2025年F1 オーストリアGP 決勝で各ドライバーが使用可能な持ちタイヤ数と予想されるタイヤ戦略を公式タイヤサプライヤーのピレリが発表した。F1オーストリアGPは予選で波乱があり、決勝グリッドは事前の予想とは大きく異なる顔ぶれとなった。ポールポジションはランド・ノリス(マクラーレン)が獲得したが、それ以外は予想外の並びとなり、日曜の決勝では戦略が大きなカギを握る展開が予想されている。
Q3ではピエール・ガスリーのスピンによる黄旗が出たことで、多くのドライバーが最終アタックを完遂できず、グリッドは混戦模様となった。注目は6番手スタートのリアム・ローソンで、母国レッドブルの期待を背負ってマックス・フェルスタッペンのひとつ上のポジションからのスタートとなる。昨年のレースは2ストップ主流昨年のF1オーストリアGPは2ストップ戦略が支配的だった。ジョージ・ラッセルが優勝を飾ったが、それは終盤のフェルスタッペンとノリスの接触が引き金となった展開だった。トップ10に入ったドライバーの大半はミディアム→ハード→ミディアムの構成を採用し、残る数名がミディアム→ハード→ハードで挑んだ。C5タイヤは決勝ペースに適さず、唯一フェルスタッペン(接触によるパンク後)とフェルナンド・アロンソ(ファステスト狙い)だけが終盤に使用した。2025年の最速戦略は?今年のタイヤは耐久性が若干向上しているが、大きな変化はなく、基本的な戦略は昨年と似た構成になると見られている。最速とされるのはミディアム→ハード→ミディアムで、ピットウインドウは18~24周目と46~52周目が推奨されている。ただし、オーストリアは周回が短いためアンダーカット効果が小さく、タイミング次第では逆に損をする可能性もある。各車は慎重な判断が求められる。変則作戦やソフトタイヤの活用もミディアム→ミディアム→ハードの戦略もラップタイム的にはほぼ同等で、周囲と異なる戦略を狙うドライバーにとっては有効な選択肢となる。特に中団グループの車両は早めにポジションを上げたい局面も多く、スタートでソフト→ハード→ミディアムという構成も考えられる。実際、アストンマーティン、アルピーヌ、レーシングブルズなどはC3・C4の必要セットしか残しておらず、2ストップでC5を投入せざるを得ない状況となっている。そのため、ミディアム→ハード→ソフトという作戦が理論上は最速とされている。後方勢は“マジック”狙いの1ストップかピレリのシミュレーションでは1ストップは7秒ほど遅いとされるが、セーフティカー発動など想定外の展開があれば、特に後方勢にとっては逆転のチャンスとなりうる。ミディアム→ハードという構成で26~32周目にピットし、終盤に必要であればC5で短時間アタックする流れだ。高温と路面温度がカギにレースウイーク初期に熱波と激しい雷雨に見舞われたシュピールベルクだが、決勝日は気温・路面温度ともに上昇が予想されており、50℃近い路面温度となる見込みだ。金曜のロングランでは快適だったタイヤ挙動も、決勝では摩耗の影響がより顕著に出る可能性がある。ピレリのマリオ・イゾラは「3ストップは理論上は少し遅いが、摩耗が予想より激しければ選択肢にはなり得る」とし、極端な戦略の可能性も否定しなかった。
全文を読む