アウディは、開催90回目を迎える伝統あるル・マン24時間レースに通算15回目の出場。12回目の総合優勝を狙う。2013年は多くのレギュレーション変更が実施されたためアウディにとっては非常にチャレンジングなレース展開が予想される。WECチャンピオンのアウディと、そのライバルであるトヨタとの闘いのスコアは、現時点で5対3。
アウディは今シーズン、現在までの全レースで優勝しており次戦のル・マンに向けた6月9日の公式テストでは最速タイムを記録している。その様な状況において、ガソリンエンジンとの性能調整のためにディーゼルエンジンに課せられた制限が、今年の1月以降、より厳しくなっているということが最大の関心事となっている。アウディは、世界耐久選手権の現チャンピオントリオ、マルセル・ファスラー / アンドレ・ロッテラー / ブノワ・トレルイエの3人は、ゼッケン1号車のAudi R18 e-tron quattroで出場。過去2年で連続優勝している彼らは今年も優勝して連勝記録を延ばし、ハットトリックを決めたいと願っている。その願いが叶えば2000年、2001年、2002年で3回連続優勝を成し遂げたフランク・ビエラ / エマニュエル・ピロ / トム・クリステンセンに並ぶ大記録達成となる。ル・マンの最多優勝記録(8回)保持者であるトム・クリステンセンも、現在のチームメイトのロイック・デュバル、アラン・マクニッシュと共に、優勝を狙っている。このトリオは、今年4月にシルバーストンで行われたFIA世界耐久選手権(WEC)の開幕戦で優勝しており、クリステンセンとマクニッシュは、昨年のル・マンで2位を獲得している。ゼッケン3号車のAudi R18 e-tron quattroも、もちろん優勝を狙っている。マルク・ジェネは2009年のル・マン優勝経験者で、オリバー・ジャービスは昨年のル・マンで初の表彰台を獲得すると共に、今年3月のセブリング12時間レースでAudi R18 e-tron quattroで優勝を果たしている。彼らとトリオを組むルーカス・ディ・グラッシは初参加となる。ル・マンは初参加となるグラッシだが、彼は昨年9月にはじめてアウディチームから参戦したWECデビュー戦で表彰台を獲得している。今回のル・マンで実績が評価され、全員合計でのべ17回の優勝獲得という素晴らしい経歴を誇るアウディドライバー陣の仲間入りを果たした。一方、アウディモータースポーツ代表のDr. ヴォルフガング・ウルリッヒとLMPプロジェクトリーダーのクリス・レインケが率いる技術サイドも、今年もっとも過酷なレースに臨んで入念な準備を行っている。ル・マンに向けてAudi R18 e-tron quattroは、エンジン、ハイブリッド システム、超軽量技術その他の観点から、徹底的に改修が施された。さらに、ル・マン仕様の特別なエアロダイナミクスも装着している。ハイパフォーマンスLEDヘッドライトを軸にしたマトリックス・ビーム技術や、有機LEDを使用したデジタル・リアビュー・ミラーを初めとする数々の新機構を採用することで、アウディは最新技術の先駆者として知られている。過去30年以上に渡り、アウディはモータースポーツで培った数多くの革新的技術を、市販車に反映させ続けている。具体的には、quattro 4WDシステム、TDIおよびTFSIエンジン、さらには革新的アクティブ セイフティ機能等をあげることができる。ル・マン24時間レースのレースの模様はユーロスポーツのライブ中継を初め、世界中のテレビで放映される。インターネットによるwww.audi-motorsport.comでは、3台のAudi R18 e-tron quattroの車載映像やテレメトリー データを含む実況を行う。アウディスポーツのアプリおよびツイッターでは、ライブ で情報を配信。さらに、フェイスブックを通じて、レースの周辺情報などを配信する。Dr. ヴォルフガング・ウルリッヒ (アウディモータースポーツ代表)「今年のル・マンは、我々にとって特にチャレンジングなレースになります。この数ヶ月の間に、数多くのレギュレーション変更が行われ、我々のマシンの走行性能を低くさせ、勝利獲得への状況を非常に難しくさせました。しかし我々はこれまで幾度も実践してみせた様に、この問題をチームワークで解決することにしました。チーム全員が100%完璧な仕事をこなすということです。ピット作業に要する時間を最大限まで短縮し、レギュレーションが我々に課した各種の制限を跳ね返そうと考えています」クリス・レインケ (LMPプロジェクトリーダー)「もっとも重要なレースを迎えるにあたってチーム全体が全力で準備を進めています。それは、これまでのアウディのやり方と同じく、数々の革新的技術を採用しながら進めています。先週行われたテストでは、今年のレースでどのように我々のポテンシャルを発揮するかについて、多くを学べませんでした。今年行われた過去2回のWECのレースでも充分な検証が出来ませんでした。性能調整が行われた今年のル・マンで、いったいどのようなレース展開になるのか、観客や我々が切望するような素晴らしい闘いが生まれるのかを、ぜひとも注目していただきたいと思います。我々はあらゆる準備を行っています」ラルフ・ユットナー アウディスポーツ (チームヨースト テクニカルディレクター)「伝統あるル・マンが、今年は誰にとっても簡単に勝てるレースになったりしない事を望んでいます。予選ではトップタイムを出す自信がないわけではありません。しかし、最新のレギュレーション変更が与える影響については、実際にレース本番の展開を見てからでないと何も言えません。我々は自らが考え得る戦略を全うする以外に方法がありません。激しいバトルが展開されることを期待しています」