—六度目の赤旗で混迷極まるオスカー・ピアストリ(マクラーレン)が右前を失いストップ。セッションは約1時間遅延し、各車の新品タイヤストックは枯渇寸前。ここから事実上の“一発勝負”へ。■ 残り2分:タイヤ選択が分かれる—ミディアム勢はサインツ&アントネッリサインツとアントネッリはミディアム、その他はソフトで出走。路面はまだ微妙にスリッピー。ミスの代償が極大の状況で、各自「バンカー(保険)」か「フルリスク」かの意思決定を迫られる。■ 決着:フェルスタッペンが“送り込む”—バックトゥバック・ポール「最後は“送った(sent it)”」とフェルスタッペン。赤旗ラッシュで最適なタイヤが残らない中でも1分41秒117で首位。サインツがP2に食らいつき、ローソンはP3の快挙。アントネッリP4、ラッセルP5、角田裕毅はP6にまとめた。■ マクラーレンとフェラーリは“後方”—タイトル争いへの示唆ノリスは壁へのキスを含む“スクラッフィー”な最終ラップでP7止まり。ピアストリはQ3ノータイムでP9、ルクレールはP10、ハミルトンはP12。パパイヤ勢はスタート直後の混乱リスクを正面から受けることになり、戦略とペースでの“リカバリー力”が試される。■ ポディウム候補と明日の鍵:雨、トウ、そしてターン15フェルスタッペン有利は揺るがないが、サインツは「ウィリアムズに初表彰台を」と意気込む。ローソンは「誰と戦うか自覚している」と冷静。決勝は再び降雨の可能性、長いストレートの“トウ”、そして魔のターン15の処し方が勝敗を左右する。